THE BEAT GARDEN、発声法の変化と女性目線の最新曲を語る。“10年経ってやっと、３人の個性がひとつになった”

2022.04.27

取材・文：後藤寛子

喉ってやっぱり筋肉なんだなと実感した

──デビュー当時を振り返ると、エレクトリック・ダンスロックということでロックなアプローチを前面に出していて。３人の個性が際立っていることも強みになっていたと思うんですが、歌っていく中で目指すものが変化していったんですか？

U　そうですね。エレクトリック・ダンスロックを中心にやっていたときは、今おっしゃっていただいたみたいに、それぞれの個性がハマる部分を歌割りに反映してたんですよ。REIだったらラップ、僕はロック寄りで、メロディアスな柔らかいパートはMASATO、みたいな。

だから、曲の歌割りが似てしまっていたと思います。それも悪くなかったんですけど、サビはユニゾンをしたいと思う中で、なかなかうまく合わせられないという悩みがずっとあって。今は個性を残しつつも自然に合わせたり調整できるように変わってきました。

MASATO　昔は相手を尊重する気持ちがあんまりなくて。自分の声の出し方で歌える範囲内で歌っていたと思いますね。そこから、たとえばUさんがメインで歌っているところをユニゾンするときは、語尾の跳ね方や切り方、アクセントとかをコピーして歌うようになって。今は、サビをドンと３人重ねて歌っても合うようになりました。もちろんニュアンスは合わせるんですけど、自分の歌い方で歌っても合うので。ちゃんと３人の化学反応が出せていると思います。

REI　当時レコーディングした曲たちと、今の発声法に変わってからレコーディングした曲を聴き比べると全然印象も違いますし。自分がこれから表現したい方向性としてはこっちなんだなあということを改めて再認識しました。もっと追及していきたいと思っています。

──ヴォーカリストとして、発声方法を変えるのは大きな変化ですよね。

REI　ダンスだったら違いが目に見えるのでわかりやすいですけど、発声は体内の話なので。どこをどう震わすかとか、どれだけ人に言われようが自分の感覚の問題なので大変でした。でも、自分の声がどんどん良くなっていっているのがわかるので、楽しさもあります。歌って、録ったものを聴いて、自分がこの声を出すときにどういう身体の使い方をしてるのかを考えての繰り返しで……常に自分と対話してるような感覚ですね。歌って深いなあと思います。

──その試行錯誤を経て、今まさに掴めたところなんですね。

U　はい。改めてスタートに立った感じがします。

──その状態で、ロングツアーが始まるわけですけど。16公演の全国ツアーは初ということで。

U　初めてですね。でも、去年、２部形式で11公演のツアーを回って、かなり鍛えられたので。後半にかけて逆に調子が良くなってきて、喉ってやっぱり筋肉なんだなと実感したんです。次のツアーでは、今言った変化も感じてもらえると思うし、新しいDJになっての初めてのツアーなので。エレクトロ部分でもより進化したものを楽しんでもらえると思います。

──ちなみに、ライブ前にルーティンとして行なっていることはありますか？

U　僕は鼻腔共鳴なので、鼻が詰まると歌いづらいんですよ。なので、前日寝るときにブリーズライトをするのと、ホテルは乾燥するので、自分の家の大きい加湿器を持っていきますね。あと、声帯にとって首の角度がすごく大事で、首の骨が歪むと裏返ったりするので、高さを合わせた自分専用の枕も持って行きます。そうやってライブ前にいろいろ調整したうえで、ライブ中は音程とか細かいことよりも、目の前のお客さんに何を伝えるかのほうに重きを置きたいタイプです。

REI　アイテム系で言うと、スロートコートっていう喉にいいハーブティーをリハーサルから飲むようにしてます。あと、前とは違ったブレスの方法を勉強して、歌う前に調整する時間をとって臨むようになったんですけど、そのために今回のツアーからヨガマットを持って行きたいなと思っていて。これからルーティーン化していきたいです。

MASATO　僕は、どちらかというとメンタル面ですね。テンションが盛り上がりすぎると、そのままの勢いで行っちゃうんですよ。そうなると、喉が閉まったり、しゃがれてしまうから良くないなと思って。冷静でいるために、あえてライブ前に楽屋でしゃべらないようにしてみたりもしたんですけど、僕には逆効果だったので（笑）、普段どおりのいつもの状況を作るようにしています。歌を歌うときとか練習するときにメモを取っておいて、そのメモ帳を見て気持ちを整理したり。読み返して確認するわけじゃなくて、読んで整理することが大切なんですよね。

──ここにも個性が出ますね。ライブのステージドリンクはいかがですか？

U　僕は、さっきREIが言っていたスロートコートのホットに好きなのど飴を入れて、マヌカハニーという蜂蜜を溶かして飲んでいます。マヌカハニーはステージに置いてあって、スプーンですくって直接食べたりもします。

REI　僕は水のみですね。

MASATO　僕は、めっちゃ汗をかくタイプなので、OS-1をいつも飲んでいます。インディーのときに、“汗をかいて脱水になっちゃうと声が出なくなるし、声帯が乾くよ”って言われて、ライブ前にOS-1を半分飲んで、ライブ中にもう半分飲むっていう方法を教えてもらって、ずっとそうしています。あと、時々こそっとUさんのマヌカハニーも舐めたりしてます（笑）。

リリース情報

「それなのにねぇなんで？」
2022年４月25日（月）配信リリース
配信リンク：https://thebeatgarden.lnk.to/SorenanoniNeNande

ライブ情報

『in your tour 2022』
特設サイト：https://thebeatgarden.com/in_your_tour2022/

＜公演日時＞
５月14日（土）神奈川・F.A.D YOKOHAMA
５月21日（土）千葉・柏PALOOZA
５月28日（土）埼玉・HEAVEN’S ROCK さいたま新都心
６月４日（土）宮城・darwin
６月11日（土）岡山・LIVEHOUSE image
６月12日（日）広島・セカンドクラッチ
６月18日（土）福岡・DRUM Be-1
６月19日（日）熊本・DRUM Be9 V2
６月25日（土）香川・⾼松 DIME
６月26日（日）高知・⾼知 X-pt.
７月２日（土）愛知・Electric Lady Land
７月３日（日）静岡・浜松FORCE
７月９日（土）新潟・GOLDEN PIGS RED STAGE
７月10日（日）長野・⻑野LIVE HOUSE J
７月16日（土）滋賀・滋賀U☆STONE
７月17日（日）大阪・⼗三GABU