【Roland Rubix24 × meiyo】オーディオインターフェースを使った打ち込み実演の機材詳細&撮影秘話を語るスペシャルインタビュー

取材・文:飯嶋藍子 写真:タケシタトモヒロ
動画撮影・編集:N A ï V E 動画撮影:平林大河
(※)印の写真提供:Roland
記事編集・インタビュー:田代智衣里(Vocal Magazine Web)

音楽制作に使えるスマホアプリの登場で楽曲制作が身近になる中、プロのアーティストのように、より本格的な打ち込みに興味を持つ人も急増中だ。パソコンを使った楽曲制作に必要となるのは「オーディオインターフェース」で、ギターやキーボードなどの楽器や、ヴォーカルを録音するマイクから、音声や音を鳴らすための信号をパソコンに取り込むために必要となるアイテムである。

今回は、Rolandのオーディオインターフェース『Rubix 24』をシンガーソングライターのmeiyoに使ってもらった。meiyoは、TikTok流行語大賞2021にもノミネートされ、MVは2,600万再生を突破している「なにやってもうまくいかない」で2021年9月にメジャーデビューを果たし、asmiに「PAKU」を楽曲提供したことでも注目を集めているアーティストである。

今回の企画のために特別バージョンを制作してくれた「レインボー!」は、鏡音リン・レンのヴォイスでボカロ曲として昨年meiyoのYouTubeチャンネルで公開されており、後にmeiyoの歌声で音源化されている楽曲だ。Vocal Magazine WebのYouTubeチャンネルでは、「レインボー!」特別バージョンをmeiyo本人が打ち込み、楽曲が完成するまでの様子を収めている。

また、記事後半のインタビューでは「レインボー!」スペシャルバージョンの制作、撮影秘話を語ってもらった。

 今回meiyoが使用した機材はRoland Rubix24。1998年に世界初のUSB接続オーディオインターフェース、2003年に世界初のUSB2.0対応オーディオインターフェースを生み出したRoland。その長年のノウハウをもとに開発された信頼と安定の定番製品だ。

 まず、Rubix24の「24」とは、2in / 4out、つまり、2つのインプットと4系統のアウトプットがあるということ。XLRコンボ・ジャックを採用した入力端子には、ファンタム電源を供給してのコンデンサーマイクの接続はもちろん、ダイナミックマイク、ギター、ベース、シンセサイザーなどさまざまな機材を接続することが可能。独立した4系統のアウトプットは、インピーダンスバランス出力が可能なため、長いケーブルを繋いだ場合でもノイズが混入しづらい設計となっている。

Rubix24本体(※)

 meiyoもライブ時を例にあげながら“同期音源を1と2から、コーラスを3から流すなど、出力を分けることで、ライブハウスのPAさんが音を扱いやすくなるというメリットがあるので、レコーディングだけでなくライブにもとても向いていますね”とその使い勝手の良さを語る。

 この日meiyoがレコーディングにチャレンジしたのは、自身の楽曲「レインボー!」。電子ドラム「V-Drums(TD-27KV)」、ベースと装飾音を打ち込むためのシンセサイザー「JUNO(JUNO-DS61)」、エレキギター、そして、モニター用ヘッドフォン「V-MODA M-200」をRubix24に接続。音質へのこだわりを貫いた証として、日本オーディオ協会のハイレゾリューション・オーディオ認定を受けている妥協のないオーディオインターフェースのため、ヘッドフォンなどモニターの出音の良さも魅力のひとつ。音楽の作り手にとってノンストレスの制作環境を生み出そうというRolandの気概がさまざまな部分から見えてくる。

 まずmeiyoが録音するのはドラム。“いつもMIDIでドラムを録っています”というmeiyoは、この日もRubix24のMIDIインターフェース機能を使用。“ドラムって多くの場合は楽器のそばにマイクを置いて録るのですが、MIDIで録音することで『ちょっとミスっちゃったな』という部分をすぐにPC上で直せるというとんでもない利点があります”と力説する。

 曲の土台を作るべく、次はキーボードを使ってベースを録音。電子ドラムと同じく、キーボードもMIDIを使って録音するのがmeiyo流。“近頃の電子楽器はUSB端子でPCと接続できるものも多いのですが、ヴィンテージの機材などUSB端子が繋げられないものを使用する場合はRubix24のようなオーディオインターフェースを接続するとMIDI録音できて便利です”と、引き続きRubix24のMIDIインターフェース機能を使っていく。

 続いて、Rubix24の大きな特徴のひとつであるアナログコンプレッサー / リミッターを使用しながらギターを録音。これらの機能によって音量のばらつきや過大音を抑えられ、ミキシングの作業効率を格段にアップすることができる。パネル面と上面のどちらからも見える入力信号によって、色が変化する高輝度LEDのレベルインジケーターがついているため視認性も抜群で、確実で歪みのない録音を可能にする。

 “ここまで来たらだんだん曲っぽくなってきましたね”とmeiyo。いよいよAUDIXのコンデンサー・マイク、VX-5を使ってヴォーカル&コーラスを録っていく。ここで威力を発揮するのが、Rubix24に搭載された2機のマイクプリアンプ。マイクプリアンプを使用することで、広いダイナミックレンジと、低ノイズのマイク・プリアンプがマイクの性能を引き出し、高音質なレコーディングを叶えてくれる。meiyoも“ヴォーカルはもちろん、それ以外の楽器の録音時もマイクプリが活躍してくれそう”とその可能性を想像しつつ、最後に装飾音をキーボードで打ち込み、レコーディングを終了した。

 この日の収録を振り返り、meiyoは、Rubix24について“ツマミを触ったときの感覚もすごくいいし、視認性の高いインジケーターでしっかり録音されているかリアルタイムで確認できるので、ミスのない録音ができる機材だと思います”と語る。

 そのコンパクトなメタルボディを手に取りながら、改めてライブで活躍しそうだと期待を口にし、“僕のようにひとりでPC上で音楽を作る人、音楽配信をしたい人やヴォーカルレコーディングをしたい人、誰にでもオススメできる機材”とRoland Rubix24を評した。

Rubix24本体(※)

 2万6,400円という価格帯でマイクプリアンプやコンプレッサー / リミッターなどの機能満載のオーディオインターフェースは、Rubix24以外にほぼないと言っていいだろう。さらに、MacやiPad、iPhoneでは、初期設定時に煩雑なドライバーのインストールなしに、Rubix24を接続するだけですぐに使用を開始することが可能。meiyo曰く“すでにオーディオインターフェースを持っているという人のサブ機としても、初めてオーディオインターフェースを使いたいという人のメイン機としても活躍する”製品だ。難しい接続や操作をすることなく、気軽に高音質なレコーディングをしたいという人は、ぜひRubix24を手に取ってみてほしい。


動画撮影秘話を語る、スペシャルインタビュー

──今回はmeiyoさんの演奏シーンが映像になっていますが、撮影はいかがでしたか?

meiyo こんなにちゃんと人に見つめられながら演奏して撮っていくのは初めてなので、とっても緊張しちゃいました(笑)。でも、僕の作っている曲の中ではわりと生で再現できる曲だったので、とにかく自分の持てる力を出しきりましたね。

──撮影に向けて「レインボー!」の特別アレンジバージョンも制作していただきました。EPに収録されているものと、どんなところを変えたいと思いましたか?

meiyo 尺が短くなったことで、より何かを詰め込んでいきたいと思いました。音源バージョンでは入れていない新しいシンセの音とか、グロッケンの音をより際立たせています。コーラスもモリモリにしました。音源を作ったときはあれで良かったけど、後々もうちょっと盛り上げてもいいかなと思ったりしていたので、それを披露できるきっかけになって良かったです。

──今回の尺(00:54)だと、制作時間はどのぐらいかかりましたか?

meiyo ポンポン録っていっちゃえば、そんなに時間はかかりません。今回のように曲ができていれば、1〜2時間ぐらいですぐにできますね。

──EPのリリース時にもインタビューをさせていただいているんですが、音源制作のお話では簡易防音室「だんぼっち」を使っている時期があったというお話もありました。

meiyo 「だんぼっち」はDTMで曲作りを始めて、5年ぐらい経ってから導入したような気がします。

──自宅で曲作りをするうえで、いろんな環境や機材を試しましたか?

meiyo オーディオインターフェースも友達から借りたり、自分で買ったり、いろんな種類のものを使ってきました。レコーディングで使うエレドラも、いろいろ買い集めて自分で組んだり。マイクもいろいろ試したし、とにかく何かちょっと違うなと思ったら買って試しちゃうところはありますね。

──最初に買ったオーディオインターフェースの決め手は何でしたか?

meiyo 安さでしたね。そもそも最初は何ができるかわからなかったけど、みんながオーディオインターフェースでギターを録ってるって言うから、何ができるのか試してみようかなって。そう思って買ったのが最初だったような気がします。

──オーディオインターフェースを使って初めて制作した曲は覚えていますか?

meiyo たぶん、ワタナベタカシ時代の「ゆったりと」です。僕が一番最初に形にしたのがこの曲なので。そのときに、オーディオインターフェースも導入していると思います。

──最初の機種は安さが決め手ということでしたが、その次に買い換えるタイミングで意識したことは?

meiyo その次は、僕の友達ですごくちゃんと音楽の仕事をしている人がいるんですけど、その友達が“これを買っておけば間違いないから、これにしておけ”ってオススメしてくれたもので、今も使っているんですよ。何の不満もない状態だったんですが、今回Rubix24を使わせてもらったら、すごく良かったですね。

──今回Rubix24を実際に使ってみて、どんなところが魅力的でしたか?

meiyo アウトプットが4系統あるのが、かなりメリットだと思っています。僕は家で使っているメインのオーディオインターフェースがあるけど、それを外に持ち出したくなくて。Rubix24ならライブハウスに持って行ったときに音をパラで出せるので、そこがとにかく良いポイントだなと思いましたね。家に置いておく機材としても優秀だし、ライブに持って行っても使える万能さが素晴らしいなと思いました。

──新たな機材ですが、導入はスムーズでしたか?

meiyo MacやWindowsによっていろいろ設定が必要なのかなと思っていたんですけど、普通に直接USBでパソコンに繋いだら、そのまま使えるようになっていて、あら簡単!と思いました。ドライバーのインストールもいらないんですよね。すぐに使えたので、すごく楽でした。

──アナログコンプ機能はいかがでしたか?

meiyo コンプって、かけると音が変わるので、変わった先の音が好きか嫌いかだと思うんですけど、好きでした。僕はヴォーカルのレコーディングのとき、いつもパソコンのプラグインでコンプをかけているんですけど、その前段の軽いコンプがかけられました。コンプ機能をオンにしたらいい感じの音になったので、かなりいいかもと思いましたね。

──オーディオインターフェースを導入してから、音楽制作は変わりましたか?

meiyo 変わりました。そもそもオーディオインターフェースを持っていなかった頃は、ヴォーカルが録れなかったので。ヴォーカルとかギターとか、オーディオ楽器を録れるようになったことが一番大きいです。Macにはいいマイクも一応ついてますけど、さすがに歌録りには使えないですから、作るうえではオーディオインターフェースが必要不可欠ですね。

──最後に、読者へのメッセージをお願いします。

meiyo 近頃はスマホでも曲を作れる時代ですが、やっぱりパソコンで作るものには敵わないところもあったりします。スマホで作ることができても、その音質のまま何万人もの人に届く音楽が作れるかというと、どうかなと思うところもあります。パソコンで曲を作ろうと思ったらオーディオインターフェースはほぼ必須だと思いますし、やればやるほど楽しくなっていくと思っているので、惜しまずに投資することをオススメしたいです。

1st EPリリース時のインタビューはこちら
meiyo、1st EP『間一発』インタビュー。“最も大切な曲が聴かれなかった経験から新たな引き出しを”


プロフィール

meiyo
日本の音楽家「meiyo」(読み:メイヨー)2018年に演奏/歌唱/作詞/作編曲を行う「ワタナベタカシ」から活動名を「meiyo」へと改名し、meiyoとしての活動をスタート。“TikTok流行語大賞”にノミネートもされ話題となった「なにやってもうまくいかない」で2021年9月にメジャーデビューを果たし中毒者急増中。2022年には初のドラマタイアップやCM音楽、楽曲提供など活動の幅を広げているアーティスト。

関連リンク

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製品情報

  • Roland Rubix 24

    オープン・プライス 市場実勢価格 27,500円(税込)前後 発売中

    【SPECIFICATION】

    ●接続端子
    INPUT(1L、2R)端子:XLRタイプ(バランス、ファンタム電源DC 48V、6mA Max. *1)
    INPUT(1L、2R)端子 *2:TRS標準タイプ(バランス)
    PHONES端子:ステレオ標準タイプ
    OUTPUT(1L、2R、3L、4R)端子:TRS標準タイプ(インピーダンス・バランス)
    MIDI(IN、OUT)端子
    USB端子:USB Bタイプ
    DC 5V端子:USBマイクロBタイプ

    *1 1チャンネルあたりの電流値
    *2 INPUT 1Lはハイ・インピーダンスに対応

    ●コントローラー
    SENS 1L、2Rつまみ
    Hi-Zスイッチ
    48Vスイッチ
    THRSつまみ
    COMP/LIMITスイッチ
    DIRECT MONITORつまみ
    MONOスイッチ
    OUTPUTつまみ
    PHONESつまみ
    POWER SOURCEスイッチ
    LOOPBACKスイッチ
    COMP/LIMIT TYPEスイッチ
    GROUND LIFTスイッチ
    PHONES SOURCEスイッチ

    ●インジケーター
    レベル・インジケーター(1L、2R)
    レベル・インジケーター(COMP/LIMIT)
    POWERインジケーター
    Hi-Zインジケーター
    48Vインジケーター
    COMP/LIMITインジケーター

    ●消費電流
    500mA

    ●外形寸法
    183(幅)×165(奥行)×46(高さ)mm

    ●質量(本体のみ)
    1.2kg

    ●付属品
    セットアップ・ガイド(保証書含む)
    安全上のご注意チラシ
    USBケーブル
    ローランド ユーザー登録カード
    ※0dBu=0.775Vrms

    商品URL:https://www.roland.com/jp/products/rubix24/

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