ULTRASONEの注目のワイヤレスヘッドホン『ISAR』を関取 花がチェック!

取材・文:鈴木 瑞穂(Vocal Magazine web)
人物撮影:菊地 英二

1991年ドイツで設立されたヘッドホンブランド、ULTRASONE。 “自然な臨場感を持つ音”をコンセプトにした独自技術の開発によって、世界中で愛用されている。そのULTRASONEから3月12日、ワイヤレスヘッドホン「ISAR」、完全ワイヤレスイヤホン「LAPIS」、ワイヤレスゲーミングヘッドセット「METEOR ONE」が一斉に登場した。

今回紹介するのは、ワイヤレスヘッドホンの「ISAR」。Bluetooth接続のワイヤレスオーディオ製品でありながら、ULTRASONEが誇る独自テクノロジー「S-Logic」に、ANC(アクティブ・ノイズ・キャンセリング)機能も搭載されている。

ISARをチェックしてもらったのは、シンガーソングライターの関取 花。NHK『みんなのうた」への楽曲書き下ろしや多数のフェス出演などを経て、2019年ユニバーサルシグマより念願のメジャーデビュー。2021年3月にはメジャー初のフルアルバム『新しい花』を発売し、全国ワンマンツアーの完遂、さらには書籍の発売など、活躍の場を広げ続けているアーティストである。
そんな関取に、ISARのインプレッションはもちろん、ヘッドホンとの付き合い方の変遷など、広く語ってもらった。

ULTRASONE ワイヤレスヘッドホン ISAR

Impression
関取 花 -Hana Sekitori-

ヘッドホンをすることによって気持ちのスイッチが入る

──音楽活動を始める前は、どんな基準でヘッドホンやイヤホンを選んでいましたか?

関取 見た目重視でしたね(笑)。最初は何の変哲もない黒いイヤホンから始まって、次に、耳掛け式の丸いイヤホンへ。赤色のものが可愛いなと思って、中学生のときに使ってました。赤いイヤホンだったら紺のブレザーの差し色になるかなって思って。高校生からは白いヘッドホンを使ってました。その頃は音にこだわりはそんなになかったですね。大学生ぐらいから徐々にこだわっていった感じです。

──どんなシチュエーションで音楽を聴くのが好きでしたか?

関取 通学中とか、今も電車の中が多いです。特に私が通学で使っていた路線は電車内がガラガラだったので、音楽を聴くのにはいい環境だったんです。

──そのときはどんな音楽を聴いてましたか?

関取 中学生の頃は、地元のTSUTAYAでJ-POPのトップ10を借りてきてっていう、いわゆる流行りの音楽を聴いていました。高校生になって白いヘッドホンを使いだしたあたりから、急にいろんなものをすっ飛ばしてシガー・ロスとかビョークを聴き始めるんです。兄の友達がバンドをやっていて、彼らが教えてくれたのがそういう音楽でした。大学生になってからは、サークルの友達たちが60年代の洋楽ロックンロールやカントリーが好きだったので、後追いでビートルズを聴いたり、あとはキャロル・キングやジョニ・ミッチェルなどの洋楽のシンガーソングライターを教えてもらって聴いていましたね。

──当時、ヘッドホンはどんな存在でしたか?

関取 ヘッドホンって、どんな環境にいてもいい意味で境界線が引けるというか、見た目も相まって、“ここから先は私の世界ね”ってちゃんと主張できるものだと思っていて。高校生のときは普段、“購買行こうゼ!”みたいな明るいヤツだったんですけど、バスや電車でひとりで帰りたいときは、たとえ音楽を聴かなくても、ヘッドホンをして境界線を引いてました。“今は学校での私じゃない私です”っていうのをポーズとして見せることで、実はたくさん救われてきたことはあった気がします。自分の時間と場所を守るために、当時なりにやっていたことだったんですけど、それはすごく記憶にあるんですよね。

──それは音楽活動を続ける中でも感じることですか?

関取 そうですね。レコーディングのときって、スタジオのヴォーカルブースにビデオがあって、コントロールルームでみんなが観られるんですけど、その映像を観返したらすごく表情豊かに歌ってるんです。もしかしたらライブ映像よりもすごいかもしれない。 でもそれって、観られたり聴かれているっていう意識がなくて、自分のために音楽を聴いて歌っているからだと思うんですよね。例えブースの中にひとりでいるとしても、ヘッドホンをするかしないかでけっこう意識は変わる気がしていて。 “私は今ひとりしかいないぞ、誰も聴いていないぞ”って思えるから、リラックスして歌うことができる。もしかしたらヘッドホンをすることによってスイッチが入るのかもしれないです。

“音が丸い”。ジャズベとプレベで言うと、プレベみたいな感じ

──それでは実際にワイヤレスヘッドホン「ISAR」についてお聞きしていきたいと思います。まず、ルックスの第一印象はどうでしたか?

関取 ルックスはめちゃめちゃ好きです。シンプルなものが好きなので、サイド下に黒彫りでポンって「ISAR」と入っていたり、「ULTRASONE」というロゴもヘッドバンドにしか入っていないので、すごく素敵だなと。あとマットなのも好きです。例えばブラックでテカりがあるものだと、私も含めナチュラルな格好が多い人は、意外と外で使うには本格的に映っちゃって少し躊躇しちゃうと思うんですよね。でも、これは黒すぎないしマットな感じで、女の子でも“ヘッドホンつけてます感”がなくて。イヤーパッドが縦長な部分も良いですよね。丸いとけっこう存在感が大きかったりするんですけど。あとは、この「S-Logic」の赤色がすごく好きです。

──ちなみに重量は約246gなのですが、重さはどうでしたか?

関取 実は、ワイヤレスのヘッドホンを使うのは今回が初めてなんですけど、すごく軽いなと感じました。首にかけていても疲れなさそうです。

──ISARをどんなシチュエーションで試していただけましたか?

関取 部屋でひとりの状態と、近くで人が電話している状態でANC(アクティブ・ノイズ・キャンセリング)オンモードを試してみたりしました。

──ヘッドホンの良し悪しを判断するチェックポイントはどこに置いていますか?

関取 物理的に耳が痛くならないかと、音楽を聴いていて音で耳が痛くならないかという感覚的な部分です。自分の中では“長時間聴いていて疲れない”というのが大きなポイントですね。

──今回はどんなタイプの曲を聴いてチェックしていただけましたか?

関取 アコースティック系のアメリカンなカントリーだったり、ザ・スミスやザ・ストーン・ローゼズといったエレキギターが印象的で、ハイの音のバランスが自分的に好きなバンドを聴いてみたりとか。あと、ピアノ系ではキャロル・キングの「Tapestry」をよく聴くので、一番フラットに判断できるかなと思って聴きました。また、パン振りはどんな感じかな〜と、ビートルズやウイングスはパン振りが面白いので聴いてみたり。あとは、やっぱり一番わかるので、自分の曲も聴きました。

──聴いてみて、どんなところが印象に残りましたか?

関取 まず思ったのが“音が丸いな”っていう印象で。なんとなく、ヘッドホンで聴くと(音が)ギュッと、ブリブリっとするイメージが勝手にあったんです。 自分がヘッドホンを一番使うシチュエーションはレコーディングで、そのときはワイヤレスではないですが、わりと全部の音をくっきり聴くために使うようなイメージがあったんです。でも、それに比べると丸いなっていう。ちょっと伝わるかわからないですけど、ジャズベとプレベでいうと、プレベみたいな感じで、輪郭が丸いイメージがありました。

──芯は残っているけど丸いっていうイメージですか?

関取 そうですね。むしろプレべを使っているバンドの音源は、普段聴いているよりもわりと聴こえたなという感じがしました。丸みはあるままだけど、音は何を弾いているかわかりやすかったです。自分の体感としては、“あれ、この曲のベースこんなに出てたっけ”って。

──いつも使っているものは?

関取 普段はいわゆるワイヤレスのBluetoothイヤホンを使っていて、それはわりとシャカシャカしている感じの音のイメージで、ただ、良いのか悪いのか慣れてきてはしまっていて……でもやっぱり最初に付けたときには違和感があったんですよね。だから普段聴いている音との差で、より一段とISARでの丸みを感じられたのだと思います。

──ISARには、ULTRASONEの「S-Logic」という独自テクノロジーが搭載されています。発音源であるドライバーを鼓膜の軸上からあえてズラして位置することで、ヴォーカルの声などが内耳に直接投入されるのではなく、反射しながら届けられる仕組みで、それによって自然な音像を表現しているそうです。

関取 確かに、スタジオセッションを聴いているような感覚でした。ライブというよりかはスタジオセッションっぽい感じ。 そうそう、ライブ音源も聴いておこうと思って、ニール・ヤングのマッセイ・ホールでのライブ音源もISARで聴いたんです。弾き語りなんですけど、会場がけっこう大きいところで、ギターがジャキジャキした感じなんですけど、ISARではアタックがマイルドな印象で、普段聴いているよりも、もう少し近くで聴いているコンサートみたいに、スタジオっぽく聴こえる印象がしたんですよね。

──関取さんの楽曲ではどうでしたか?

関取 自分の曲では、コンプがバキバキに決まっているような曲よりも、ナチュラルな生音に近い、ライブの編成に近いものやスタジオセッション的なものがヘッドホンの特徴がよりわかりやすかったです。スタジオで録った音をそのまま、またはちょっとだけミックスしたような音源が、すごく気持ち良かったです。

──ISARで聴く際にお薦めのご自身の曲をあげるとすると?

関取 本音を言うと、今制作している作品が一番このヘッドホンで聴いてほしいです。実は、いつもライブでやっているバンドメンバーと、ライブでもそのまま演奏できるようなものを考えながら録って作っているんです。ISARで聴いてもらったら、レコーディング風景が浮かんでくるようで、とっても面白いんじゃないかな。

──ANC機能(アクティブ・ノイズ・キャンセリング)も搭載していますが、ANCをオン/オフにした際のサウンドの違いについてはいかがでしたか?

関取 部屋でひとりで聴いていたときは、ANCをオンにした音は、ベースの音のふわ〜んと広がる感じがそのままギュッと前に出て、音が大きくなったなという感じがありました。例えば、壁一枚隔てて音楽を聴くと、ドラムやベースの一定のところが抜けて聴こえてくることがあるじゃないですか。ANCをオンにしたときはそういう成分が大きくなる感じ。なので、好きな方はとっても好きだと思います。特に、街中や電車の中、新幹線、地下鉄とか、ワーって騒音が鳴っているようなところだったら、没入感が全然違いそうだなって思いました。

ULTRASONE ワイヤレスヘッドホン ISAR

“自分がヴォーカリストである”ということを忘れて、もっとピュアな気持ちで聴ける

──耳へのフィット感はいかがですか?

関取 めちゃめちゃ好きです! なんか低反発っぽい感覚です。とってもモチモチしていて、ポン・デ・リングみたい(笑)。ストレスが溜まったらここだけ触っていたいです(笑)。気持ちいい〜。

普段からフィット感はすごく重視していて。特にワイヤレスだとコードがないので、ずれたらすぐ落ちちゃいそうだなって不安になっちゃうんですよね。でも、これはホールド感があってすごく安心です。

──ちなみにこのワイヤレスヘッドホンはANCをオンにした状態でも最大30時間の連続再生が可能だそうです。

関取 へーすごい! さすがに30時間聴き続けることはないんですけど、例えば新幹線で東京から広島に行くとなると4時間ぐらいかかったりしますし、途中から寝ちゃったとしても、ずっと装着し続けて疲れないものが絶対いいですよね。

──価格は32,980円と、ULTRASONEのハイエンドヘッドホンの技術が搭載されていながらも、そこまでハイプライスではない点も魅力だと思います。

関取 なんとなくヘッドホンやイヤホンは、ちょっと安くてもいいんじゃないっていう方もいると思うんですけど、使用頻度で言ったら外でも使うヘッドホンやイヤホンって実は使う時間が長いんですよね。ギターなどもそうですけど、どうせ長く使うんだったら、安いものを何回も買い換えるよりは、本当に気に入ったものを先に買ったほうが良い。そういう意味では、全然出せるお値段だなと思います。

──関取さんはどんなシーンでこのISARを使いたいと思いますか?

関取 私は、ANCオフのナチュラルな状態で聴くと一番良さがわかると思うんです。密着感もよくて、そんなに音を上げなくてもちゃんと聴こえるし、ANCをオンにしないで外の音がほんのちょっと聴こえるぐらいが、私にはちょうど良かったです。ナチュラルなモードで、普段の環境の中で聴いてもらうのが良いかなと思いました。

──Vocal Magazine Webは、ヴォーカリストを目指す方々へヴォーカル情報を届けていくメディアなのですが、ヴォーカル目線で言うとISARの魅力はどんなところですか?

関取 ちょっと的外れなことを言っちゃうかもしれないんですけど、ヴォーカリストの方は、“自分がヴォーカリストである”ということを忘れながら音楽を聴くのが一番幸せなことだと思うんです。

仕事や自分に置き換えて聴くと 、“どうやったらこうやって歌えるんだろう”とか、“この人のこういうアレンジいいな”とかをすごく考えちゃう。それももちろん大事なんですけど、常日頃使うものからそれを吸収すると、意外と血と肉にはならなくて、頭のほうに流れていっちゃう情報だと思うんです。でも音楽って本来そういうものじゃないと思うので、あんまり気にせずに聴くのが良いんじゃないかな。それでいうと、ISARは歌がガツンと来ない感じが私はすごく好きです。

バンドと歌が混ざって聴こえる感じが丸くて、歌モノでありがちな、歌が前にドーンと突出してあって、うしろが演奏みたいなパターンではないんです。スタジオセッションで円になってパフォーマンスしているような、他の楽器も含めて気持ちよく聴けるのがこのヘッドホンの良いところだと思うんです。ちょっと仕事脳になっていたり、どうしてもヴォーカルに耳がいっちゃうっていう方が、もっとピュアな気持ちで聴けるようになると思うので、お薦めしたいです。

──執筆いただいている連載コラムによると、次の制作に取り組んでいるそうですね。そちらはどんな作品になりそうですか?

関取 めちゃめちゃいいですよ。 音像の面で言うと、今回は自分の好きなミュージシャンと一緒にアレンジを考えながらセルフプロデュースでやっているので、音の作り方もバキっとコンプをかけて歌をバーンと出すというよりかは、スタジオの空気感を丸ごと録っている感じになっています。例えば、“私の弾き語りが好きだよ”っていうリスナーの方も、聴きやすいバンドサウンドになっていると思うし、“いろんな楽器が入っている曲が明るくて好きだよ”っていう方にもよろこんでもらえると思います。どの角度から好きになってくださった方にも一番聴いてほしい、一番いい今の私が出せているんじゃないかなと思います。

──その新作をISARで聴かせていただくことを楽しみにしています。

関取 そうですね。私もぜひ聴いてみたいです!


ULTRASONE 『ISAR』の特徴

ISAR(イーザル)はULTRASONE初のANC(アクティブ・ノイズ・キャンセリング)搭載のワイヤレス・ヘッドホン。ULTRASONEと言えばブランドの代表的な技術であるS-Logic(ヘッドホンのドライバーを鼓膜の直線状にあたる位置から意図的にオフセットして設置することで、スピーカーで音楽を聴くのと同じフィールで自然な音像を感じることができるという技術)が有名であり、国内外の音にこだわりのあるミュージシャンやDJ、エンジニアに支持されるヘッドホン/イヤホンの専業ブランド。今年初頭にリリースされたISARはこのS-Logicの聴き心地をワイヤレスでどこでも自由に体験することができる優れもの。併せてノイズ・キャンセリングも搭載し、レコスタやオーディオ・ルームのような環境を気軽に持ち運べるヘッドホンだ。

イヤーパッドにはプロテインレザーを使用。プロテインレザーは吸放湿性があり、湿気をコントロールすることが可能。 質感も天然皮革に近く耐久性や加工性に優れている。

充電用のUSB-Cケーブルと、ワイヤードでも使用可能な3.5㎜ケーブルが付属。

本体は折り畳み可能で、付属ケース内にコンパクトに収めることができ、持ち運びにも便利。

ULTRASONEのロゴがエンボス仕様で刻まれた高級感あるBOXにストレージされる。

ISARメーカーHP https://www.aiuto-jp.co.jp/products/product_3829.php


プロフィール

関取 花
1990年生まれ 神奈川県横浜市出身 愛嬌たっぷりの人柄と伸びやかな声、そして心に響く楽曲を武器に歌い続けるソロアーティスト。NHK『みんなのうた」への楽曲書き下ろしやフジロック等の多くの夏フェスへの出演、ホールワンマンライブの成功を経て、2019年ユニバーサルシグマよりメジャーデビュー。2020年初の書籍「どすこいな日々」発売。2021年3月にはメジャー初のフル・アルバム「新しい花」を発売。

製品情報

  • ULTRASONE ワイヤレスヘッドホン ISAR

    SPECIFICATIONS

    本体
    ■シリーズ/品名:ULTRASONE ワイヤレスヘッドホン 『ISAR』
    ■カラー:グレー
    ■イヤーパッド:プロテインレザー+メモリーフォーム
    ■ドライバー:40mm径マイラーダイナミックドライバー
    ■感度:95db
    ■周波数帯域:20-20KHz
    ■インピーダンス:32Ω
    ■タッチコントロール:○
    ■折りたたみ:○
    ■価格:32,980円(税込)

    機能
    ■ノイズキャンセリング:○
    ■外音取り込み機能:○
    ■防塵防水規格:IPX5
    ■マイクロホン:〇

    チップセット
    ■Qualcomm QCC3034

    Bluetooth
    ■バージョン:5.0
    ■プロファイル:A2DP, AVRCP, HFP, HSP, SPP, DID, HOGP, PXP, FMP, BAS
    ■対応コーデック:SBC、AAC、aptX、aptX HD
    ■オートペアリング:○
    ■マルチポイント接続:最大2台
    ■Bluetooth対応範囲:約15m

    電源
    ■バッテリー:内蔵リチウムポリマーバッテリー
    ■バッテリー容量:900mAh
    ■連続再生時間①:約32時間(BTのみ)
    ■連続再生時間②:約30時間(BT+ANC使用の場合)
    ■連続待受時間:約280時間
    ■フル充電時間:約3時間

    USB形状
    ■USB Type-C(充電のみ)

    重量
    ■約246g

    付属品
    ■キャリングケース、USB Type-Cケーブル(充電専用)
    ■AUXケーブル(約1.2m)

    生産国
    ■中国

    保証
    ■本体1年、付属品90日

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