【インタビュー】NAO AIHARAが語る、デビューから約1年ぶりの新作に込めた自身の意思と歌への想い
2023.03.9
取材・文:鈴木瑞穂(Vocal Magazine Web)
好きな楽曲も、やってみたいことも、物怖じせず挑戦していきたい
──ここからは2ndシングルについて聞かせてください。「refrain」は明るいダンスポップに乗せて自分と向き合うNAOさんの心情がまっすぐ伝わってくる1曲です。作詞はNAOさんとナカツジアラタさんの共作とのことで、歌詞に込めた想いを教えてください。
NAO もともと歌詞を書く上でテーマにしたのは“ルッキズム”で、“かわいいや綺麗だけで決めつけないで欲しい”みたいなメッセージがあったんですけど、どんどん派生して歌詞を変えていく中で、恋愛にも繋がったりして。
歌詞のストーリー的なところでいうと、友達の恋愛相談を聞いて相槌を打ちながらアドバイスしてる中で、“こんなこと言ってるけど、当の自分ってどうなんだろう”ということを考え始める感じ。“自分も結局ヒロインになれるのかな?”とか“人生の中でちゃんと生きられるのかな?”みたいなことを家で悶々としながら考える中で、“それは絶対ヤダ!”という気持ちもありつつ、“でも私にできるのかな?”みたいな、ふわふわしてる感じです。
──歌詞のコンセプトはどんなところから浮かんできましたか?
NAO トラックをいただいたときにキラキラしてるイメージを感じたので、“かわいい”とか“綺麗”といった言葉に着目したんです。でも、ただそういう曲というよりは深みが欲しいと感じたので、歌詞も派生していって今の形になりました。
──「lighthouse」のときも2番の歌詞からNAOさんがEmilyさんと共作されていて。そこでもハッピー全開!というより、内に抱える不安や葛藤と向き合ったディープな心情を書かれていました。
NAO そうですね。ただ明るいだけって結局裏があると思っているので。裏というか、明るい人ってきっと裏では何かを頑張っていると思いますし。それに私がそんなに明るいキャラではないので(笑)。
──お話している中ではキラキラオーラを感じますが、実はそうなんですね。
NAO あ、本当ですか。けっこう言葉にすると暗めな歌詞ばっかりになっちゃうんですけどね(笑)。
──先に歌詞を読んでから曲を聴いたら、歌詞の世界観以上に曲調がポップで、そのギャップというかバランス感が素敵でした。歌声としても「lighthouse」での深いヴォーカリゼーションから一変して、明るい歌唱アプローチをしています。
NAO この曲は「lighthouse」に比べて、歌詞もトラックもそうなんですけど、強い意志や深さがあるというよりかは“ふわふわしてる”。自分の中で“ああでもない、こうでもない”みたいな、ただただ自分の脳内を映し出している感じの曲です。だから「lighthouse」では決意や緊張感を感じさせる歌い方を意識していたかなと思うんですけど、「refrain」はわりと話し言葉のような、もしかしたらそれよりかわいい歌い方だったかもしれないですね(笑)。
──こういった声色表現はわりと得意?
NAO 得意というか、やろうと思えばできるかなという感覚はありました。
──スッと歌えた感じですか?
NAO そうですね。
── 一方で2曲目の「as is」は、変則的なリズムトラックの上でジャジーな歌い方、Bメロでのラップ、サビの超ハイトーンなどたくさんの声色表現が詰まった1曲です。もともと展開が激しい曲をオーダーしていたのでしょうか?
NAO 実はこの曲はもっとトラックの音が多くて、バックで鳴っている音色も高音域でキラキラしたソースが多かったんです。BPMもけっこう速かったので、まずはBPMを下げてダウンテンポにしてもらい、トラックアレンジも音数を減らしてJazzyなものにして。またサビもトラックアレンジに合わせて、修正させていただきました。曲尺ももっと長かったですが、ぎゅっと構成を詰め込んだものにしようって話をして、結果今の尺に収まりました。
──もともとのトラックに対して、NAOさんの希望を作曲家さんに伝えたということですね。
NAO はい。けっこうやらせていただきました。
──デモ音源に仮歌は入っていましたか?
NAO 仮歌は入っていなかったです。
──では歌唱アプローチもゼロから考えていった?
NAO そうですね。大体のメロはあったんですけど、メロもけっこう修正して変えていただいたので。
──歌唱アプローチはどんなふうに考えていったんですか?
NAO 歌い方はわりと自分のイメージで歌っていったと思います(笑)。
── 一番苦戦したパートはどこでしたか?
NAO サビですかね。《溢れる言葉に溺れないで〜》のところ。リズムと英語のアクセントがけっこう難しかったです。
──どんなふうに録っていったんですか?
ディレクター 細かいパンチインみたいなことは全然してなくて、基本はブロックブロックで歌っていってます。ブロックでいいのが録れたらそれを採用していました。ズルッとそのまま録っていくこともあれば、テイクを何本か録った上で「これがいいよね」ってはめていくこともあったり。
──レコーディングのときは歌い方を決めてから入っていますか? それともレコーディングの中で構築していく?
NAO この曲は一度プリプロのときに仮レコーディングしていたので、自分の声の感じもわかっていました。なのでその声を聴きつつ、もうちょっとこうしたほうがいいなっていうのを自分の中で想像して、本番に入った感じでしたね。
──後半のサビの《ハッピーエンドにするために》のところは超ハイトーンで歌い上げています。楽に歌えましたか?
NAO 自分としては高いほうがむしろ楽なんですよね(笑)。安定して狙いやすい。中音域のほうがちょっと難しくて、上がり切ったほうが出るんですよ。
──前回のインタビューでは歌う前にリップロールをしていると言ってましたが、こういう高いパートを歌う前の特別なウォーミングアップはありますか?
NAO 今回はリップロールではなく、何回か歌って喉を慣らして、慣れてきたなと感じたら早めに録ろ!みたいな感じです。
──“この部分は特に聴きどころ!”という歌唱パートを教えてください。
NAO サビもそうですけど、途中の《誰かとの夜は、呼吸が浅いよ〜》とかも好きなところですかね。けっこう(曲の展開が)パンパン進んでいく中で落ちるところでもあるので。ココがあるからこそ深みが出て、サビがより伝わるかなと思うので。
──息混じりの歌声で、まさに最初ボイトレトークのときにお話していた“息の深さ”を感じる部分ですよね。
NAO はい(笑)。息多めの。
──歌うときマイクとの距離は意識していますか?
NAO それは言われて意識しました。「もうちょっと近めで!」ってアドバイスをいただいて、「あ、けっこう近くで歌っても平気なんだな」っていう気づきがあって。それこそ《誰かとの〜》のところとかはめちゃめちゃマイクの近くで歌いました。
──ラストに収録されている「lighthouse」についてはぜひ前回のインタビューを読んでいただくとして。改めて今作の全体的な聴きどころを教えていただけますか。
NAO 「refrain」「as is」「lighthouse」という順序で心の動きというか、ストーリーを展開させていて。友達の話を聞きながら、ちょっと悩み始めたきっかけで深く考えて……その中で決意したものが最後「lighthouse」に表現されているみたいな、そういう流れに歌詞もなっていると思うので、その流れを意識して聴いていただけたら楽しいんじゃないかなと思います。
──たくさんの変化や挑戦のあった2022年だったと思いますが、2023年はヴォーカリストとしてどんなことに挑戦していきたいですか?
NAO 自分の色ももうちょっと出せるようになっていきたいです。好きな楽曲もやってみたいことも、物怖じせず挑戦していきたいなって思ってます。
教えて!ヴォーカリストのこだわり!
リリースインタビューはお楽しみいただけましたか? ここではNAO AIHARAさんのヴォーカリストとしてのこだわりをちょこっと教えていただきました。
◆前回に引き続き、喉ケアグッズ(前回インタビュー時の回答:「プロポリスの缶詰に入っている飴」)
本当にないんですよね、何もしていない(笑)。でもけっこうヤバいなって思うときは「響声破笛丸」という漢方を飲みます。けっこう“カポっ”て喉が開くのでいいです。ボイトレの先生が持ってるんです。そのまま飲むんですけど、イソジンを苦くしたみたいな味がします(笑)。
◆レコーディング時のドリンク
水かな。けっこう飲むかもです。(500mlを)1本半〜2本ぐらい。
◆最近影響を受けたアーティスト
「アルゴリズム」というアーティストというかチームです。歌詞もトラックも大好きで、あと声がとにかくめっちゃ好きです。TAKAさんって言うんですけど、ぜひ聴いてほしいですね。あと女の人は「JISELLE(ジゼル)」と「Lee Hi(イ・ハイ)」っていう韓国の女性アーティストの声が大好きです。ハイちゃんの声になりたいです。
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リリース情報
2ndシングル「refrain / as is」
2023年3月1日(水)より配信中
配信はコチラ:https://avex.lnk.to/nao_refrain_asis
<収録内容>
01. 「refrain」
02. 「as is」
03. 「lighthouse」
プロフィール
NAO AIHARA
シンガー / ダンサー。幼少期よりダンスを学ぶなか、映画『バーレスク』と出会い、ダンスだけでなく、歌うことへの憧れを持つようになる。その後、映画『ドリームガールズ』のジェニファー・ハドソン)やビヨンセ(に影響を受け、90年代R&Bへ傾倒。歌うことで人々を魅了するようなシンガーを目指し、活動を行なっていた。2020年、エイベックスとテレビ東京がタッグを組んだオーディション番組『ヨルヤン』の「女性R&Bシンガー&ダンサー・オーディション」に応募しデビューを勝ち取る。
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