2022年1月9日 @ さいたまスーパーアリーナ
取材・文:田代 智衣里(Vocal Magazine Web)
撮影:田辺佳子、岡田裕介、横山マサト
“一番大事なことは強い気持ちを持って生きていく。それは無謀でもダメだし、怖がり過ぎてもダメだし、しっかりと大事なことを守りながら自分たちの歩みを止めない。音楽を止めない。僕はこのコロナを経験して今まで以上に、ライブをやるってことが奇跡なんだと思って。みんなの普段モヤモヤしてる気持ちを全部拭い去って、熱い気持ちで帰ってもらいたいと思います。楽しんでください! トンネルを抜けたら、もう一度ツアーをやりましょう!”とRYUICHIが語ると、スタンドマイクで「宇宙の詩 〜Higher and Higher〜」を披露。続く「anagram」では白のジャケットを脱ぎハンドマイクに。左右にマイクを持ち替えながら、前屈みで太ももに片手を置きながら、しゃがみながら、懸命に歌声を届けた。
暗転するステージの中で言葉を交わすメンバー。会場は鳴り止まない拍手で包まれている。しばらくしてRYUICHIが、“どうもありがとう。本当にこの日を楽しみに待ってたので。今日はね、自分たちが見たことのない景色をしっかり見に行きたいと思います。盛り上がっていけますかー!”と言葉を届ける。「BLACK AND BLUE」でステージはカラフルに染まり、アウトロでは“心の声を!”の掛け声で左右に手を振った。終わりにRYUICHIは投げキッスをしたのだった。
続く「悲壮美」でステージの背景は一面星空に。オレンジ色の照明と、輝きを放つ5人。ここでは倍音を多く含んだRYUICHIの優しい声の成分が、特に際立って表現されていた。手に持ったマイクは下唇に当てている。ミュート後の《さよなら…あなたに触れてしまったら》では歌声がより一層力強くなり、心をさらってゆく。5人は互いにアイコンタクトをとり、思いを重ね、笑顔で第1部を締めくくった。
このライブという場所で生まれ、今もLUNA SEAという旅を続けている。みんなとともにね。
約15分間の換気休憩を挟んで迎えた第2部は、ピアノの音色が幕開けを知らせ、ステージ一面が赤く染まる。5人が再登場し、観客の手拍子が力強くなったその時、RYUICHIがスポットライトに照らされ右手を高く掲げると無音に。ウイスパー・ヴォイスの“JESUS!”が華麗に響きわたり、「JESUS」へ。一気に熱気を高め、揺れる会場。ギラギラに輝く衣装のJも、低音ヴォイスで支える。勢いをそのままに「Closer」へ。RYUICHIはスタンドマイクを片手で持ち上げ、力強い歌声を届けた。
会場を見渡すRYUICHIは、“昨日みんなで話してたんだけど、Jも言ったように、やっぱり俺たちにはライブというものがあって、もっと言えばライブしかなくて。そしてこのライブという場所で生まれ、今もLUNA SEAという旅を続けている。みんなとともにね。これからも共に歩んでいきましょう”と話す。「DESIRE」でさらに勢いを増し、「SHINE」へ。“ライブやってるとさ、認識が変わるっていうかさ、強くなるっていうかさ、燃えてくるっていうかさ。やっぱり俺たちにとってはライブの注入が大切なようですね”とRYUICHIが語る場面もあった。さらに今回は、全20曲からファンが聴きたい曲を募り、投票の上位2曲をさいたまスーパーアリーナ2デイズで演奏することが発表されていた。1日目には「a Vision」、2日目はLUNA SEAにとって7枚目となる終幕前最後のオリジナル・アルバム『LUNACY』収録の「FEEL」を演奏した。
鳴り止まない拍手の中、会場に溢れる熱意と、緊張感が漂う。RYUICHIはそっと、“この会場に集まってくれた全員に届けたいと思います”と話し、「I for You」を披露。《心から キミに伝えたい》で右手を胸に当てる。マイクを持ち替え、前屈みになりながら、持てるすべての力で歌う姿。《I for You/Oh…》ではマイクケーブルを通した左手を、胸元から観客へ。声がかすれながらも、すべてを賭けて届けようという強い思いが伝わってくる。歌うために鍛えぬかれた身体が芯を持ち、今の最高の歌声を鳴らす。演奏を終えRYUICHIが両手を広げると、観客は熱い拍手を贈った。
ここでRYUICHIが準備をしている間、Jが手を挙げて注目を集める場面も。RYUICHIが“アリーナ盛り上がっていこうか! 声は出せないけど思いをこのステージに届けてください。盛り上がっていこうぜ!”と声を掛けると、「ROSIER」、「BELIEVE」を続けて披露し、第2部を締めくくった。