
取材・文:藤井 徹(Vocal Magazine Web)
2023年7月に誕生した歌特化のライブ配信アプリ『ColorSing(カラーシング)』が、新たなアーティスト活動のスタイルのひとつとして注目を集めている。
「あなたの歌がもっと輝く」がコンセプトの本サービスは、国内最大規模のライブ配信アプリを運営していたチームが手掛けており、「配信者の歌を純粋に評価し、推してくれる歌好きなリスナーが集まる環境」を実現しているという。さらにJOYSOUNDとの提携によりカラオケ音源10万曲が歌えるだけでなく、業界最高水準の報酬制度など「歌で生きていく」夢を全力でサポートしている。
今回、おもに朝8時30分からColorSingで「やったるぞ!」を合言葉に元気な歌配信を行なっているLシンガー、あゆぴこが登場。美容ライター、ラジオパーソナリティ、ライバー事務所の代表など、いくつもの顔を持つ彼女は、昨年8月にColorSingのイベントを勝ち抜き、オリジナル曲「Life」をリリースした。
もともとは恥ずかしがり屋で、人前で歌うことが苦手だったという少女時代から、パワフルな活躍を見せる現在までの、歌や配信への強い想いを聞くことができた。
※Lシンガーとは「Live」する「シンガー」を意味する
楽しい雑談と歌の「やったるぞ!」配信
──Vocal Magazine Web初登場ということで、まずは歌との出会いから聞かせてください。
あゆぴこ 小学校で東京に移るまで沖縄県の宮古島に住んでいて、お風呂やトイレ……家中どこでも年中無休で歌っている子だったと親に言われます。マライア・キャリー、ホイットニー・ヒューストンなどの洋楽がスタートで、自分は外国人なんじゃないかと思っていた、そんな夢の中にいましたね(笑)。日本の曲では沢田知可子さんの「会いたい」が突き刺さりました。ただ、ものすごく恥ずかしがり屋で、人前で歌うようなことはありませんでした。
──そうなんですね。友達とカラオケをする年齢になった頃はどうでしたか?
あゆぴこ 誰かの歌を聴いているほうが多かったですかね。「歌ってみなよ」と言われれば歌うんですけど、自分で人と違うと感じていたので……。「なんでそんなに成り切って歌ってるの?」みたいに言われることも多くて、「あれ、この歌は自分にとってすごく良いものなんだけど、周りにとっては良いものじゃないのかな?」って感じてしまったんですよね。
──人と違うと感じたのは、なぜでしょうね。
あゆぴこ たぶん私が(歌手の)真似をするのが好きだったんですよ。それを追求し過ぎてしまっていたんだと思います(笑)。周りにはいなかったんですよね、そういう人が。それは自分の中にあるものであって、周りには見せなくていいのかもしれないって、勝手に思ってしまったんです。
──そんな恥ずかしがり屋さんが、配信で歌うようになったきっかけは?
あゆぴこ 私はもともと肌荒れに悩んでいたこともあって、美容関係の道を歩いてきました。治療家、美容ライターの仕事を追求する中で、お昼に自分の番組みたいな形で枠を持っていたのですが、コロナ禍の頃に番組でエイベックスのマックス松浦会長とお話しさせていただく機会がありまして。「すごく声がいいし、人前で歌ってもいいんじゃないか」という風に言っていただき、Instagramを始めたのがきっかけですね。そこからちょっと旅立って、ライブ配信の媒体に行き、“ひとりで何やってるかわからない人”をやり続け……(笑)。
──え!? 最後の言葉はどういう意味ですか?
あゆぴこ Pococha(ポコチャ)で活動していたのですが、最初はマスクとメガネと麦わら帽子をかぶって“誰だこの人は?”という格好で配信を始めたんですよ。ホントに変装です(笑)。私がどんな人なのかは、自分の発言から感じ取ってくれればいいかな、くらいの感じでしたね。その姿でずっとやっていたら、そのスタイルが好きな人たちや、自分の考えが好きな人たちが集まってくれたんです。Pocochaで歌うこともできたんですが、それでも私は“歌わない”って決めてましたね。でも、そのうち鼻歌でも聴いてくれる人がいることに気がついて、そこからだんだん歌を歌い始めるっていう感じですかね。
ただ、自分のやりたいことがたくさんあったので、ライブ配信を毎日続けるのは1年。その中で必ずトップ(S帯)のライバーになると決めて、どこまでどうやったらここに上がれるだろう、どうすればいいんだろうって考えながら1年が過ぎていきました。その目標を達成したところで、自分がやりたいことを決めたときに、たまたまColorSing(カラーシング)ができて。歌の活動もそうですし、自分のやりたいスタイルにマッチすると思ったので、Color Singに来たっていう感じです。
──現在、配信についてはColorSing一本ですか?
あゆぴこ ColorSing以外に、InstagramとTikTok、たまにPocochaもやっています。あとは銀座や六本木などのバーでたまに歌っているので、そういうときにライブ配信を開いたりしますね。ColorSingでは1年ぐらい鬼リーグ(ColorSingの上位リーグのこと)のほうで活動させてもらったんですけど、私が始めた当初にライバーの所属事務所(STUDIO GLOW Inc.)を立てたので、今はそこで活躍してくださる方にバトンタッチしつつ、自分は事務所を広げていく外の活動を増やしていますね。
──あゆぴこさんの配信は、朝の8時30分頃からなんですよね。
あゆぴこ そう、朝なんですよ〜(笑)。Pocochaのときも午前8時から10時と決めていたし、その定期的な配信が今の自分に繋がっているので、それを崩したくないということもあって。今は2時間もやれないんですけど、1時間だけは決めておいた状態で、あとは次の仕事をフル活動するって決めています。
──朝に歌の状態が上がるように早起きされて?
あゆぴこ 歌うときは朝の5時くらいに目覚ましをセットしています。起きてから散歩に行くなり体操するなりして、家事を片付けてから配信する感じですね。自分の配信はテーマが「やったるぞ!」で、楽しい雑談と歌をメインにして「元気を出して、これから仕事へ」っていうスタイルなんです。リスナーさんからも「元気になった! よっしゃ行ってくるね」と言ってもらえますね。
──朝のラジオ番組みたいな雰囲気なんですね。
あゆぴこ 近いですね、本当そうです。ただ、これがまた朝は声が出ないんですよ、本当に。あと私は何年も立ったまま配信する人なので、やっぱり最近は足がむくみますね(笑)。
──ライブ配信では、どんな曲を歌うことが多いですか?
あゆぴこ ライブやステージでもそうですが、やはりMISIAさんが多いですね。R&Bが好きですし直球で言葉を伝えていく歌がすごく好きですね。ほかには小柳ゆきさん、AIさん、絢香さん、KiroroさんやHYさんとか。Le Coupleさんの「ひだまりの歌」もよく歌います。PUSHIMさんなどレゲエも好きですね。あとはいろいろ面白い歌とか歌っちゃうので、ホント、お笑い系なんですよ。“おなら”で発声練習するっていうのを今日は伝えようと思っていて(笑)。
──おなら……ですか?
あゆぴこ 私、“おならで腹筋割った人”なんです。あ、本当のおならではないですよ(笑)。アイテムのひとつに“音符”があるんですけど、それをリスナーさんに送っていただくたびに、私が「おんプッ!」って言いながら全力で腹圧を使ってブレスをする、お約束になってまして(笑)。音符のシャワーが出たら、とんでもなくはじける状態が続くので、私の配信スタイルはカロリーがだいぶ消費されるし、その積み重ねで腹筋が割れたんです! みんなは私の腹筋を割る手伝いと、おなら(のセリフ)が聞きたいだけっていう(笑)。オリジナルで「おなら恥ずかしくないよ」という歌なんかもあって。そういう歌も平気で歌ってしまうタイプではあるんです。MISIAさんの曲でゆったりとさせながら、そういう盛り上がるような歌でヒッチャカメッチャかしてみたり、この上下や強弱を自分の中で楽しんでやっていますね。