取材・文:鈴木瑞穂(Vocal Magazine Web)
熊本県出身在住のラッパー、A夏目が、11月9日に「青いとばり feat. ハク。」をリリースした。
Paravi オリジナル番組『恋の Last Vacation』の主題歌として書き下ろされたこの楽曲では、平均年齢19歳のガールズバンド、ハク。と初共演。夏の終わりの 寂しさと温かさを両立したサウンドをベースに、A 夏目とハク。が男女の恋を儚く歌い上げる。
Vocal Magazine Webでは、まもなく20歳を迎えるA夏目に、新曲での宅録を中心とした制作話や、これまでの歌に対する想いを聞いた。
みんなが絶対に知らないような言葉を覚えて、大人の前で使ったりするのが好きだった
──11月21日に20歳の誕生日を迎えられるということで、おめでとうございます。
A夏目 ありがとうございます!
──高校時代から本格的に音楽活動をスタートしたそうですが、改めて10代を振り返るといかがでしたか?
A夏目 僕はちっちゃい頃から“音楽をやろう!”って決めていたわけじゃなくて、ラップを始めてなんとなく音楽に入りました。だからちょっとずつ皆さんに知ってもらえるようになったことで、自分が“(プロとして)音楽をやっている”ということを実感しましたし、これからもっと自分のスキルを高めて頑張っていかなきゃいけないなっていうのを自覚しました。そんな10代でしたね。
──もともと小さい頃の音楽との触れ合いはどんな感じだったのですか?
A夏目 小学校の頃までは音楽は本当にあんまり聴いてなかったというか、音楽が聴こえてくる環境でもなかったんです。携帯とかも何もなかったですし。強いて言うなら、お母さんが車を運転してるときの音楽ぐらい。
──何が流れてました?
A夏目 平井堅さんの「POP STAR」がしょっちゅう流れていて、それはめちゃくちゃ記憶に残ってます。でもそれぐらいで、あんまり音楽に触れる機会はなかったです。
──ラップとの出会いは小学生のときだそうですね。
A夏目 そうですね。ラップは小学5年生のとき、お兄ちゃんに『高校生ラップ選手権』を見せてもらってからなんです。だから音楽に全然触れてなかったときにラップに出会って、そこからいきなりラップをしていくっていう感じですね。
──どんな部分がハマったポイントだったのですか?
A夏目 自分は背もちっちゃいし、運動神経も良くないんですけど、そんな人間でも、ラップなら、体の大きな人たちと真っ当に競えたり、勝つチャンスがある。そこに魅力を感じて始めました。
──言葉の表現は昔から好きでしたか?
A夏目 言葉の表現は好きですね。おばあちゃんからいろんな言葉を習ったりして。小学生の頃は、みんなが絶対に知らないような言葉を覚えて、大人の前で使ったりするのが好きだったんですよ(笑)。
──覚えてる言葉はありますか?
A夏目 えっとマチュピチュとか。小学校の宿題で「マ」って先頭に書いてあって、空欄を埋めるみたいな問題があって。みんなそこにマントヒヒとか書くんですけど、僕はマチュピチュでいくんです。
──(笑)。言葉のインプットは、おばあちゃん含め、人から吸収することが多かったですか?
A夏目 周りの人からもありますし、ニュースからもあります。ニュースって難しい言葉を使うじゃないですか。そこから知って、使ってみてというのが歌詞にも影響してるんです。今でもちょっと面白いなと思った言葉はiPhoneに全部ストックしていて、曲を作るときに、一旦そのストックを見て“なんか使えるのないかな?”ってやっています。