【レポート】8人組の新人アイドルグループFuhuaのヴォーカルレッスンに密着! 『歌スク』講師Mayu Wakisakaによる指導の模様をお届け!

取材・文:藤井 徹(Vocal Magazine Web)
撮影:松井伴実

SILENT SIRENのギター&ヴォーカル、すぅがプロデュースする新人アイドルグループ、Fuhua(読み:フーファ)。ヴォーカル・マガジン・ウェブでは、審査過程の1月に、すぅのインタビューをお届けしたので、覚えている方も多いことだろう。

●すぅインタビュー:https://vocalmagazine.jp/interview/japanese-music/230127_suu_nft-idol-house/

その後のオーディションを突破した8人は、現在デビューへ向けてレッスンを続けているのだが、GWに都内某所において合宿形式でのヴォーカル&ダンスのレッスンを行なうという情報が入り、なんと現地に潜入してその模様を一部取材させてもらうことができた。

今回ヴォーカルトレーナーを務めるのは、TWICE、NiziU、Little Glee Monster、ゴスペラーズなどの現場でヴォーカル・ディレクションを担当しているMayu Wakisaka。彼女はヴォーカル・マガジン・ウェブの姉妹サイトである『歌スク』の講師も務めている。

●Mayu Wakisaka『歌スク』ページ:https://uta-school.jp/teacher/detail/23

Fuhuaは6月11日(日)にお披露目ライブ(@LINE CUBE SHIBUYA)を控えており、合宿は朝9時から夜10時までのレッスンを3日間続けるスケジュール。その2日目、休憩を除いて6時間にも及んだヴォーカルレッスンの模様をお届けしていこう。

 5月5日、午前9時15分。スタジオにFuhuaのメンバー8人が集合。強化合宿2日目が始まった。事前にもらったスケジュールによれば、初日は2名ずつに分かれて各80〜90分程度ボイトレを行なったそうで、全員でのボイトレはこの合宿では初となる。

 レッスン前に取材用の記念撮影(?)を済ませて、大きな鏡に向かい椅子を並べて座る。前列がリリサ、ハルコ、ナツキ、アノン。後列はナエ、ウララ、スズナ、ミユだ。

Fuhua:前列右からスズナ、ハルコ、ナツキ、リリサ、後列左からナエ、ウララ、アノン、ミユ

Lesson1:腹式呼吸

ショートブレス、ロングブレス

 まずは呼吸のトレーニングから。両手を脇腹に添えて、鼻から息を吸って口から大きく吐くショートブレスだ。最初は長く吸って長く吐くことをゆっくりと繰り返す。続いてお腹の上のほうに手を当て、たくさん吸って5回に分けて吐く。このときお腹が内側に入っていくことを意識して行なう。【5回吸って吐く×5回】の25回を1セットでのメニューだ。しばしの間、静かな部屋には8人の呼吸する乾いた空気音だけが響きわたる。

 続いてロングブレス。手のひらを口の前に置いて歯の隙間から息を当てる。Mayu先生いわく「手のひらに息が当たったらやり過ぎ。息は当たらないけどスーッという音が安定して聴こえるように」とのこと。真っ直ぐな息を出していくことがポイントだ。最低30秒は続けて、息が切れたメンバーから着席することに。40秒近くなってどんどん着席していく中、ウララが1分近く息を吐き続けた。

ショートブレス
ロングブレス

 次は、座ったまま息を吐き切ったところから10回ほど吐くという、さらに追い込むトレーニング。ステージパフォーマンス中、ブレスを忘れたときでも声が続くことを身体に覚えさせる目的だが、なかなかキツそう。これを2セット行なった。

息を吐き切った……ところからさらに追い込む!

 続くは「狼の遠吠え」のような発声練習。高い音から時間をかけてゆっくり降りていく。注意点として、息を吸って最初の声を出すときにためらいが生じるクセがあると、緊張で出るはずの声が出なくなる子が多いとのこと。吸ったらその勢いで声を出す意識で行なう。全員で2回やったあと、ひとりずつやってみることに。

 最初に挑んだミユは声量が浅く(声も小さめ)、下腹を押すような指導で改善を図る。スズナは響きが良いので、喉を意識するのではなく下腹を意識することも伝えられた。息漏れする傾向のあるウララには、「あくびの口での息の出し方」を含めて、さまざまな方法をトライして粘り強く改善を試みる。普段から歌声のときに地声のまま高音にいくクセがあるというナエだが、きれいに裏声から降りてくることができていた。

ミユ
スズナ
ウララ
ナエ

 アノンには「遠くの狼の群れ」を意識させて届く響かせ方をレクチャー。さらに「ウォー」という発声の際に、指2本分を縦に口に入れるイメージでの実践的なアドバイスがなされた。続くナツキには、その手をMayu先生は自身の下腹に添えさせて声を出す際のお腹の動きを伝えてみせた。ハルコは身体を前に出すクセがあり、「身体で出した気分になって、逆に声が出なくなっている」状態。また途中で声が切れてしまうのは息の支えが弱いからで、あくびくらいのラクな音程でのロングトーンを続ける練習を取り入れると良いとのことだ。リリサは体調がすぐれないこともあって、発声のレッスンについてはお休みということになった。

アノン
ナツキ
ハルコ
リリサ

Lesson2:音階練習

 ここから実際にピアノで音を出しての音階練習。まずは口を閉じて「Umm……」とハミングで1オクターブの上下をしながら音を上げていく。Miyari先生が姿勢をチェックして回り、スッと肩や背中に手を置いて正す。徐々に音程を下げていき、かなり低いところまで出していた。

 続けて母音での音階練習だ。いわゆる「ドレミファソファミレド(一番低い音をドとした場合)」と繰り返す、アレのこと。Mayu先生は始まる前にポイントを簡潔に伝えていたので、ここではそれを箇条書きでお伝えしよう。

①:「ア(a)」=1回目。口の開きは縦にした指を2本くらい。

②:「エ(e)」=舌を誰かに真っ直ぐ前に引っ張られているようなイメージ。2回し目は、舌を左上に少し出しながら(ペコちゃんのように)。続いて右上に。

③:「ア(a)」=2回目。「エ」をやったことで、クリアになっていく。

④:「ア(a)」=3回目。ドレミファソファミレドの一番高い音「ソ」でつま先を上げて、最後の「ド」で下ろす。

①口の開きは縦にした指を2本くらい
②舌を誰かに引っ張られているイメージ
③「ア」の2回し目
④一番高い音でつま先を上げる

 ここまでは着席で、ここから立って練習。先ほどまでは低いほうから声のバランスをとっていたが、今度は高いほうからバランスをとっていくという。

 まず、全員で「やあ! ぼくミッキー!」と完全な裏声で発声。次に地声のクリスピーさを少し混ぜて、もう一回。この「ミッキー」の「ミ」を使って音階練習をする。
 「ミミミ ミ ミ〜」と下がっていくのだが、このときに「動かないお腹」では響きが良くないので、お腹を使ってしっかり響きを出していくように、とのこと。Miyari先生がメンバーのお腹が動いているか、しっかりチェックして回っていく。

ミユのお腹の動きをチェックするMyari先生

Lesson 3:椅子を使った発声練習

 今度は椅子を使って、座りながら前屈するような態勢をとりながらの発声練習。ダメな例として「下に入る」、「頭が入る」、など。できるだけ真っ直ぐに入るイメージでやっていく。

①:脚を伸ばしてつま先は垂直に。骨盤をしっかり立てる。
②:手を肩と同じ高さで水平に伸ばす。
③:ゆっくり「ア〜ア〜ア〜ア〜ア〜(ドミソミド)」と発声しながら前方に伸ばして戻す。
④:だんだん音階を上げていき、下げていく。これを3分30秒続けた。

椅子の下に足を入れる
ナツキ

 椅子を使った発声は3分30秒。けっこう疲れるようで、終わったあとはみんなグッタリしていた。ちなみに身体の硬いナツキは、Miyari先生に背中を押してもらっていた(笑)。

Lesson 4:歌唱レッスン「Spotlight.」

 発声をたっぷりやったあと、デビュー曲「Spotlight.」を使った実践的な練習がスタート。まずは1回全体を通して自身のパートをすべて歌っていく。

 聴いた印象としては、全員で歌うサビは声が出ているが、ソロパートは全体的に声が出ていない。そこでA4程度の紙を準備することに。紙を口の前に持ってきて息を吹きつけるという練習だ。自分のパートだけでなく1曲の間、メロディに合わせてフッフッと吹き続ける。ちゃんと息が出せていれば紙が動くので、自分からも先生からも一発で目で見て確認ができるのだ。

ウララ
アノン

 そしてもう一回全体を通して歌唱。全体に音程はやや怪しいが1回目より声が出るようになっているのは間違いない。Mayu先生から「1回息の練習をしただけでこれだけ出るってことは、普段から省エネで歌ってるってこと。アイドルになるというのは全身を使って表現することだから、まずこれくらいはすぐ出るようにしていきましょう」とメッセージ。メンバーも「ハイ!」と答える。

 次の課題として「疾走感が全然ない」ということで、曲に合わせて「チュクチュクチュクチュク……」と16ビートで口ずさみ、自分のパートだけは歌うというトレーニングを行なっていく。これによってウラを感じながら歌えるので、グルーヴ感はグッと出た。

 ここで16ビートを口ずさみながら、声が小さくなってもいいからギリギリまでブレスを入れずに続けることを加えた。息が切れたら短く強く吸ってまた16ビートを口ずさむ。自分のパートは歌詞を入れて歌うので、その切り替えがとても難しいはず。でも「しんどくてもリズムは合わせる!」とMayu先生はハッパをかける。

 ここからは、1コーラスごとに細かくチェック。フォーメーションではなく、各自がその場でダンスをしながら自身のパートが来たら踊りながら歌っていく。

 最初にヴォーカルをとるのはスズナ。《閉じこもってた》のところにスクープ感を出したいので、両手で「抵抗のあるパン生地を伸ばすように」リズムをとりながら歌ってみることに。

 ハルコには《きっともっと》の《き》を出し惜しみせず歌うようアドバイス。ミユは《本当の私を》と《o》の発音が多いパートなので、大きく口を開けていかないと声が出ていかない。口の開きや形をしっかり覚える。

スズナ
ハルコ
ミユ

 3人が与えられた課題をクリアしたので、2コーラス目のチェック。Mayu先生は一回聴いて「1コーラス目に比べて全体に言葉のキレが悪い」と指摘する。そこで、全員で舌先を上の前歯に付けたまま歌うことに(唇を動かしてコントロールする)。やってみるとわかるが、これがめちゃめちゃ歌いづらい! しかし「これでもはっきり聴こえるようにしてください」とのこと。ここではアノンだけができていると厳しいジャッジだった。

 これをしばらくやってから普通に歌ったのだが、本当に歯切れが全然違ってくる。覚えては忘れ、また覚えて……身につくまで何度もやらないといけないわけで、こればかりは正解の近道はないのだろう。

 最後は振り付けを入れて「Spotlight.」を通す。パフォーマンスを終えるとMayu先生も拍手して「リズムも全体的に出てきたので、常にこれを感じるようにしてください」と成長を認めていた。ここまでの2時間でも、本日のボイトレ時間の3分の1が終わったばかりだ……。

Fuhua/Spotlight.【MUSIC VIDEO】

 1限目が終わって10分間の休憩後、2限目(2時間)は再びボイトレの基礎を行ない、Fuhua2曲目のオリジナルソング「LABIBI」のヴォーカルレッスン。お昼休憩を挟んだ3限目(2時間)でも、また基礎ボイトレと3曲目(曲名はお披露目ライブのお楽しみ)の歌唱ディレクションを行なった。

 誌面の都合上、内容については割愛するが、Mayu Wakisaka先生とMiyari先生の熱のこもった指導を受け、必死で喰らいついていくメンバーたちは本当に頑張っていた。

 ヴォイストレーニングが終わったのは午後4時30分。その最後に、Mayu先生からはひとりひとりに自主練習でやってほしいポイントを伝えてレッスンは終了した。

Mayu Wakisaka先生(後列右から3人目)、Miyari先生(後列左から3人目)を囲んで。

 その後、彼女たちは近くのダンススタジオに移動して、5時間にも及ぶダンスレッスンを行なった。さらに、翌日も13時間のダンスレッスン……。
 Fuhuaのコンセプトは“孵化”であるが、まさに殻を破るそのときを迎えるために、卵の中で必死にもがいているのである。

 そんなFuhuaの1stライブが、いよいよ6月11日(日)に東京・渋谷のLINE CUBE SHIBUYAで開催される。ぜひ彼女たちのお披露目のステージを目に焼き付けに来てほしい。

Fuhuaメンバーインタビュー、Mayu Wakisaka先生とMiyari先生のコメントは後編で!

後編はこちら!
https://vocalmagazine.jp/interview/japanese-music/230610_fuhua/


ライブ情報

『“Fuhua” Premium Reveal Live』
◾️日程:2023年6月11日(日)
◾️会場:LINE CUBE SHIBUYA
◾️開場:12:45/開演13:30
◾️チケット種類
・NFT購入者優先席 ※1階席前方/金額:0円
・一般席/金額:0円
・カメラ席 ※2階席前方 金額 1,500円(税込)
◾️販売期間
[先着販売]
先着受付:6月3日(土)10:00〜
売り切れ次第受付終了となります。
チケット申込:https://t.livepocket.jp/e/svi-_

イベント情報

Fuhua 初特典会!

日程:2023年6月18日(日)15:30〜OPEN 15:45〜17:30 特典会
会場:浜離宮朝日ホール(東京都中央区築地5-3-2)

[チケット]
入場チケット 2,000円(2ショット券1枚付き)

[会場内物販予定]
サインなし2ショットチェキ券 1枚1,000円
サインあり2ショットチェキ券 1枚2,000円
※事前予約の枚数に応じて変動あり
※各メンバー上限に達し次第販売終了
※複数メンバー購入可
※1会計3枚まで購入可

チケット販売期間
【一般受付】
申込期間:6月8日(木)10:00〜6月12日(月)23:59
当落発表:6月13日(火)順次予定
入金期間:当落発表〜6月15日(木)中

チケット申込:https://t.livepocket.jp/e/7b1qz


プロフィール

Fuhua(読み:フーファ)

 日本テレビ×プラチナムピクセルによる新プロジェクト『NFT IDOL HOUSE』から、オーディションを勝ち抜いたメンバーによって結成。メンバーはアノン、ウララ、スズナ、ナエ、ナツキ、ハルコ、ミユ、リリサの8人。総合プロデュースをSILENT SIRENのすぅ(vo、g)が務める。
 また、ブロックチェーン上に記録された、保有権証明が可能なデジタルデータとして注目されているNFT(Non-Fungible Token)ホルダーを中心としたコミュニティを形成、プロデュースや運営に関わっていくという新しいタイプのアイドルである。
 6月11日(日)にLINE CUBE SHIBUYAにて、お披露目ライブ『“Fuhua” Premium Reveal Live』が開催されることが発表されている。

関連リンク

オフィシャルサイト:https://fuhua.jp/
Twitter(Fuhua):https://twitter.com/official_Fuhua
Twitter(NFT IDOL HOUSE):https://twitter.com/NFTIDOLHOUSE
Instagram:https://www.instagram.com/fuhua_official/
TikTok:https://www.tiktok.com/@fuhua_official?lang=ja-JP
YouTube:https://www.youtube.com/@official_fuhua/featured


総合プロデューサー、すぅのインタビューはこちら!

 まだFuhuaの誕生前、書類審査直前のインタビュー!!

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