【インタビュー】遥海、1stアルバム『My Heartbeat』に込めた願いと“歌う前のルーティン”を語る

2022.02.10

取材・文:田代 智衣里(Vocal Magazine Web)

起きてから2時間はしゃべらないようにしてるんです。しゃべっちゃうと、なんか狂ってしまう。

──身体のある部分がほぐれていると歌いたいことが歌いやすいとか、自分の思いが言葉になりやすいと感じること、それを整えることはありますか?

遥海 はいはいはい、あります! けっこう身体が硬いんですよ。首が長い分、首こりもひどいんです。それで骨格アライメントだったり、ハリ治療だったり、整体だったり、パーソナルトレーニングだったり、低酸素トレーニングだったり……。ライブが近くなると、歌を練習するよりも、身体作りを頑張ります。ここ(鎖骨の辺り)が開くと空気がすごく入ってくるんですよ。開くためにはやっぱり運動しなきゃいけないので、常に気をつかってやらないと歌える身体にならない。あと、もちろん喉も。冬だと暖房をつけないとか、家の中に加湿器2つとか、冷たい物を飲まないようにするとか、けっこう気をつかいますね。

──声を出す前や、ライブ前にやることはありますか?

遥海 朝起きたら自分の息に集中して30分くらい瞑想します。家の中でも時間に追われたくないので、“まだこれだけ時間があるのか〜”みたいな(笑)。あとは瞑想するときに出したヨガマットの上で筋膜リリースをやったりします。お風呂は(湯船に)入ると疲れちゃうから、ちゃんと起きるためにシャワーも浴びて。そのあと声出しをします。でも、起きてから2時間はひとこともしゃべらないようにしてるんですよ。しゃべっちゃうと、なんか狂ってしまうんです、1日。

しゃべらない2時間は頑張って息とあくびをします。いっぱいあくびをして、喉を開くために身体のストレッチと喉のストレッチをして、それでひたすら自分の曲を聴く。決まりというよりは、できるときにやる感じ。だから頑張って時間を多めに見て、ゆっくりする。ワンマンライブのときは必ずします。

──喉のストレッチは声帯を閉じたり開いたりしているんですか?

遥海 そうです、そうです。特に今、寒くて全体がこう(丸く)なっちゃうじゃないですか、ここ(肩周り)も硬くなるんです。首もマッサージしていくと意外と硬くて、痛いんですよ。

──自分の手でも動かしてほぐすんですね。

遥海 そう、動かします。首とかやりますね。

──中のインナーマッスルも自分で動かしますか?

遥海 そうです。10秒使って息を吸って、もうここ(みぞおちの辺り)がちっちゃくなるまで空気を出すトレーニングをしますね。声を出すよりも先に、息(のトレーニング)とストレッチを必ずします。

──声を出すのはできるだけライブまで取っておいて、身体の感覚を大事にしているんですね。

遥海 そうですね、感覚を一番大事にします。例えば、ちゃんと両足で均等に立つ感覚を持ちたいから、いつもやってます。こうやって聞かれると、面白い(笑)。あんまり聞かれたことがないので。

──気持ちは瞑想の時間で整えるのですか?

遥海 整えてますね。謎なんですけど、瞑想のときに何も考えてないんですよ。それが合ってるのかもわからないんですけど、空気だけっていうか。私、目を瞑ってるかもしれないけど、中にはエネルギーっていうのが1個あって、それだけ見続けるっていう感覚。瞑想からパッと醒めたらスッキリして、空気がパーッと入ってくるからあくびもいっぱいします。それがけっこう好きですしライブ前の楽しみだったりするんです。目覚ましのアラームがすごく嫌いな音なんですけど(笑)、その嫌だっていう気持ちが整理されて気持ちが良くなるので。

──瞑想中は無音ですか?

遥海 無音です。何もかけてないです。私、かけちゃうとそっちに行ってしまうというか。すごく寝るのがヘタで、寝れない人なんですよ。いろんなやり方も試したんですけど、音が一番ダメですね。テレビの音はいいんですけど、オルゴールもダメ。“あぁいい曲だな”ってなっちゃうから(笑)。

──レコーディング前もルーティンは同じですか?

遥海 同じことをします。あと、レコーディング前はいつもファミチキ食べます(笑)。

──喉を油でコーティングするため?

遥海 そうです。ちょうどいい油っていうか。でも、ライブ前は“あれ”します。家にオリーブオイルがあって、ショットします!

──ライブ前だけオリーブオイル?

遥海 そう、なんか食べたくないんですよ、ライブ前。私、ちっちゃい頃のトラウマがあって。小学校5年生ぐらいの歌の大会で、1500人ぐらい(お客さんが)いて、自分が学校の代表で行った決勝戦だったんですけど。すごく抜けてたのか、余裕ぶったのか、いっぱい食べちゃって失敗したんです。それ以来ちょっと怖くて、できるだけ食べたくない。だからショットが一番いいんですよね。

──飲み物はどうしていますか?

遥海 スロートコートティーをステージドリンクとして持ってて、お水とステージドリンク以外は何も入れません。お茶、コーヒー、紅茶は一切飲まない。でもライブ当日だけじゃなくて2〜3週間前から頑張って摂らないようにしていますね。気持ちの問題だと思うんですけど(笑)。

──水とステージドリンクはどんなふうに使い分けていますか?

遥海 タイミングですね、喉の調子。8月は冷房が強かったりして乾燥するので、そのときはスロートコートティー。何か喉がからんでるなっていうときは、お水。使い分けって面白い! これを聞かれると面白い(笑)。

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