取材・文:鈴木瑞穂(Vocal Magazine Web)
「超学生はこんなこともできます!」を欲張って集めた1作
──ここからはアルバムについて聞かせてください。新作『超』はジャンルレスな色とりどりの11曲が収められていますが、ご自身ではどんな1枚になったと感じていますか?
超学生 もう僕の自己紹介というか、「超学生はこんなこともできます!」っていうのを欲張って集めた作品になってます。でも過去の超学生を捨てたわけじゃないよっていうのもお伝えしたかったので、アルバムはインディーズ1作品目から始まって、インディーズラストの曲を最後にして、送り出すというか今後に繋げるという想いを込めた曲順にしました。
──間の曲順も何かルールがありますか?
超学生 実はそれは特に考えておらず、真ん中はほぼリリース順です。最後の直前にメジャーデビュー曲の「Did you see the sunrise?」を置くっていうのは決めていたことなんですけど、それ以外はどんどん詰め込んだ感じです。
──既発の9曲に加え新曲2曲が収録されていますが、どんな新曲を足していこうというイメージでしたか?
超学生 今までやってないことをやろうっていうぐらいですね。どの曲もそうなんですけど、その都度やりたいことをやらせていただいた感じなので、今までを踏まえてというよりは、1曲ずつ全然違う方向性でやっていきました。
──“これをやりたい”というインスピレーションはどういうところから生まれてくるんですか?
超学生 普段いろんな曲を聴くので、そこから受けることが多いです。例えば「Let’s go」で言うと、これはもうブルーノ・マーズみたいな愉快な洋楽をやりたいというところから入っていたり、「Give it to me」はSEVENTEENとか韓国の曲を聴くことが多いので、“K-POPっぽいのをやりたいな”だったし、「ガトリングアジテイタア」は“ボカロの超学生”を1曲ぐらいガッツリ魅せたいというのがあったので、前々からお願いしたかったボカロPのcosMo@暴走Pさんに作っていただいたり。
──作家陣の方々と事前に話し合いをすることは多いのですか?
超学生 ほとんどそうですね。毎回リモートなり対面なりで打ち合わせさせてもらってます。
──曲の完成イメージは超学生さんの中で最初からある程度見えていますか?
超学生 今回のアルバムに関しては特にそうでした。例えば「ボカロPさんの過去のこの曲みたいな曲調はいかがですか?」って提案したり、職業作家の方々は何でも作れますって言ってくださることも多いので、僕の完成イメージに近いリファレンスを何曲かお渡ししたり。例えば「Fake Parade」のとき、辻村有記さんにお渡ししたのは平手友梨奈さんの「ダンスの理由」でした。「こういったヘヴィなサウンドがありつつ、プラス疾走感のあるテンポ感で引っ張るような曲調がいいです」というようにお願いしていて。具体的にオーダーすることが多かったです。
──作家さんから上がってきたデモに仮歌は入っていましたか?
超学生 ほとんどの方が入ってます。人によって違うんですけど、多いのはご本人の声です。職業作家さんの場合は歌手の方が声を当ててくださっていたり、あとcosMo@暴走Pさんに関しては、ボーカロイドの声で入れていただいてましたね。
──歌唱表現を考える際は仮歌の表現を参考にしますか? それともゼロから考えていく?
超学生 まったく無視で考えていきます。ただ例外で言うと「ルーム No.4」と「サイコ」を作ってくださったすりぃさんとは、なんか歌唱表現が似てるんですよ。だから少しシンパシーを感じる歌い方をしてると思いますね。以前すりぃさんがどこかのコメントで、“「サイコ」のときに超学生からもらった歌唱音源を聴いたら、ここはこういうふうに歌うよねって思うところがいっぱいあった”ということをおっしゃっていたんですけど、まさにその通りだと感じてます。
──歌詞を読み込むタイミングはいつ頃ですか?
超学生 僕は歌詞を覚えるのが苦手なので、なるべく早い段階で歌詞は読ませてもらってます。ボカロPさんの楽曲は明確に世界観が固まっていることも多いんですよね。そういう曲は主人公がどういう人なのかっていうのを理解して録音したいので、小説を読む感覚でじっくり考えます。それこそランニングしているときとか。