開場時刻になりオンライン視聴のゲートがオープンすると、続々と視聴者が集まり、カウントの数字が勢いよく増えていく。定刻を少し過ぎた頃、そっとステージが映し出された。バンド編成をうしろに構え中央に君臨している安斉かれんは、スラリと伸びる脚が美しく、黒いショート丈の衣装を身に纏っている。このステージが“あちら（パラレルワールド）”の世界である。

ライブはデビュー曲の「世界の全て敵に感じて孤独さえ愛していた」で幕を開けた。まっすぐ前を見据え《逃げ出すことはしたくないんだ》と力強く歌う。そのまま「FAKE NEWS REVOLUTION」、「18の東京」、「誰かの来世の夢でもいい」とメッセージ性の強い楽曲をノンストップで披露し、手を大きく広げたり、大胆なステージングで観客を魅了していく。

カメラワークは広くステージを映してみたり、安斉の表情にグッと寄ってみたりと、さまざまなアングルから楽しめるのも配信ならでは。時折カメラ目線で微笑む安斉も見え、徐々に表情も柔らかくなってきたようだ。

“本日はお越しいただき、本当にありがとうございます！見ての通りド緊張しているので温かく見守っていただければ嬉しいなと思います”と初のワンマンライブへの緊張を吐露しつつ、眩しい笑顔を見せた。

“私の青春の曲”と言う「僕らは強くなれる」を堂々と披露したのち、m-floのカバー曲「come again」で空気をガラリと変えていく。ダンサブルな曲調で空間がディスコと化す中、安斉はステージを左右に行き来したり、ステップを踏んだりと楽しげで、思わず画面越しでも身体が揺れる。また、映像が切り替わり、“そちら側”にいるとされるもうひとりの安斉が映し出されていた。自身で作詞・作曲に携わった「GAL TRAP」、Charli XCXとの合作「現実カメラ」と披露する中で、映像はさらに切り替わり、“こちら側”にいる３人目の安斉も登場。視覚的な演出も相まって、どんどん“かれんワールド”に引き込まれていく。

ネオンピンクのライトが照らす中、スタンドマイクの前で歌い始めた「夜は未完成」。これは以前、“ジャジーな曲調で歌うのが楽しかった”とインタビューで語っていた曲だ。幅広い楽曲たちを多彩な表現で歌いこなせるのは、言葉通り、“楽しむことの大切さ”をいつも心に持っているからなのだろう。

“今日でデビュー３周年なんですけど、応援してくれる方や、スタッフさん、バンドさん、関わっている全ての方々に感謝しています。本当に、ありがとうございます！”と改めて感謝の想いを伝え、バラードタイムへと突入。

「一週目の冬」では、伸びやかな歌声がすぅーっと響きわたっているのが画面越しにもよく伝わってきた。歌唱はさらに美しく開花していて、その勢いのまま贈られた「人生は戦場だ」は、とても儚くてエモーショナルだった。ギュッと拳を握り締め《歩くべき道をずっと手探りだけで／探している》と嘆く姿に心が締め付けられる。エレキギターの音色が余韻を残す中、安斉は一度ステージをあとにする。

ピンクのワンピースに衣装チェンジした彼女は、温かい手拍子に包まれる中、未発表の新曲「不眠症☆廃天国」、「未来の音」を２曲続けて披露。さらに疾走感のあるサウンドに乗せ「Secret Love」を届けた。“こちら側”、“そちら側”、そしてステージで歌う“あちら側”の３人の安斉の映像が次々に切り替わっていき、盛り上がりを加速させながらクライマックスへと向かっていく。

ラストを飾る「ちゃんと世界線」。なんと、映像に映っていた“こちら側”の安斉が“あちら”であるステージの袖から登場した。ふたりの安斉が本当に同じステージに立ち、一緒に歌っているように見えるのだ。観客の熱い視線が注がれたステージで堂々と歌い切った安斉は、“ありがとう。またね”と微笑んで本編の幕を閉じる。現実と虚構が入り混じった新たなライブ体験。オンラインライブならではのトリックが散りばめられた、ファンタスティックな演出とパフォーマンスであった。

なお、本ライブの見逃し配信は５月８日までとなっている。新体験のオンラインライブの様子を、ぜひ目と耳で確かめてみてほしい。

セットリスト
First Online Live『ちゃんと世界線』
01. 世界の全て敵に感じて孤独さえ愛していた
02. FAKE NEWS REVOLUTION
03. 18の東京
04. 誰かの来世の夢でもいい
05. 僕らは強くなれる。
06. come again
07. GAL TRAP
08. 現実カメラ
09. 夜は未完成
10. キミとボクの歌
11. 一周目の冬
12. 人生は戦場だ
13. 不眠症☆廃天国（未発表曲）
14. 未来の音（未発表曲）
15. Secret Love
16. ちゃんと世界線

オンライン見逃し配信

安斉かれんFirst Online Live「ちゃんと世界線」
アーカイブ（見逃し）配信：2022年５月８日（日）23:59まで
販売期間： 2022年５月８日（日）21:00まで
特設サイトURL
■ABEMA
https://abema.tv/channels/payperview-6/slots/BYB8cYuGEahD1Z
■LINE LIVE-VIEWING
https://viewing.live.line.me/liveg/861

インタビューも合わせてチェック

https://vocalmagazine.jp/interview/release/220305_anzaikaren/

リリース情報

７作連続配信シングル / 第５弾「ちゃんと世界線」配信中
MV：https://youtu.be/ofbt9X4Adbc
配信：https://kalenanzai.lnk.to/chantosekaisen

プロフィール

安斉かれん
1999年８月15日生まれ、神奈川県出身のソロアーティスト。
令和元日の5月1日に配信シングル「世界の全て敵に感じて孤独さえ愛していた」でエイベックスよりメジャーデビュー。2020年にテレビ朝日系連続ドラマ『M 愛すべき人がいて』で主人公・アユ役を熱演し、ドラマはTwitter世界トレンドトップ３入りするなど話題を集めた。
5th配信シングル「僕らは強くなれる。」は音楽関連ランキングにチャートインしGoogleトレンド急上昇ワードで1位を２度獲得。最新曲「ちゃんと世界線」では、実姉妹の安斉星来とMVで共演し話題になる。ファッション・アイコンとして、コスメティックブランドの「M·A·C」の店頭ビジュアルを飾るなど、そのルックスにも注目が集まっている。
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