【インタビュー】Tani Yuuki、1stアルバム、絢香との共演、そして生粋のシンガーソングライターとしての強い想いを語る
2022.03.23
取材・文:藤井 徹(Vocal Magazine web)
絢香さんは僕自身を形づくってくれたアーティストのひとりだと思っているんです。
───アルバムに続いては、YouTubeのコラボ企画、“Re:tter”について聞かせてください。第一弾のゲストは絢香さんでした。このプロジェクトはどういうアイディアから生まれたのですか?
Tani 僕のYouTubeチャンネルのメインコンテンツになるものを作ろうというのが、希望のひとつとしてありました。だけど、僕がやりたくないことや、自分と関連性のないことをやりたくなかったんです。そこで僕自身のルーツを見つめ直すきっかけになる企画にしたいということで決めました。
僕はアニメ全般が好きなんですが、特に『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』が大好きで。手紙を書きたくても字が書けないという人たちが、ドールという人たちに代筆してもらう物語なんです。それもあって、僕が手紙に思いを込めて憧れのアーティストさんに渡し、想いを聞いてもらった上で、思い出の曲を一緒に歌うというコンセプトにしました。
──“letter”でなく、“Re:tter”と表記したのは?
Tani 僕がリスペクト(respect)してるアーティストさん、僕が回顧すること(review)、コラボしていただいたことで何かを返したい想い(return)とか、アール(R)から始まるいろんな単語が込められているんですよ。僕の曲っぽい当て字チックなタイトルになってます。
──なるほど! 絢香さんとのコラボ曲に「手をつなごう」を選んだのは?
Tani 絢香さんは僕自身を形づくってくれたアーティストのひとりだと思っているんです。母親が絢香さんのことを好きだったので、その影響で曲をたくさん聴いていました。そんな中、僕が好きだった『ドラえもん』の映画主題歌を絢香さんが担当されていたんです。その曲が「手をつなごう」でした。今回コラボできるなら、絶対この曲だと思ったんです。「手をつなごう」というタイトルと、手をつないで歩んでいこうという歌詞の意味とか、狙ったわけじゃないですけど、今の世の中の状況と重なる部分もあって。結果、すごくいい形になったなと思ってます。
──ピアノ伴奏と歌という弾き語りスタイルになったのは?
Tani 余計なものを入れずに声を主役にしたい、絢香さんが本当に歌が素晴らしい方なので、それを前面に見せたいという想いが、僕だけじゃなくてスタッフにもありました。それならやはり弾き語りだろうと。ギターよりもピアノが合うし、音色の部分で今回の曲にすごく合うねとなり、あのアレンジになりました。
──Taniさんは美しいファルセットを披露しています。絢香さんのキーに合わせてなので、大変だったかと思います。
Tani ありがとうございます。……正直、キーは高いです(笑)。だけど高いところが僕のファルセットと相性が良かったんだと思います。ピアノアレンジにしたからこその繊細さがあったので、地声だとちょっと出過ぎる。特に最初のAメロで声がぶつかってほしくなかったんですよね。
──Taniさんが地声で下へ入れ替わり、絢香さんが上でハモるパートはガラッと雰囲気が変わって、より新鮮に聴こえますね。
Tani メロディが変わるところですね。あのパートは自宅の宅録機材でハモリをずっと考えてました。なんなら、あそこが一番盛り上がるところかもしれないですね。
──今後、このシリーズでコラボしたいアーティストはいますか?
Tani やっぱり野田洋次郎さんですね。
──実現したら、どの曲を歌いたいですか?
Tani う〜ん……たくさんあって決められないですね。僕、RADWIMPSの『18祭(フェス)』(NHK)に出たんですよ。そのときに野田さんがフェス用に書き下ろした「万歳千唱」と「正解」という曲があって。自分にとって素敵な経験だし思い入れがあるので、僕の企画であの曲を一緒に歌えたら最高だなと思います。