【インタビュー】清水美依紗、メジャーデビューまでの道のりと追究し続けた“歌の感情表現”を語る

2022.05.1

取材・文:田代智衣里(Vocal Magazine Web)

清水美依紗がメジャーデビューデジタルシングル「High Five」をリリースした。高校時代から多くの音楽番組に出演し、歌声を披露してきた彼女。その後留学を経験し、動画投稿からディズニーの祭典『アルティメット・プリンセス・セレブレーション』の日本版テーマソング「Starting Now 〜新しい私へ」の歌唱アーティストに抜擢されるなど、注目を集めた。

待望のメジャーデビューとなる今回、ヴォーカル・マガジン・ウェブではデビュー曲「High Five」を中心に、清水が進化させてきた歌の表現力について深掘りする。ホイッスルヴォイスなどテクニカルな歌唱表現を身につけながら、さらなる感情表現を追究していったというその道のりを辿ると、『ミュージックステーション』出演時のカバー曲歌唱の裏側や、演技と歌のつながりが見えてきた。

実はオペラも歌えるという部分も今後見せていけたら

──高校時代からオペラを学び、卒業後は留学を経験するなど、音楽を学ぶためのアクションを起こしてきていますよね。“歌を追究したい”という思いからひとつひとつ選択していったのでしょうか?

清水 私は最初からすごく歌えるわけじゃなかったんです。だからこそ、壁を見つけるたびに悩んで乗り越えることを繰り返してきました。歌を専門的に学んでいくうえでも、できないことが多かったです。でも、できないことがあったら落ち込むけど、音楽を学ぶことや声を追究することは苦じゃないので、やり続けてこれたんだと思います。

──最初に自分自身で音楽を学ぶ道を選択したのは、音楽科がある高校に進学したタイミングになりますか?

清水 そうです。中学生のときに合唱部に入っていて、合唱部として舞台に立つ機会にも歌う楽しさを感じていました。でも、歌手になりたいと思った一番のきっかけは、学校とは別にミュージカルのワークショップに参加したことです。ワークショップの内容は歌とダンスと演技だったんですけど、初めて自分を解放して音楽で表現する楽しさを知りました。ソロでマイクを持って歌ったときに、“自分がやりたいのはこれだ”と確信して。中学卒業を機に専門的に音楽を学ぼうと思って、音楽科のある高校の声楽専攻で歌を学ぶことにしたんです。

──高校時代に学んだ発声法はどんなものでしたか?

清水 発声法はオペラでした。今の地声の歌い方とはまったく別の響きで、身体の使い方も違います。でも、踊りもクラシックバレエがベースなのと同じで、音楽もベースはクラシックなんだなと感じます。

──今の歌唱に活かされていると感じるのはどんなところですか?

清水 声楽・オペラを学んでいるときに、“この息の量だとこの声が出る”と感じられるようになったので、そういう調節の仕方が今の歌のスタイルにも活かされていると思います。私は声を張って歌う歌手として見られていると思うんですけど、実はオペラも歌えるという部分も今後見せていけたらいいなと思っています。

──歌うときに、呼吸の面で特に意識していることはありますか?

清水 腹式呼吸は基礎の基礎で、声楽をやっていた時期に教え込まれて染み付いているので、歌うときも普段息を吸っている空気と同じ速さで吸っています。セリフも同じです。“歌うぞ!”ではなく“はぁ〜”って感じで、引っかからないように、流れるように歌うようにしています。

──ビブラートなどの歌唱のテクニカルな部分は高校時代の練習で身につけていきましたか?

清水 とにかくいろんなジャンルの曲を聴いて、イメージトレーニングをしながら練習していくうちに自然と身についていきました。今振り返るとすごく練習していたと思うんですけど、当時は練習している感覚ではなく、とにかくいろんな人の歌を聴きたい、歌い方を真似してみたいと思っていました。最初は真似から入って、それをどんどん吸収していった感じですね。

──壁に当たるたびに研究してきた清水さんが、最初に大きな壁を感じたタイミングはいつでしたか?

清水 中学3年生か高校1年生の頃で、まだ高音に自信がない時期でした。人前で歌うことに慣れていなかったので、いつもの身体の使い方で声を出すにはどうしたらいいのか悩んだんです。やっぱり緊張して強張った状態で声を出そうとすると、なかなか歌えなくて。

──その壁は、どのように乗り越えましたか?

清水 影響を受けたアリアナ・グランデの曲をたくさん聴いて、どうやって声を出しているのかイメージして、すごく練習していたらその音域がすっと出るようになりました。あと、オペラではソプラノ音域なので“ソプラノ音域を地声でどう出すか”という研究をずっとしていましたね。

──学校で学んでいる発声とは違うけれど、自分の耳で聴いてイメージして、実践していったんですね。

清水 そうですね。だから当時は喉を傷めることもありました。でも、“こういうことか”ってわかる瞬間があって、その瞬間が本当に気持ちいいので続けられました。

──“こういうことか”と気づいてからは喉を傷めることもなくなって、身体の使い方が良くなっていく感覚がありましたか?

清水 身体の使い方が上手になったと思う感覚がありましたね。フィジカルから入ってプッシュするのも大事だなと。

──“フィジカルからプッシュする”というのは、身体から整えるということですか?

清水 そうです。例えば、声は十分起きているけど身体がちょっとだるいときに、“起きて起きて”って身体を叩いてあげたり、フィジカルで合図してあげるだけで声がグッと上がったように聴こえるとか、そういうことにも気づいていきました。

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