【インタビュー】セツコ(空白ごっこ)、進化し続ける歌表現の魅力に迫る

インタビュー:鈴木 瑞穂(Vocal Magazine Web)
ライブ写真:SEINA

模索しながら歌詞と向き合った『開花』

──『開花』のリード曲「運命開花」はkoyoriさんによる作詞作曲で、歌詞を紐解いて歌うことに苦労されたそうですね。

セツコ   「運命開花」は、寝かせた時間入れると本当に1年ぐらいかかっていて、やっとkoyoriさんが完成させた楽曲なので、ちゃんと応えなくちゃという責任感が一段とありました。感情を乗せるために歌詞をどういう意味で捉えるべきか、ちゃんと考えなくちゃと思ったんですけど……。例えば、Bメロの《あなたたちと同じ頃に生まれてたら 僕もこうだったのにね》といったニュアンスの歌詞が1番と2番両方に入ってるんですが、それが全然わかんなくて、レコーディングの時にわかんないまま入っちゃったんですよね。それで自分の中の記憶と必死にすり合わせしてみて、ふと、なんか嫉妬心みたいなものかな?と思ったんです。例えば学校の中だと、今人気のミュージシャンの良さがわからない。でもある程度わからないと話についていけない、みたいな。自分は周りとちょっと違うのかな?という記憶と擦り合わせてみた時に、スンッて落とし込むことができました。

針原翼 探ってるねー(笑)。客観的に見たら、普通に歌ってるように見えたけど。

セツコ 自分の中で歌いながら模索してた感じです。腑に落ちたあとは歌詞全体のストーリーが見えてきて。いつも勝手にMVとかドラマみたいな映像を頭の中で作り上げて想像しながら歌ってるんですけど、「運命開花」でもそれを作り上げることができたんです。

──そうだったんですね。「ストロボ」や「天」では、“前に進む”といったテーマでの作詞に苦戦したとラジオ風番組「ラジオごっこ」で聞きました。どんな点で苦戦したんですか?

セツコ もともと前向きな言葉を並べるのが苦手で……。一応、並べられはするんですけど、自分が納得した状態の歌詞を前向きに書くのが苦手だったんですよね。ひとまず“走り出せ”みたいな感じの言葉を書いたらなんか気持ち悪かったんですよ、自分の中で(笑)。“走り出せって言われても走りたくないし”って思っちゃう自分がいて。基本的にちょっと一歩引いて物事を見ちゃう部分もあったので、そんな自分がどうクサ過ぎず前向きな歌詞を書けるかという塩梅を探るのが初めてで、難しかったですね。

──テーマ自体も決まってた?

セツコ   「天」はアニメ『闘神機ジーズフレーム』のタイアップということもあり、アニメの趣旨に沿ったんですけど、「ストロボ」は曲をいただいた時に、ハリーさんから“ちょっと元気づける感じの歌詞書いてよ!”みたいに言われた気がします(笑)。

針原翼 2021年1月1日に「運命開花」を出したあと、すぐ「ストロボ」を作り始めていて。制作途中で僕と彼女はそれぞれに誕生日を迎えたんです。その時、“歳が離れている僕らが一緒に音楽してるってすごい”と思って。僕やkoyoriがやってきた音楽を空白ごっこで彼女に伝えてきたし、彼女も次の世代にどんどん伝えていく子になるんだろうなって。そういった何か勇気やメッセージを残せる曲を作ってみてはどうかなと思ったんですね。

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