取材・文:田代智衣里(Vocal Magazine Web)
数年間あの曲をやっているから、安定感がある
──8曲目はクリスさん原曲の「I Believe〜手をつなごう〜 (English Version)」ですが、今回English Versionにしたのはどんな経緯だったのですか?
クリス この曲は2014年に制作したんですが、当時クリスマスにリリースしたかったけど、『NHK紅白歌合戦』で中島みゆきさんの「糸」を歌うことになって「I Believe〜手をつなごう〜」は別のタイミングでリリースすることになったんです。
そのあとオリジナルアルバムに収録したんですが、クリスマスソングとして作ったのにクリスマスソングとして出せていないところがあって。いつかクリスマスに出したいと思っていたんです。
今回、収録する8曲を先に決めて通して聴いてみたら、なんかちょっと物足りないと思って。完全にバラードの曲が入ってないからだったんだと思います。どうしようか迷っていたときに「I Believe〜手をつなごう〜」があって、レコーディングするなら新しいことをやりたい、国際的にどこでも楽しめるアルバムを作りたいと思って、英語バージョンを作ることにしました。
──「I Believe〜手をつなごう〜 (English Version)」は息の合ったピアノとヴォーカルに惹き込まれますが、この曲もリモートでレコーディングをしたということですよね。
クリス 「I Believe〜手をつなごう〜 (English Version)」のピアノは、僕が活動休止する前のバンドマスターだった堀 倉彰さんなんですが、彼はこの曲に慣れているから絶対に良いアレンジができると思って頼んだんです。
今回ドラムRecも時間の関係でMIDIデータでいただいたんですが、ピアノもMIDIで弾いたデータを送ってもらって、僕が持ってるソフトで音を作りました。
──リズムの緩急も自由ですが、完全リモートだったんですね。
クリス 僕たちは数年間あの曲をやっているから、それでも安定感があります。最初はピアノを海外のプレイヤーに頼もうかと迷っていたんですけど、初めてやる人だったらやっぱりフリーのリズムでできないから、難しいと思って。
でも堀くんの場合は、僕の声のこともすごくわかっている。どこでテンポを上げるか、ロスがあるかもわかるので、全然問題ないんです。ちょっとだけガイドを送ったら、もう彼のプレイで仕上げてくれました。ピアノのMIDIデータをいただいているから、僕はあとでヴォーカルを録るときに自分でリズムを調整しました。
──ヴォーカルを録るときは、クリックなしですか?
クリス クリックはあるけど、ちょっと気にしないように、フリーリズムで聴こえるように考えながら歌いました。リズムが一定じゃないことにはけっこう慣れていて、『Song for You II』の「I LOVE YOU (Studio Live ver.)」も一発録りで、みんな別々の部屋で録ったんですよ。安定してるプレイヤーと一緒だったら深く気にしなくても合わせてくれるので、耳だけで調整している感じです。