【インタビュー】ひとみ(あたらよ) 1stアルバムに詰め込んだ多彩な歌唱表現。進み続ける中でも、ブレない自分の「芯」

2022.03.24

取材・文:鈴木瑞穂(Vocal Magazine Web)

3月23日、あたらよが1stアルバム『極夜にして月は語らず』をリリースした。
2020年11月、YouTubeで初のオリジナル曲「10月無口な君を忘れる」を公開するやいなや、エモーショナルな歌声と歌詞の世界観が多くの共感を呼び、2022年3月時点で3200万回再生を突破している。
今回はそんな彗星の如く現われたバンド・あたらよから、ヴォーカリストのひとみが登場。彼女の歌声を形作ったルーツや、最新アルバムに詰めた新しい表現など、謎に包まれたベールをひとつひとつ解き明かしていこう。

バンドの真ん中で、ものすごい声量で歌っている姿に憧れた

──幼少期はどんな歌を聴いていましたか?

ひとみ 子供の頃は車の移動が多くて、母親が運転するときによく流れていたのは、ドリカムや山口百恵さん、中森明菜さんとか。あとおじいちゃんの車に乗ったときはひたすら演歌を聴いてました(笑)。

──楽器との出会いはいつ頃ですか?

ひとみ 4歳のときにクラシックピアノを習い始めて、ドビュッシーといったザ・王道のクラシックを弾いていました。ギターは高校生のとき、フォークソング部への入部をきっかけに始めました。当時、家入レオさんや片平里奈さん、阿部真央さん、miwaさんといったシンガーソングライターの曲をよく聴いていて、“自分もギターを弾きながら歌えるようになりたいな”って思っていたんです。部活では定期的にライブがあったので、周りのみんなと教え合いながら練習していくことで、だんだんとギターに慣れていきましたね。

──高校卒業後に進んだ音楽の専門学校で、専攻は何を選びましたか?

ひとみ プロミュージシャン学科のバンドヴォーカル専攻です。

──やっぱりバンドっていうのがあったんですか?

ひとみ もともとはシンガーソングライターになりたかったんですけど、実はPA (音響)の学校に興味があった時期があって、一度オープンキャンパスに PA 体験をしに行ったことがあったんです。そこでのぐちさん(Twitter)というアーティストがライブをしていて、その方はシンガーソングライターなんですけど、その日はたまたまバンド編成だったんです。そこで初めて生のバンドサウンドを耳にしたんですけど、 その迫力というか……バンドの真ん中で、ものすごい声量で歌っている姿がめちゃめちゃカッコよくて。そこからバンドに強い憧れを抱くようになって、バンドのヴォーカル専攻に行こうかなって思いました。

──学校で、特に役に立ったと感じた授業は何ですか?

ひとみ とある先生と一対一のボイトレの授業があって、その先生はものすごく厳しい人だったんですけど、レッスンを終えると圧倒的に歌えるようになってたんです。自分が歌えないって思っていた範囲の声が出たりすると、“私ここまでできるんだ!”と思えたりして、自分の可能性を伸ばしてくれた授業だったなと思います。

──ボイトレは高校生のときにも通っていたそうですね。

ひとみ そうなんです。高校生のときってバイトができるじゃないですか。“じゃあそのお金を何に使おうかな?”と考えたときに、お金をかけてまでやりたいと思ったのが歌だったんです。あと、“ボイトレ通ってる高校生ってなんかカッコいいな”っていう気持ちもあって、貯めたお金でヴォイストレーニングに通いました。

──すごい、自分のバイト代で! 歌の練習で、誰かの真似をした経験はありますか?

ひとみ 家入レオさんや阿部真央さんはけっこう真似してました。あのパワフルな歌い方は私にはなかったので、自分の中に取り込めたらな、と。

──大きな声を出せる場所も必要そうですけど、どこで練習していたんですか?

ひとみ 基本は家ですね。専門学校に入ってからは学校にスタジオがあったので、個人予約して練習したりしたんですけど。家も意外と騒いでも大丈夫な環境でした。家族も歌が好きで、おじいちゃんは地元のカラオケ大会で優勝してトロフィー持って帰ってくるような人だったんです(笑)。おじいちゃん家にはカラオケの機械があるんですけど、私も小中学生の頃はそれで歌ったりしていて。今考えると恵まれてたなぁって思います。

──なるほど(笑)。絶対習得したいと練習したテクニックはありますか?

ひとみ フェイクかな。中学生の頃、仲良かった帰国子女の友達から洋楽を教えてもらって、テイラー•スウィフトやセレーナ•ゴメスなどを聴いているうちに、歌いたいと思うようになって。でも、洋楽は難しいフェイクが多いので、“何としてもフェイクをやりたい!”ってひたすら練習してました。

──フェイクってどんなふうに練習するんですか?

ひとみ パッと聴いた感じだと音が混ざるので、ちゃんと聴き込んで音が上がってるのか下がってるのか頭の中でバーを作るんです。そのバーを自分の声でなぞっていく。最初はゆっくりやって、だんだんと原曲と同じ速さで……という感じです。

──2020年頃にTikTokで弾き語りのカバー動画をアップしていますが、当時の宅録環境を教えてください。

ひとみ 実は、特にマイクも持ってなくて、スマホで録ってたんですよ。最近、ライブ用のマイクを買ったぐらいで、録音用のマイクは今も持ってないです。

──アップされている動画は、音がすごく綺麗じゃないですか。何かアプリなどを使っていたんですか?

ひとみ 「Impact by Focusrite」っていうアプリがあるんですけど、リバーブなどをかけられるので、それで録ってました。

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