取材・文:田代智衣里(Vocal Magazine Web)
リラックスする方法を考えて辿り着いたのが“瞑想”だったんです。
──日常的に行なっているヴォイス・トレーニングは、先生に教わったものを取り入れているのですか?
倉木 そうですね、先生に教わったものをやることがほとんどです。あと、自分で取り入れたこともありますね。メンタルとヴォーカルってすごく繋がっているから、メンタル・マインドをしっかり整え、どんな場所でもリラックスして楽しんで歌える環境を作ることにフォーカスしてやっています。
私は緊張するタイプなんですね。ものすごくライブ前もネガティブになっちゃうタイプだったので、“これじゃダメだ!”と思ってリラックスする方法を考えて辿り着いたのが“瞑想”だったんです。マインドフルネス=今にフォーカスすることで自分自身を取り戻せるというのもあるので。瞑想をするようになってから、少しずつ変わってきました。緊張すると声が出なくなってしまうタイプなので、そうならないようにすることにフォーカスを置いていますね。
──ライブとレコーディングでは緊張の具合は違いますか?
倉木 全然違いますね(笑)。レコーディングで新曲に取り掛かる時は、“その曲をちゃんと自分のものにして歌って発信できているか?”とか、そういうところで緊張もするんですけど。でも、割と落ち着いていて、ブースに入ってしまうと自分だけの世界になるので、集中して歌うことができるんです。
ライブの場合は、想いがダイレクトにちゃんと一人ひとりに届いているか? みんなに受け止めてもらえるのかどうか?など、特に新曲はナーバスになってしまうこともありますが、マインドをそこにフォーカスせずに、自分らしくスタジオで、お家で楽しく歌っている時のように歌えるように、楽しさをお伝えできることに意識を向けて歌っています。
──レコーディング時のスタジオ環境でこだわっていることはありますか?
倉木 とくにはないですが、温度は歌いやすく過ごしやすいようにしています。スタッフさんがすごく優しくて、気づいたら25℃にしていただいてたり。冬場はもう少し温度上げてますかね、27℃〜28℃くらい。寒ければ暖かく、みたいな感じで、そんなにこだわりはないんです。
──身体を冷やさないことは心がけているのでしょうか。
倉木 そうですね。身体はやっぱり温めてゆるめて喉を開かせる。しっかりと保湿して、加湿器を欠かさないってことはやってますね。なので冬場はすごいです。スタジオが加湿器でぶわーってなるので、髪の毛が爆発するくらい(笑)。
──普段、コンディションを保つためにしていることはありますか?
倉木 レコーディングやライブの前は、声を大きく出して発声練習をしています。事前に走って身体を温めてから、声を出すようにしていますね。
──走ることは習慣にもなっているのでしょうか。
倉木 普段は気分で、“走りたい時に走る、走りたくない時は走らない”。ウォーキングだけになることもあります。ピッチをずっと上げていられないタイプなので、“ツアーが始まる。よし、じゃあやるぞ!”ってなった時はスイッチを入れ、何ヵ月か前からスタートして徐々に負荷をかけて走り込んでいくタイプです。だからライブやレコーディングがない時は何もやらないっていう……けっこうズボラなんです(笑)。
──生活習慣は、いつも同じリズムを心がけているのですか?
倉木 なるべく自分のルーティンは守るようになりましたね。20代の頃は遅くまで起きていても全然平気だったり、歌詞制作や作業を始めてしまうと、時間を忘れてご飯を食べずにやっちゃうこともあったんですけど、身体に負担がかかって体調を崩しがちだったので、“あぁ、やっぱちゃんとやらなきゃ”と思って。
それで早く寝て、早く起きることが大事だなぁって、生活習慣を変えるようにしたんです。それでもやっぱり忙しくてできない時とかってありますよね。そこはちょっと調整して、“今日はしっかり早く寝ようかな”とか。それでもなかなか無理な時は、“不規則の中に規則正しい時間を作る”っていう。決まった時間に寝るようにしようって考えたりしていますね。
──飲み物や食べ物では避けているものはありますか? 例えば辛いものや炭酸飲料は避けたり、お酒の量を決められていたり。
倉木 あんまりないですね。好きなものを飲んでいますけども、レコーディング前、ライブ前は炭酸飲料と辛いもの、甘いものはちょっと控えるようにしてます。炭酸飲料だと喉の刺激になってしまう。甘いもの……飴とかチョコレートとかを食べてしまうと唾液が多くなることによって、リップノイズといって、“ちゃぴっ”っていうような音をマイクで拾ってしまうと聞いたので、気をつけようと思って食べないようにしていますね。あとはもう、好きなものを食べています(笑)。
──どんな飲み物が好きですか?
倉木 いっぱいありますね。今からの時期だと温かいもの、ココアとか。あと、お水はやっぱり毎日多く摂るようにしてます。ハーブティーも飲みますし。カフェインがちょっとダメだったんですけど、ある日突然飲めるようになって。それからコーヒーも豆乳を入れたりして飲むようになりましたね。
──ハーブティーの種類で、特に好きなものは?
倉木 カモミールとかラベンダーが好きですね。ハーブティーでカフェインが入っていないスロートコートっていう喉に良いお茶があるんですけど、それはライブ前とかレコーディング前に飲んでいた時期がありましたね。最近は水ばっかりですけど。
──お水は1日に何リットル飲む、など目標は決めているのでしょうか。
倉木 目標は全然なくて、気づいたらたくさん飲んでいたってことが多くて。“あ、今日はペットボトル4本くらい飲んでたな”とか、そういうことがありますけど、時期にもよるかもしれないですね。
──レコーディング、ライブ中に飲むドリンクも、好きなものが多いのですか?
倉木 そうですね、今はお水が多いですね。ほとんどお水。で、ちょっと“えへんえへん”と、喉がゴソゴソするぞって時はスロートコートにハチミツを入れて飲んだりとか。