【インタビュー】“ヴォーカル3人だから3倍の強み”。ORANGE RANGEのフロントマン3人が結成21年目にして辿りついた大傑作を語る。

取材・文:鈴木伸明(Vocal Magazine Web)

自分の中でバチーンとハマった一番気に入っているフレーズがあるんです。(HIROKI)

──EDMっぽいリズム、テクノ風のサウンド、8ビートのギターロックなど、今回もアレンジの幅がとても広いです。

RYO 逆に同じ方向でまとめてアルバムを作っていくということがこれまでなかったので、この振り幅が当たり前という感じになっています。それぞれの曲の方向性は、デモの段階である程度見えるので、そこに自分をどう乗せていくのか考えますね。こういうのはやりたくないってのは1回もない。いつも曲調がまったく違うので、それが楽しかったりします。

──ライブでの再現性は考えますか?

RYO 曲によってですね。「Pantyna〜」は考えました。まったく考えない曲もあります。振り幅があるように聴こえても、スタジオに入ってライブ用のアレンジをしていくと不思議とまとまっていくんですよ。

──バンド・サウンドになっていくということですか?

RYO そうです。シンセベースが生のベースになったり、ドラムも入ってきて、まとまっていきますね。みんなで一斉にバーンと音を出した圧というか、強さみたいなのは、打ち込みでは再現できない、バンドならではの良さだと思うんです。音源では見えてこないそういう部分がライブでは足されてくると思います。

HIROKI 僕はあんまりたくさんの音楽を聴かないし、どんな曲でも自分の中で違和感を感じたことがなくて。打ち込みも、正統派のロックも、自分の中では全部楽しい。みんなよりも早く曲を聴けるファンみたいな気持ちでいます。昔はライブで盛り上がるか、盛り上がらないかを基準に考えていたんですけど、そうでない曲も自分たちでどうにでもできるという経験値を積んでこれたし、楽曲に対しては信頼していますね。

──新作の中で自分のパートに思い入れのある曲を教えてください。

RYO 「Illusion feat.ペチュニアロックス」は言葉の選び方を考えました。テーマがメッセージ性の強いものだったので、言葉選びを間違えると傷つく人もいそうだなと思って。とはいえ、突くところは突きたいという思いもあって、何回も聴き直してむちゃくちゃ考えました。難しいテンポ感だったのもあって、大変でしたね。

HIROKI 僕も「Illusion〜」で、自分で書いた中で一番気に入っているフレーズがあるんです。《井の中の蛙大海を知らず 大海を知れば胃の中の蛙》というところで、“無知も怖いけど、知ってしまったことで搾取されていることに気づく怖さもある”という。“井の中”と“胃の中”というワードが、自分の中でバチーンとハマったんです。これはいいと思っていたら、マネージャーに「変換ミスを直しておきます」と言われて(笑)。

YAMATO 個人的には録音で大変だったのは「Imagine」でした。自分のパートでどうしてもリズムが取りづらい部分があって、何回も録音し直したんです。録音で沼にハマってしまったのは初めての経験でした。リズムのとり方に苦戦して、リズムを図に書いてもらったりして、客観的には理解できるのに、いざ歌ってみるとうまくいかない。自分では、そんなに不得意なものはないと思っていたんですけど、21年間やっていて新しい発見というか、気づくことがいまだにあるんですね。それもまた、学びがあって楽しかったです。

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