【インタビュー】YU(I Don’t Like Mondays.)、『ONE PIECE』主題歌で魅せた新しい歌唱表現。詞に込めた人生の挑戦と葛藤

取材・文:鈴木瑞穂(Vocal Magazine web)

年を重ねて思うのは、1日ちょっとずつ積み重ねていくほうが大きな成長に繋がるということ。

──ファッション誌でもモデルを数々やられているほどのルックスで、ヴォーカリストとしてだけではなく表現者としてスポットライトを浴びる方だなと感じます。フロントマンとしての心得や気をつけてらっしゃる習慣はありますか?

YU うーん……。完璧主義にならないようにしてるというか。自分はしょうもない人間なんだって言い聞かせてます(笑)。そのほうがヘンに期待されないし楽です。僕はネガティブなんで、うまくできなかったときにダメージを受けちゃうんですよね。もっとうまくできたわ〜とか引きずっちゃうんですよ。でも1週間引きずっても何の生産性もないので、そもそも自分はつまらない人間でしょうもないと思っておけば、できなかったときもしょうもない人間のわりにはできたわ! じゃあ次頑張ればいい!ってすぐ切り替えられるので、そうしてます。

──自分に厳しいんですね。

YU 厳しいかはわからないですけど(笑)。例えば、もし“歌ヘタ!”みたいな誹謗中傷をされたとしても、プライドが高いとすごく傷ついちゃうと思うんですが、まあ素人なりに頑張ってますんですみませんって思えるんです(笑)。

──なるほど(笑)。新曲「PAINT」にちなんで、昨年、YUさんが塗り替えたことはありますか?

YU 2021年は音楽の聴き方自体も変わったっていうのもあって、いまだかつてないくらい音楽と向き合えた年でした。

──と言いますと?

YU 物理的なことも変えたんですよ。コロナで家から出られない時間が多くなったので、せっかくだし家で音楽を聴く環境を整えました。大きいスピーカーを買って、憧れだったアナログで音楽を聴いて、今まで以上に深く音楽に触れる時間が長くなりました。

あと2020年からなんですけど、ピアノを始めたんですよ。今回ツアーでも何曲か披露させてもらったんですけど、ピアノと触れる機会が増えて楽しくなっちゃって(笑)。今までギターを弾いて歌うことはあったんですけど、鍵盤楽器は初めてですし、バンドではメロディラインやコード進行をギターのコード感で作っていくことが多いんですが、ピアノを基軸に改めて理論を勉強して、今後さらに作曲も楽しくなっていくなと。そういった面で音楽的なアップデートができたと感じました。

──自分を超えていくという新曲のメッセージにちなんで、YUさんが超えていきたいものは?

YU 2022年は「PAINT」からスタートするので、それをさらに超える曲を作っていきたいですし、今自分が想像している自分は超えたい。つまり、今の自分がきっとこうなるだろうと想像している自分を超えたいですね。

──常に将来の自分の現在地を想像されてるんですか?

YU 想像しちゃいませんか? きっと来年こんな感じなんだろうなって。でも今の積み重ねで来年になるだけで、結局は今何をやったらいいのかが大切なんですよね。1日ちょっとでいいから成長したい。若いときって早く成長したくて1日でワーッとやって1週間で飽きちゃうみたいなこともあったんですけど、歳を重ねて思うのは、1日ちょっとずつ積み重ねていくほうが大きな成長に繋がるということ。人生をちょっと大きく長く見れるようになったのかな。

──2022年のすでに決まっている活動内容があれば教えてください。

YU ファンクラブツアーを行います。あと昨年流れてしまったフェスは出たいなと思ってます。いいパフォーマンスしたいですね。

──楽しみです。最後に、YUさんが2022年に成し遂げたいことを教えていただけますか?

YU うーん……ジャズピアノを弾けるようになりたくて、ピアノやってるんですよ。5年後くらいにはニューヨークとか海外のジャズバーにふらっと入ってそのままセッションに参加してみたいです。それはまだ早いかもしれないですが、今年のライブではピアノのアドリブソロを弾きたいなと思ってます。


リリース情報

Digital Single「PAINT」
2022年1月9日(日)配信リリース
TVアニメ『ONE PIECE』主題歌


プロフィール

I Don’t Like Mondays.
YU(vo)、CHOJI(g)、KENJI(b)、SHUKI(d)の4人組ロックバンド。
キャッチーなメロディラインとセクシーなサウンド、そこに英語を巧みに織り交ぜたYUのニヒルな歌詞が組み合わさった彼らの楽曲は、海外の雰囲気を感じさせる唯一無二の世界観を作り上げている。
全楽曲において彼らが作詞・作曲・アレンジを手掛け、ジャケット、MUSIC VIDEOも自らディレクションを行なっている。アパレルブランドのサウンドトラックを手掛けるほか、ハイブランドショップとのコラボ、日本を代表するアーティストへの楽曲提供、MUSIC VIDEOの企業コラボなど、彼らの活動が音楽シーン以外でも認められてきており、若いファンが急増中。
2021年8月に4枚目となるフルアルバム『Black Humor』をリリースし、16都市24公演を廻る『Black Humor Tour』を完走した。

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