文:本山nackeyナオト(SMDボーカル教室)
ファルセットの理解とトレーニング
えっ! 地声で歌ってはダメ!?
そうなんだ。実はプロ・ヴォーカリストの多くは、みんなが言うような地声なんかでは歌っていない。ほとんどのヴォーカリストはミックスヴォイスと裏声とファルセットで歌う。このTakaの声は決して地声なんかで歌っていないんだ。
【参考】ミックスヴォイスと裏声とファルセットを使った楽曲
ファルセットと裏声はまったく別モノ!
毎日、生徒さんと楽しくヴォイストレーニングをしていて感じるけど、みんなが思っている裏声とはファルセットのことであることが多い。だけど、ファルセットと裏声とは実はまったく別モノなんだ。これも動画で観て、聴くほうが理解が早いと思う。
動画2:ファルセットと裏声とミックスヴォイス
ファルセットと裏声の違いは、
①息の量:もちろんファルセットのほうが息が多い
②喚声点:これがあるのがファルセットの特徴だ
まず、ミックスヴォイスのスキル会得には、このファルセットの理解とトレーニングが必要だ。
ファルセットの発声トレーニング
ファルセットの発声方法は、のどを開き脱力して発声することが大切。のどの前面を使わない意識が必要で、頭蓋骨まで上に抜けるようなイメージで、のどを開いて吐いてみよう。
「のどに力を入れずに発声するのができないよー」という方は、口を閉じてハミングから始めよう。息の流れは鼻から出るので、脱力して声を出すトレーニングとなる。
「N〜〜〜(ハミング)のどを開いて NA〜〜〜〜〜(歌声)」と、ハミングで鼻から徐々に口を開いていき発声してみよう。
ファルセットがうまく発声できない、かすれてしまう。という方は、以下の点を注意してみて。
のどが開きやすい言葉で練習する
声帯が開きやすい言葉で発声してみよう。最もラクできれいにファルセットが練習しやすい言葉は「FU」。しっかりと口を尖らせて、ほっぺたの筋肉を意識して使い、息を送ってみよう。力が分散されて、のどの力みが消えるはずだ。
息の量を多くする
ファルセットが裏声と比べて違う部分のひとつに、息の量が多いことが挙げられる。まったく声を出さずに息だけで「はああ」と出してみよう。「声」はゼロ。「息」100%の感覚だよね。
次に「声」の力加減20%と「息」の量80%を意識してささやくように発声してみよう。これがファルセットのひとつ、【ウィスパーヴォイス】だ。この感覚がつかめるまで練習あるのみ!
最後は「声」の力加減50%と「息」の量50%を意識して発声してみよう。これが【ブレッシーヴォイス】になる。
これも実際の声を聴くのが一番わかりやすいので、動画を参考にしてほしい。
動画3:ウイスパーヴォイスとブレッシーヴォイス
【参考】ブレッシーヴォイスと通常ファルセットと裏声とミックスヴォイスを使った楽曲
「unravel」/TK from 凛として時雨
曲を通してほぼすべて、ブレッシーヴォイスと、通常ファルセットと、裏声と、ミックスヴォイスを使っている。すべてのハイトーンを練習したい人向けの、高難易度の曲だ。
声量を下げてみる
声がかすれてしまう場合、なるべく声量を落としてファルセットを練習してみよう。のどが閉まった状態だと、きれいなファルセットは発声できない。
声帯を強くアタックすると、声量は出るが声帯を傷めやすい。のどを広げると声が小さくなるため、感覚をつかみやすいのだ。できるだけ小さな声でトレーニングしよう。