【インタビュー】スカートが語る、コロナ禍で大切に育ててきた自信作『SONGS』での曲作りと歌との向き合い方

2022.12.31

取材・文:鈴木瑞穂(Vocal Magazine Web)

いつもは出し切った気持ちになるけど、今回は不思議とまだ先がある気がする

──2021年12月に発売した「海岸線再訪」は、収録曲3作品(「海岸線再訪」、「この夜に向け」、「背を撃つ風」)すべてがタイアップとなりました。楽曲制作はタイトなスケジュールだったのでしょうか?

澤部 そうですね。どれも死にそうになりながら……って言うと大げさですけど、けっこう大変でした。

──デモができあがってからレコーディングまではどのくらいですか?

澤部 ハードなものだとデモ作って1週間後とかに録ってますね。

──「この夜に向けて」はリハをやらなかったそうですね。

澤部 そうそう。でもそれはコロナの感染状況からあんまりスタジオ入るのもよくないんじゃないかっていう点もありました。もちろん締め切りが厳しくてそうせざるを得なかったのもありますけど(笑)。

──リハなしで完成系まで持っていけるのは、デモの段階で澤部さんがアレンジをキッチリ作り上げているからでしょうか?

澤部 アレンジに関しては、「ああ、こういう感じね」ぐらいは伝わるようなデモを作っていて、ドラムとベースとギターは入れるようにしてるんです。そこに皆さんのアイデアを出してもらって録音していくことが多いですね。あとどの曲だったかは忘れちゃったんですけど、インターネット上でプリプロはしました。

──どんなふうに行なっていくのですか?

澤部 テンポを決めて、それに対してみんなでデータを回してくんですよ。ドラムこんな感じで叩こうと思ってます、という打ち込みのデータが来て、それをベーシストに渡して、キーボーディストに渡していく。最終的に「あ、いいんじゃないですか」というやり取りを経たんです。でもそれをやらないで(レコーディングに)入っても問題ないな、みたいな話に結局なりましたけどね(笑)。

──一方で、アルバムには「粗悪な月あかり」、「Aを弾け」、「私が夢からさめたら」、「十月(いちおう捨てるけどとっておく) 」といった色とりどりの新録曲も収められています。こちらはいつ頃作った曲ですか?

澤部 「私が夢からさめたら」は、(楽曲制作の)締め切りがヤバかった2021年の6月頃に作っていた曲で録音もそのときにしてたんですけど、アルバムのために取っておいたんです。あとの曲は、アルバムをまとめるにあたってどういうのが足りないんだとかを考えながら作っていった曲です。「Aを弾け」なんてホント、アルバムの最後の最後に作った曲で。

──新録曲の中で特に思い入れのある曲はありますか?

澤部 どれもよくできたんですけど、思い入れという意味だと「私が夢からさめたら」かなと思います。曲をどうやって書いてたかわかんなくなっていた時期に、この曲は詞だけ先にあって。ちょっと肩慣らしじゃないけど、そういう気持ちで作った曲なんです。

──いつもはメロとコード進行から曲を作っていくんでしたね。

澤部 そうです。でもアルバムに1曲ぐらいは詞先を入れようとは思ってます。

──何か意味というか、決めていることがあるんですか?

澤部 なんかね、やっぱり自然と楽しいんですよね。いや、昔はもっと詞先が多かったんですよ。詞が先にあると、ある程度の道筋が見えるわけです。

──楽曲の全体イメージが見えやすいですか?

澤部 そうそう。そりゃそうなんですよ。曲先行でやると本当にもう霧の中にいるような感じで。そのぼんやりしたものをなんとか森から出るような気持ちで曲を書くんですけど。詞があると、最初からもうコンパスはあるぐらいの感じなんですよね。それは作ってて楽しいんです。

──今作はタイアップも盛りだくさんとなりましたが、今後タイアップへのさらなる意欲だったり、またはオリジナル曲への向き合い方など、そのあたりのバランスは考えていたりしますか?

澤部 いや、ないですよ。仕事が来たんだったらそれは全力でやるっていうのがひとつで。まあもうすぐ35歳なんで、そんな自発的に出てくるメロディなんてめったにないわけですよ。でもこのアルバムを作ってちょっと意欲的にはなってきたなって気がします。昔はもっとうしろ向きだったんですよね。アルバムができあがると“もう曲なんか書けない”みたいなね、出し切っちゃった気持ちになるんですけど。今回は不思議とまだ先がある気がするって思えてますね。

──気持ち的にもプラスになるアルバム制作だったのですね。

澤部 まあ逆を言えば、既存の曲が多かったからアルバム作った気がしてないのかもしれないですね。余力が残ってる。燃え尽きるまでもなく……でも(制作は)大変だったんですけどね。

──歳を重ねるとともに、新しい作り方や向き合い方もありますよね。

澤部 そうですね。でもラクをしたいわけではないので……ラクに越したことはないんですけどね(笑)。もうちょっと追い込んで、また自分のアルバムってものを作りたいとは思っています。

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