【インタビュー】“ヴォーカル3人だから3倍の強み”。ORANGE RANGEのフロントマン3人が結成21年目にして辿りついた大傑作を語る。

取材・文:鈴木伸明(Vocal Magazine Web)

なんでもありの全方位型ロックサウンドで走り続けてきた5人組ORANGE RANGEが、通算12枚目となるアルバム『Double Circle』を完成させた。結成21年目、前作から4年ぶりとなる本作は、キラキラのパーティチューンから、テクノ風ポップス、王道バンドサウンドまで、いつも以上にバラエティ豊かに振り幅を広げた全14曲2枚組という充実の仕上がり。フロントマンのRYO、HIROKI、YAMATOに登場いただき、それぞれのヴォーカルスタイル、バンドへの思い、曲作りのこだわりなどをじっくりと語ってもらった。【インタビューの最後に素敵なプレゼントあり】

漁港に行って歌詞を作ってみたら調子よくて。降りてくるんですよ。(RYO)

──『ELEVEN PIECE』以来、4年ぶりとなる新作ですが、この期間はいろいろなことを考えたのではないでしょうか?

HIROKI やりたいことができないというのはライブぐらいで、逆にこんなに時間に余裕があったことはこれまでなかったので、閉塞感のある中でもわりといろいろなことができたかなと思います。バンド活動だけでなく、プライベートの部分でもよい期間だったかな。これは長引くと思ってからは、開き直って過ごしてました。

RYO ツアーがとまってしまった混乱は2〜3ヵ月あったんですけど、そのあとは一気に切り替えましたね。個人的には歌詞を書くうえでの考え方をイチから見つめ直す期間になって、レベルの底上げができたと思います。

YAMATO 最初の頃は様子見という感じで、そのあとはできることを見失わないように心がけていました。結局、10ヵ月ぐらいメンバーに会えない時期もあったし、その間もリモートでできることをやってました。

──新作は2枚組の大ボリュームですね。

HIROKI 2枚組というのは直前に決まりました。リリースの計画を立てても、先が見えない状況がずっと続いていて。ただ、配信した曲も溜まってきたし、ちゅらカニ(スーパーウルトラちゅらちゅらカーニバル)というイベントが終わったところで、アルバムを出せたらいいなというイメージはありました。

──アルバム全体のコンセプトはありましたか?

RYO 毎回テーマを決めて制作にとりかかるというよりは、1曲1曲と向き合って、その集合体がアルバムになる感じなんです。ちょっと時間が経ってから、どういうモードだったのか、自分たちでも振り返えることができるようになるというか。

──アルバムの中で最初に発表された曲は、2018年に配信リリースされた「Family」ですね。

YAMATO 同じ時期にデモで作っている曲はいくつかあったんですけど、書き下ろしのタイミングの関係で「Family」が先にリリースされました。

──ストックしている曲はたくさんあるんですか?

HIROKI かけらみたいなものはたくさんあります。タイアップなどのお話をいただいたときに、その中から合ったテイストのものをすり合わせてアレンジしていくという流れもありますね。

──普段の曲作りの流れを教えてもらえますか?

HIROKI 基本はNAOTOとYOHが作曲したものにヴォーカルを乗っけていく感じです。ある程度ヴォーカルパートが入っているデモもあれば、ほとんどない場合もあります。

RYO リーダー(NAOTO)があとからヴォーカルパートを書き足す場合もありますし、曲によって作り方はいろいろですね。

──歌詞はすでについているのですか?

HIROKI メロディがあるものは仮の歌詞がついていて、そこから変更するパターンもあれば、そのままでいいじゃんって採用になることもあります。各バースやラップは、基本的に歌う人が作詞をするという流れでやってきたんですけど、近年は楽曲のタイプによって得意な人間が作詞をするということも増えてきました。例えば、「Pantyna feat.ソイソース」みたいのはRYOが得意だろうってことで任せたり。

──それはイメージどおりですね(笑)。歌詞は書き溜めているのですか?

RYO ありがとうございます(笑)。歌詞はボツになったら消します。そのときの自分の熱が大事だと思うので。次に使おうというときは飽きてしまっている。歌詞は、音から得るインスピレーションが大きいです。歌詞を作る場所も大切だなと思っていて、最近は漁港で作っています。漁港に行って初めて歌詞を作ってみたら調子がよくて。その次からも漁港に行くようにしたら、一回もひっかからない。降りてくるんですよ。

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