高木祥太(BREIMEN) が試す1万4千円のイヤモニ=MAPro1000 〜体感を含めた“ステージのフラット感”に近い
2024.06.26
自分を大きく見せない。でも“そのまま”を広げようとしている
−高木さんはもともとベーシストとして活動していて、BREIMENの活動の中でヴォーカルも担当することになりましたが、最近ではヴォーカリストという意識もかなり強くなってきたのではないかと、作品を聴いていて感じます。
高木 そういういきさつもあって、ずっと自分がボーカリストだという認識が持てなかったんですが、前のアルバム『FICTION』(2022年)や最新作『AVEANTIN』(2024年)では、ヴォーカルとして自分がやりたいことが見え始めてきましたね。あと、思ったより音域をすごい狭く見積もっていた。
−『AVEANTIN』ではかなり高い音域まで歌っていらっしゃいます。
高木 そうですね、意外と出るんだということに、制作しながら気がついて。以前はそこまで高い音が出ないと思っていて。特にベース&ヴォーカルだから、自分の中で「ベースを弾きながら歌える前提」をしていたんですが、『AVEANTIN』では、それを意図的に取っ払ってみたんです。特に「乱痴気」は、案の定ライブでは難しすぎて、本当にリハで絶望的な気持ちだったんですけど、ライブを重ねるごとにできるようになっていきました。人間は自分の頭の中で上限を決めちゃうと、それを超えられない。例えばリチャード・ボナとか、 ミシェル・ンデゲオチェロとか、ああいうベース&ヴォーカルの先人たちのようなことは本当に絶対できないと思っていたけど、『AVEANTIN』の制作とライブを通して、いや、なんかできるのかもな、みたいにはちょっと思い始めました。
−ヴォーカルでも限界突破ができそうだと。
高木 そう。自分の歌の音域がこれくらいだろうって思ってたのが、 意外とここまで出るんだということがあったりとか。ベースはもちろんですが、ヴォーカルにおいても自分のスタイルを見つけて、そこからさらに自分の可能性を広げるということをここ数年は取り組んでいます。だから、ライブでも結構いろいろな歌い方を試したり探したりしているんです。僕は曲も書くのも、アレンジをするのも、ベースを弾くのも、歌うのも、全部“高木祥太”で、たぶんそれぞれを“違うプリンターを使って出力している”だけなんですよ。それぞれの性能とかできることは違うけれど、全部高木祥太として出力される。それは意識しているというよりは、ただただ事実としてそこにあるって感じですね。
−結局、音楽で表現されているのは自分自身で、方法が違うだけということですね。
高木 だから、自分の可能性は追求するけども、でも、今出せる音や声に関して、大きくあるように見せない。そのままをフラットに出したいんです。でも、その“そのまま”を、ひょっとするともうちょっと広げられるんじゃない?ということを日々やっています。ライブ中に実験として広げようとすることはあるけれど、自分が追求しているだけで、お客さんに僕を大きく見せたいからやっているわけじゃないというか。
Maestraudio MAPro1000
14,300円(各色)