MISIA、2021年ファイナル公演の“星空のライヴ”101本目をレポート

2021.12.22

2021年12月12日 @ 東京ガーデンシアター
取材・文:田代 智衣里(Vocal Magazine Web)
撮影:Aki Santin

MISIAが12月12日、東京ガーデンシアターにて『MISIA 星空のライヴ ACROSS THE UNIVERSE』の100本目を迎えた。昨年から開催中の今ツアーは約15万人を動員中。2日連続、1日2公演を行なった12月12日の、第2部をレポートする。12月1日(水)にリリースした約3年ぶりのニュー・アルバム『HELLO LOVE』の楽曲を中心に、アンコールではクリスマス・ソング・メドレーを届けるなど、スペシャルな一夜となった。

今回のツアーがみなさんの明日への力になっていたら、こんなに嬉しいことはありません

2021年ファイナル、101本目の“星空のライヴ”の舞台となった東京ガーデンシアター。天に向かって伸びる瑠璃色の照明を背景に、客席の白いペンライトが星のように揺れている。

ピアノと弦楽四重奏の音色に期待を膨らませ、息を潜める。幕が上がると同時に拍手が湧き上がり、真っ赤なドレスを着たMISIAは笑顔で両手を広げた。「Welcome One」の冒頭をしっとり歌うと、ドラム・インと同時に2人のダンサーが登場。観客も立ち上がり、手拍子で加わる。続く「Hello Love」では、“こんばんは! 今宵は『MISIA 星空のライヴ ACROSS THE UNIVERSE』2021年のファイナル公演へようこそ!”と挨拶。話し言葉の語尾も、ロングトーンの“歌”になるMISIA。サビでは指で《L.O.V.E》を作り、観客も同じダンスでシンクロした。

“マスクしてても見えるのよね、笑顔。漂うのよ、笑顔のエネルギーが。そういうものを感じて、私たちはいろんなことがあっても心を繋ぐことができるんだなってすごく感じました” そう話すと、次に歌う「さよならも言わないままで」に込めた想いを伝えた。

“この歌は、コロナ禍が早く終わりますように、この悲しみが早く癒えるようにという願いと、今という瞬間を私たち自身が大切に生きて、お互いを思いやりながら生きていけますようにというたくさんの想いを込めてできた曲です。まだまだこれからもコロナとのたたかいは続きますけれども、早くこの悲しみが癒えますように”

その願いは歌になり、《行かないで 行かないで/私 一人 残して》の最後のロングトーンでは黒田卓也(tp)にバトンを渡してからも身体を鳴らし続け、響きだけが残っている。強い想いが、確かに聴こえてくるのだった。

心の奥底に雫を落とすようなピアノの音色が情景を変えると、大林武司(k)をスポットライトが照らす。真っ暗なステージ中央にぽつんとMISIAが姿を現わし、歌唱したのは「明日へ」。徐々に楽器が加わり壮大なサウンドになると、MISIAの歌声も力を増していく。

《同じこの空の下 共に向かっていこう》

クライマックスにこの一節を歌い終えると、楽器隊はミュートし、会場は静まり返る。MISIAは右手に握ったマイクを口から離し、腰の横まで下ろした。すると、《明日》を素のままの声で聴かせる。静かにマイクを両手に持ち替えお腹の前辺りに持ってくると、《へ》のロングトーンで何もかもをさらって行った。さらに、バンド・インすると同時にマイクを口元へ移動させる。会場をはるかに突き抜け、豊かに鳴り響く声。アウトロが終わるまで息を切らさないロングトーンは、最後にもう一歩強く前に出る。割れんばかりの拍手は鳴り止むことがなく、しばらくしてMISIAはそっと感謝の言葉を伝えた。

“みなさんの日々を応援すると言ったらおこがましいかな。でも、今回のツアーがみなさんの明日への力になっていたら、こんなに嬉しいことはありません”

観客は熱い拍手で応える。するとMISIAはマイクを両手で握って、《ただそれだけで、想い、願い、歌って来た。すべてを歌う。あなたに、あなたに、届きますように。Higher Love!》と揺れながら“歌い話す”と、藤井 風が楽曲提供した「Higher Love」へ。間奏では超ハイトーン・ヴォイスと言われるホイッスル・ヴォイスを惜しみなく披露し、しゃがみながら、立ち上がり頭を仰け反らせながら、圧倒的な歌声で魂を揺さぶる。両手を天に捧げると、割れんばかりの拍手が再び湧き上がった。

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