【インタビュー】高橋 優 新曲「spotlight」制作背景を語る。 “この曲が聴いてくれる人のスポットライトになればいいな”と。『秋田CARAVAN MUSIC FES 2023』への想いも!

取材・文:藤井 徹(Vocal Magazine Web)

歌うという行為は誰かの期待に応えたいという気持ちが入っている

──使用したマイクはどうですか? いつもどおりの感じですか?

高橋 うん。いや、でもなんかレコーディング中に変えられたなあ。僕、あんまりマイク詳しくないんですよね。

──プレイバックしてみて、“ちょっと硬いかな?”とか、そういう判断だったのかもしれないですね。

高橋 僕の声が、スタジオとマイクの環境下によって、ちょっとフラットした風に聴こえるときがあるんですよ。たぶん自分の声質の中で一番みんなの耳に届く部分の音があって、確かに音程は達している、ちゃんとそのキーが出てるんだけど、若干フラットのほうが前に聴こえるっていう現象なんです。僕はこの曲で最初そうなってる気がして、“前もこうなったことがあるから、ちょっと対策したほうがいいかもしれない”とエンジニアの方やスタッフにそれを伝えました。そのときに確かマイクを一回変えてもらった気がしますね。銀色のやつから金色のやつになって、おお、なんか贅沢になったぞ!と、ひとりで勝手に思った記憶があります(笑)。

──アコギは何を使いましたか?

高橋 デモで僕が弾いたのは、ギブソンさんに作ってもらったシグネチャーのダヴですね。“高橋 優”ってトラスロッドカバーに入っている黒いギターです。それで録ってデモを送りましたけど、今回のバンドサウンドは全部Daichiさんが作ってくれたんで、たぶんダヴじゃないと思います。

──レコーディングで弾いてないんですね。

高橋 はい。今回、僕は歌しか歌ってないです。ラクでした。すごい楽しかったです(笑)。

──では、ライブ用にまたそのアレンジされたフレーズを覚える感じですか?

高橋 そうです。でも、イントロのストロークの方法とかも、自分が重要と思って弾いているストロークのやり方と、エンジニアとかプリプロをしてくれる編曲家の方々が思ってる部分って、やっぱり伝え合わないとわからないんだなって改めて思いました。僕の中では《 ♪ ダーダラ ダダダダ》って弾きたいのに、なんか《ジャージャー ジャージャジャ》とか、ちょっとダウンストロークだけになってたりとかしていたので、そこだけ録って送ったりとか。

あとは“いやあ、2弦の3フレットだけはずっと押さえててほしいんですよ”とかね。“やはりその音は欲しいんですよ”とかっていうのは、けっこう事細かにめっちゃリクエストしましたね。間奏に入るときのコード進行とか、“ここはハネてほしい”とかも。“じゃあ自分が弾けばいいじゃん”ってみんな思った気がします(笑)。

──それはちょっと意外な話でしたね。

高橋 まあでも、ちょいちょいありますよ、僕。別に自分で弾くのが嫌だとかはないですし、最終的に(ライブで)自分で弾くしかないんですけど、レコーディングに関してソロシンガーのいいところって、いろんな人と一緒にやれることだなと思ってて。そのほうが彩りが増していくじゃないですか。この「spotlight」に関しては、とにかくカラフルなイメージが僕の中であったから、いろんな人たちが関わっていることが、きっと素敵なことだなと思ってます。

──ありがとうございます。では、お聞きした以外で『Vocal Magazine Web』の読者に、特に聴いてほしいこだわりポイントなどがありましたら。

高橋 『Vocal Magazine Web』を読んでる方々だと、やっぱヴォーカルをやりたい方々も多いんですよね。そうだなあ、どうなんでしょうね、プロなりたいんですかね?

──もちろん、プロになりたい方も読んでると思います。

高橋 「spotlight」のメッセージで、僕が一貫して思っていることは、誰かしら期待してる人がいるんですよね、あなたのことを。“自分にはいないよ”ってみんな思うじゃないですか。僕も思ってますから、“いない”って。ともすると自分の楽曲を期待してる人なんか、ひとりもいないんじゃないかなとか思ったりするんですけど。

でも歌うっていう行為って、誰かの期待に応えたいっていう気持ちは絶対入っているはずなんですよね。少なくとも“自分”の期待も含めて。そう、だからあなたのことを見てる人が必ずいるし、声って全員ちゃんと違う風に与えられてる楽器だと思うんで。あとは目指す方向で違うと思うんですけど、そう思って歌い続けたらきっと楽しい歌が歌えるんじゃないかなと思うんですよね。

そういう意味で、「spotlight」も“楽しい歌”になってほしいということと、そういう風に“あ、自分も誰かから見てもらってるかも”っていう気持ちになるような、この曲が聴いてくれる人のスポットライトになればいいなっていうのは、ちょっと思ってますね。

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