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【インタビュー】Shohei(THREE1989)、美しい歌声から見える真っ直ぐな歌への愛

インタビュー:鈴木 瑞穂(Vocal Magazine Web)

『Director’s Cut』に込めた想い、美しいコーラスワーク

──ニュー・アルバム『Director’s Cut』は、“映画館”というテーマのもと、シネマコンプレックスに見立てた7つのパートがあるんですね?

Shohei はい。コンセプトとしては映画館がテーマで、シネマコンプレックスに足を踏み入れると7つの映画が上映されているわけです。それをひとつずつ観ていくと全部が繋がっていて。聴いてくれた人が自分なりの答えを見つけてくれればいいと思って作りました。1曲目の「Action! – Intro」が映画の予告編みたいな感じになっています。

──Introのワクワク感がまさに映画の始まりを予感させます。次の「A. me too」はどのようなイメージで作られたんですか?

Shohei 「A. me too」はアルバムの全体的なコンセプトを司っている曲なんです。子供の頃、家族一緒に自宅で『金曜ロードショー』とかを観てたことがあったと思うんですよね。今は映画もNetflixとか携帯で、ひとりで観れちゃいますけど、やっぱりみんなで観るものってところに立ち返りたいなと思って。というのも、コロナ渦で人と人との距離が離れる中、マスク越しでしか会話できなくて表情もわかんない。そういう時代に対してのアンチテーゼじゃないけど、コロナ以前に立ち返って、また人と人との距離が近くなればいいよなぁと思いながら書きました。

──冒頭のShoheiさんの美しい高音で、一気に聴いている人との心の距離が近くなる印象を受けます。高音を出す時に意識している身体の使い方や考え方はありますか?

Shohei ありがとうございます。歌い方って常に変わっていくと思うんですよ。でも、今は本当に身体に力を入れずに、出るままに出してるって感じですかね。気持ちを込めすぎてもやっぱり喉がギュッて締まっちゃったりするじゃないですか。本当に心も身体も全部が開いた状態で歌う意識は持っていますね。

──体力作りの面で日々やっていることはありますか?

Shohei 筋トレはちょっとだけ。プランクみたいに体幹を鍛える運動を軽くやってます。今は身体より心のトレーニングのほうが大きいかもしれないですね。瞑想したり、今日良かったことをメモしたり。精神的な成長というか、歌うことへ気持ちを持っていくほうに注力していると思います。

──瞑想は毎朝やっているんですか?

Shohei 毎朝起きたらすぐやりますね。変な話になりますけど、まず1回“地球から出る”んですよ(笑)。それで自分を客観的に見るんですね、自分、今どんな感じかな?って。そして地球にもう1度帰って、朝日を浴びて、地球全体にエネルギーをバーッと回して、“よし今日も頑張っていこう!”みたいな。

──なるほど(笑)。

Shohei そうすることで日々一緒にやってるメンバー、マネージャー、スタッフさんなどみんなに感謝も伝えていて。“今日も一緒に仕事をしてくれて本当にありがとうございます”と。面と向かってではないですけど、心で伝えることによって自分のモチベーションに繋げていく感じですね。

──そうやって気持ちのコンディションを保っているんですね。

Shohei それで言うと「A. me too」のレコーディングではまた、ちょっと特殊な話があって(笑)。レコーディング直前のマイクの前に立つまではいったんですけど、なんかこの気持ちじゃ歌えないと思い、“みんなごめん。ちょっと山に行きたいから、2日間ちょうだい”ってお願いしたんです。愛媛県に石鎚山という標高1,982メートルで西日本最高峰の山があるんですが、ずっと前からそこに行きたくて。それでひとり石鎚山に登って精神統一してきて、山で“東京のスタジオでレコーディングするぞ”っていう気持ちに持っていって、帰ってきてすぐ歌ったのが「A. me too」です。

──それもあって、最初のコーラスワークのところもすごく神々しいんですね(笑)。全部Shoheiさんの声ですか?

Shohei 山の力が宿ったのかも(笑)。はい、ここは僕の声です。

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──THREE1989の楽曲でもコーラスは重要な要素のひとつという印象を受けますが、コーラスワークはShoheiさんが考えているんですか?

Shohei そうですね。例えば主旋律を歌ったあとに3度上とか5度下とかを足していくんですが、このトラックならもう少し上の成分を入れたほうがいいなとか、バランスを見ながら自分で整えていく感じです。コーラスワークにおいてすごく勉強になったのは山下達郎さんの『ON THE STREET CORNER』という、達郎さんがひとり多重録音で作り上げられたアカペラ・アルバムです。2019年あたりに聴いたんですけど、すごく感化されて、そこからまたコーラスワークがガラッと変わったかな。

──次の「ココロゴト」は川畑要さんをゲストに迎えた、お二人のハモリが美しい1曲ですね。フェイス・トゥ・フェイスで録られたんですか?

Shohei 当日スタジオには一緒に入ったんですけど、先に僕が録って、そのあと川畑さんが録りました。そのあと川畑さんのサビのラインに僕がコーラスするとか、僕のメロディ・ラインに川畑さんがコーラスするみたいな作業をしていきました。

──どういう経緯でコラボは実現されたんですか?

Shohei 2017年頃にアーティスト発掘音楽番組に出演したんです。僕らは途中で負けてしまったんですが、当時MCのBooさんが、“悲しいから一緒に飲み行こうよ”って誘ってくれまして。食事中に“もともと誰が好きなの?”って聞かれて “CHEMISTRYの川畑さんです”と答えたんです。するとその場でBooさんが川畑さんに電話してくれて。川畑さんに震えながら想いを伝えたんです。

そうしたら次にまたBooさんの番組で、ゲストを川畑さんと僕で組んでくれて。たまたま家が近かったからご飯とかも行くようになって、2〜3年ぐらいは先輩と後輩の関係が続いたうえで、“今回よかったらご一緒させてください”とお願いしました。夢がひとつ実現したっていう形ですね。

──楽曲制作はオファーが決まってからですか?

Shohei オファーが叶った時に、トラックだけは何種類かあったんですよ。その中で1曲、ニュー・ジャック・スウィングみたいなビートの曲があって。2000年代のジャパニーズR&Bを、今、川畑さんと僕らがやることによって、もう一度世の中に提示できたら嬉しいなと思って選びました。“川畑さん、このトラックでいこうと思います”と伝えたら、“めっちゃカッコいいじゃん!”と言ってくれて。何かたわいもない話を電話してる中で、“ココロゴト”っていう言葉が生まれたので、歌詞を書いて川畑さんにお送りしたって感じですね。

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