【インタビュー】三浦風雅が語る、1stアルバムでの豊かな歌唱表現。歌い続ける覚悟とその源にある想い

2022.07.15

取材・文 鈴木瑞穂(Vocal Magazine Web)

2022年7月13日(水)、シンガーソングライターの三浦風雅がメジャー1stアルバム『君が君でいられるように』を発売した。

三浦は、高校の卒業式でカバーした『100万回の「I love you」』の動画がSNSで話題を集めたことをきっかけに音楽活動を開始。積極的な路上ライブを重ね、2021年7月にポニーキャニオンからメジャーデビュー。その後も路上ライブを続けるとともに、SNSでの精力的な発信を中心に着々と歌を届けてきた。

今回のアルバムは、そんな三浦の磨き抜かれた歌唱表現が凝縮された、色鮮やかな作品集に仕上がっている。今回、ヴォーカル・マガジン・ウェブではアルバム曲を中心に三浦の歌表現について深掘りした。そこから、歌に対するストイックな追求心と、ファンへのまっすぐな感謝の気持ちが見えてきた。【インタビューの最後にプレゼント情報あり】

アルバムでチャレンジングだった、“リズム”の歌表現

──待望のメジャー1stアルバム『君が君でいられるように』は、楽曲ごとに三浦さんの新たな歌声に出会える色鮮やかな作品集だと感じました。三浦さんにとってはどんな1枚になりましたか?

三浦 まさにその通りで、幅の広さを楽しめる楽曲たちが詰まっているのと、アルバムタイトルにもなっている「君が君でいられるように」は、自分の中ですごくキーになる楽曲なので、ぜひ聴いて感じ取っていただけたらなと思ってます。

──「君が君でいられるように」はRakeさんの書き下ろし楽曲ですね。三浦さんが高校の卒業式でカバーした『100万回の「I love you」』の動画がSNSで話題となり、三浦さんの音楽活動の原点となった曲を作られた方でもあります。楽曲制作にあたりどのようなやり取りをしましたか?

三浦 最初にZoomでお話しをしたとき、「今までのことを話せる範囲でいいから全部話してみてよ」と言ってくださったんです。それでメジャーデビュー前の紆余曲折や、デビュー後のつらかった時期のことも全部話しました。

そしたら、「いろいろあった人生だけど、ここまで来れたのは関わってくれた人たちのおかげでもあり、うまくいかなくても諦めなかった想いがひとつ形になってるよね」と言ってくれて。そこから《理想通りの君じゃなくても/間違いなんて一つもありはしない》という歌詞に落とし込んでくださったんです。Rakeさんからエールをいただいた気持ちにもなって、すごく嬉しかったです。

──少し遡ってお聞きしたいのですが、三浦さんが音楽の道に進むと決めたのは『100万回の「 I love you」」のカバー動画がバズを生んだあとにヴォーカル&ダンススクールに入学したタイミングになりますか?

三浦 そうです。EXPGというスクールになるんですけど。

──どうしてEXPGを選んだのですか?

三浦 高校生のときにテレビ番組『週刊 EXILE』の『VOCAL BATTLE AUDITION』を観て、一般の人でもオーディションに勝ち抜いたら華やかな世界に入れることに夢を持ちました。ただ、僕は普通の高校生だったので、“こんな夢あるんだ、スゲー”ぐらいの気持ちだったんです。でもやっぱり音楽で夢をかなえたいという想いはあって、バズを生んだタイミングで、“今いかないともうやらなくなる”と覚悟を決めたんです。

“『VOCAL BATTLE AUDITION』に出るためにはどうしたらいいんだろう?”と考えたとき、“オーディションの主催元が運営しているスクールに入学すれば、もしかしたらチャンスがあるのでは?”と思いついたところから EXPG に入学しました(笑)。大学1年生のときです。

──それ以前から歌のトレーニングはしていましたか?

三浦 いや、友人とカラオケに行くぐらいで、ちゃんと勉強したり、トレーニングっていうものはしてなくて。

──カラオケではどんな曲を歌っていたのですか?

三浦 盛り上がる系は湘南乃風とか、歌モノ系はコブクロが好きでより歌ってました。バンド系だとRADWIMPSとかELLEGARDENを歌ってましたね。

──スクールではどんなことを学びましたか?

三浦 僕はヴォーカル部門に入ったのですが、自分が入った時期はTHE RAMPAGE from EXILE TRIBEさんたちがちょうどこれから行くぞ! っていう時代だったので、“ヴォーカルは踊らなくてもいい”という概念がなくなってきたタイミングだったんですね。だから強制的にダンスもやらなきゃいけなくて、僕は週5回、ダンサーばりにめちゃめちゃダンスの練習をしました。ダンスは未経験だったので、泣きそうになりながら(笑)。

──何系のダンスを習っていたんですか?

三浦 NEW JACK SWINGからHIP HOP、R&B、レゲエもやりましたし、いろいろでしたね。

──ダンスの練習で今の歌唱に生きていると感じる部分はありますか?

三浦 やっぱり見せ方の部分です。身振り手振りの仕方は、ダンサーとしてというよりは歌う人として、すごく生きてるなと感じます。あと、リズムの取り方がだいぶ良くなりました。実は僕、まったくリズムを取れない人で。リズム感が超ないんですよ(笑)。

──それは意外です。というのも、アルバム4曲目の「Sunshine」は三浦さんのリズム感の良さが特に際立っていると感じたんです。

三浦 めっちゃくちゃ難しかったんですよ、これ!(笑)

──三浦さんはリズムをどんな感じで取るんですか?

三浦 普通に拍通りにはいけるんですけど、R&Bとかレイドバック気味に歌う曲もあるじゃないですか。それが苦手で、ちょっとハシっちゃうんですよ。なので拍をたっぷり使うというのはダンスをやったからこそ少し身についたことですね。

──この曲はまさにR&Bテイストだと思いますが、リズム要素やグルーヴ感をより出すために工夫したところはありますか?

三浦 もともと歌先行で聴いちゃう部分があったんですが、今回は歌を一回切り離して、バックで鳴ってる音を丁寧に聴いてみたんです。そうすると意外とリズムやグルーヴを感じることができたので、そこを意識しながら歌っていきました。でも難しくて何回も録り直しましたね。

──ディレクションも細かくありましたか?

三浦 はい。曲を作ってくださった坂詰美紗子さんのヴォーカルディレクションで、自分の引き出しが広がりました。リズムを意識して歌うと、(歌を)切る位置も変わってくるという発見があったり。坂詰さんが“こういうふうに歌うのはどう?”とどんどん引き出してくれたので、勉強になりました。

──ダンスミュージック調の「Livin’it up」は、重いビートのリズムが気持ち良い1曲です。「Sunshine」とはまた違った歌唱アプローチを感じましたが、狙った声のイメージはありましたか?

三浦 Aメロはウィスパーな感じを意識して歌いました。でもこの曲もリズムが大事だったので難しかったですね。唯一1日で録れず、別日に分けて録り直した曲です。

──では、アルバムの中で一番難しかったのはこの曲になりますか?

三浦 はい。繊細さを表現しようとするとリズムが抜けてきちゃったり、ちょっとのニュアンスで全然変わってきちゃうんで苦戦しました。

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