【インタビュー】A夏目、新曲から見える声色へのこだわり。“あんまりトゲがない、素直な声”を目指して

2022.11.18

取材・文:鈴木瑞穂(Vocal Magazine Web)

“あんまりトゲがない、素直な声”を目指して

──A夏目さんは息を含んだ優しい歌声が印象的ですが、初めて自分の声を聴いたタイミングはいつでしたか?

A夏目 中2ぐらいのときですかね。中学生のときにラップがめちゃくちゃ流行ってて、休み時間にみんなでベランダに出て毎日ラップバトルをしていたんです。でも自分の音源を作ってる人はひとりもいなくて。それで、“音源を作ったら絶対にカッコいいし、人気になるだろう”と考えて、YouTubeでフリートラックを見つけて(自分の声を入れて)音源を作ったんですよ。自分の声を初めて聴いたのはその曲でしたね。

──どんな印象でした?

A夏目 当時まだ僕は子供だったんですけど、そんな僕でも“めちゃくちゃ子供だな”って感じる声で(笑)。何て言うか、がなっていて、飛び散るような……高いしちょっと薄い声でした。

──声を聴いたあと、ブラッシュアップしようと試みたことはありましたか?

A夏目 最初の音源を作ったときからずっと同じ発声の仕方を続けていたんですが、高校生のときに佐賀のMCバトルで初めてラップの大会に出たんです。そのとき、現事務所の先輩のクボタカイさんが優勝していて、その姿に憧れたんです。そこからクボタカイさんの音源を聴いて、ちょっと発声が変わりました。すごくメロウでメロディアスなラップをされるので、ちょっと真似するようになったというか。きれいな声を意識してラップするようになりました。

──きれいな声というのはどんなイメージなんですか?

A夏目 息混じりの、“囁く”とはちょっと違うけど……言い聞かせるような声ですね。あんまりトゲがない、素直な声という感じ。

──A夏目さんの歌は、まさに言い聞かせるような柔らかい声で。自分の感情を押し付けすぎない歌い方を意識しているようにも感じます。

A夏目 そうですね。僕の曲自体が押し付けるような曲じゃないっていうのと、あと僕がオートチューンヴォーカルを基本としてるので、強く投げ掛けるような歌い方をしてしまうと、ちょっとヴォーカル的にこんがらがっちゃうんですよ。なのでオートチューンをかけるっていうのを意識して、滑らかに歌うようにしてます。

──オートチューンを取り入れることはこだわりでもあるのですか?

A夏目 基本的に歌が得意じゃないから使ってるというのはあります。あと、普通のヴォーカルもそれはそれですごく好きなんですけど、オートチューンのヴォーカルは伸びやかというか、すごく伸びていくような音が好きで、それは普通のヴォーカルに勝る部分っていうふうにも思ってるんですよ。なので、“あ、ここ伸びるだろうな”と思うところは、パーンって突き抜けるような音になるように意識して声をマイクに乗せたりしてます。

──今まで歌やラップで壁を感じたことはありましたか?

A夏目 声をめちゃくちゃ張る系の曲ですかね。僕の曲にはそれが少ないっていうか、まあないかもしれないんですけど(笑)。デモで何回かトライしたこともあるんですけど、僕に合わないというか、僕じゃできないなと感じたことはありましたね。

──そんな中、今はボイトレにも通っているそうですね。いつ頃からですか?

A夏目 半年前ぐらいですかね。

──レーベルに所属してから本格的にトレーニングを始めたということですね。

A夏目 はい。やっぱりヴォーカルの能力が低かったので、最低ラインまでは上げなきゃなということで通い始めました。

──張り上げる歌声もボイトレに通いながら練習中だったりするんですか?

A夏目 そうですね。それができるようになって人に聴かせられるようになったら、すごく幅が広がるし、もっと自分がレベルアップできると思うので。それこそライブでも安定して歌えるようになると思いますし。そこは今、練習してます!

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