【インタビュー】清水美依紗、メジャーデビューまでの道のりと追究し続けた“歌の感情表現”を語る

2022.05.1

取材・文:田代智衣里(Vocal Magazine Web)

認めたくない自分をまず受け入れてあげようと、強く願って書きました

──日本に戻ってからはTikTokの動画投稿を始めることになりますが、どんなきっかけでスタートしましたか?

清水 ニューヨークから帰ってきたら、ちょうどコロナ禍がやってきたんです。もう音楽ができないんじゃないかという不安もあって、いっそやめちゃおうかなと思ってたんですよ。そしたら母が、“一回歌を投稿してみたら?”と言ってくれて。歌うことの楽しさは変わってなかったので、TikTokにとりあえず歌を投稿してみました。

──TikTokでの投稿をきっかけに、ディズニーのグローバルな祭典『アルティメット・プリンセス・セレブレーション』の日本版テーマソング「Starting Now 〜新しい私へ」の歌唱アーティストに選ばれました。

清水 当時は自分の夢を叶えられるのか不安が大きかったんですが、続けていたら大好きなディズニーのテーマソングを歌うことになったので、すごく恵まれていました。お母さんが“TikTokで歌を投稿してみたら?”と言わなかったら、こんなに幸せなことにはなってないですね。

──ずっと追究してきた表現力が、動画を通しても伝わったということですよね。

清水 特にディズニーの曲は楽しませたい、笑顔にしたいと強く感じていました。洋楽を歌うときも、とにかく自分自身が楽しむことを意識して動画を撮っていましたね。

──動画内ではイヤホンとマイクも使っていますが、動画投稿のために用意したものでしたか?

清水 配信ライブでもよく使うんですけど、より良い音質で届けたいと思ったので、マイクとミキサーを購入しました。マイクとカラオケがミキサーに繋がっているんですけど、そのミキサーがスマホと繋がっているので、録音ボタンを押すとマイクを通った声がスマホに録れる仕組みになっています。

──マイクとミキサーは何を使っていますか?

清水 ミキサーはヤマハのAG06(ウェブキャスティングミキサー)を使っています。マイクはコンデンサーマイクだと思うんですけど、高くも安くもないちょうどいいものがあったので、まとめて買いました。

──そして今回、待望のメジャーデビューシングル「High Five」がリリースとなりますが、清水さんが作詞にも携わっています。どんなふうに制作を進めていきましたか?

清水 この曲は“ありのままの自分を受け入れて自己肯定すること”がコンセプトになっているんですが、最初は違う歌詞のデモ曲も上がっていました。でも、この「High Five」がよりコンセプトに合うと感じて、デビュー曲になりました。

今まで感じてきた葛藤や弱さを受け入れて自信に繋げられるように、いろんな人を応援する曲なんですけど、実は自分自身に書いた曲でもあります。すごく自信がなかったコロナの時期も、日本に帰ってきて音楽をやめたいと思った時期も、いつも頑張れたのは音楽のおかげだったので。

ネガティブな自分にポジティブな自分が手を差し伸べて、一緒に手を取り合ってデビューに向けて走り出していくようなイメージもありました。そして自信がない自分、認めたくない自分をまず受け入れてあげようと、強く願って書きました。

──「High Five」を歌う前に歌詞を読むとき、どんなイメージを大切にしましたか?

清水 「High Five」は踊れそうな曲だと思うんですけど、裏ストーリーはネガティブな自分がメインなんです。だから、本当は向き合いたくないけど向き合わなきゃいけないものや、自分自身を見つめ直すことを思い浮かべながら、歌詞を読みました。

ミュージックビデオもそういうイメージで進んでいくんですが、本当になりたい自分をポジティブ側として置いて、ネガティブな私とポジティブな私が一人二役になって、交わる瞬間をイメージしました。ポジティブとネガティブが合致する瞬間っていつなんだろう……? とか、そういうことを細かく考えましたね。

──レコーディング時に気をつけたことはありますか?

清水 この曲は優しいし爽やかだけど、応援する力強さがあるイメージだったので、歌うときに心もそういうふうに整えました。“歌詞はこういう気持ちで作ったなぁ”と考えながらイメージして、まずは1曲通して歌って。そこから細かいディレクションなどをいただいて、もうちょっと明るいトーンにしたり、調整していきました。

──コーラスのこだわりはありますか?

清水 コーラスはすでにできていたんですが、私はもともと合唱部だったこともあってコーラスがすごく好きなんです。ブリッジにもコーラスがあるので、そこに注目して聴いてもらいたいですね。

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