【インタビュー】Tani Yuuki、1stアルバム、絢香との共演、そして生粋のシンガーソングライターとしての強い想いを語る

2022.03.23

取材・文:藤井 徹(Vocal Magazine web)

僕の中の“歌う”って、うまいヘタは置いといて“しゃべる”とか“想いを伝える”とかっていうのと同義。

──Vocal Magazine Webでは、ヴォーカリストに細かいこだわりを聞いているんですよ。なので、ここから少しそんな話を聞かせてください。まず、レコーディングやライブ前に行なうルーティンはありますか?

Tani “プルルルルルルッ”ってリップロールを必ずします。それから首の筋を伸ばしますね。あとは身体をひねったり、腕まわり、肩まわりをほぐしたり。アキレス腱を伸ばすなど、ちょっと柔軟っぽいこともやります。ヴォイストレーナーの方に“首や肩、喉の筋肉も、足のほうまで繋がってるんだよ”と言われたので。実際に固まってると声が出なかったりするんですよね。

──喉のケアグッズや飴など、導入しているものは?

Tani 手持ちサイズの生理食塩水が使える吸入器があって、それを吸って喉を潤わせたり。あとは、歌い終わったら声を出しても出さなくてもいいけど、ちょっとリップロールします。喉を使い過ぎたなというときには、たまにのど飴を舐めます。

──のど飴は、決まったブランドがありますか?

Tani 森下仁丹の『鼻・のど甜茶飴』です。めちゃくちゃスースーするんですよ。昨年ツアーをやったときにライブ前のリハーサルでファルセットが出なくなったことがあったんです。それをボイトレの先生に相談したときに薦めてもらいました。実際に喉がスッキリして歌いやすくなったので、そこからずっと舐めてます。あと、ホントにしんどいときには『響声破笛丸料(きょうせいはてきがんりょう)』(北日本製薬)という漢方を飲みます。喉ガラガラのときは、これを飲んで、もう声は出さない!みたいな。

──ステージドリンクを含めて、飲み物で意識していることは?

Tani 僕、ジュースを飲まないんですよ。炭酸飲料も友達とファストフードに行くときくらい。普段飲むのは水だけです。ライブで温かいものを飲みたいなっていうときには、お湯にしょうがと蜂蜜を溶かして混ぜる生姜湯を作り、水筒に入れて楽屋に用意しておきます。リハーサルまではステージに持っていったりしますが、本番のステージドリンクは水ですね。

──水はブランドにこだわりなどありますか?

Tani 僕は軟水のほうが好きですね。特に味がこうだから好きというのはないんですけど、単純にペットボトルのサイズが普通500ミリリットルじゃないですか。それだと足りなくて。でも1リットルは持ち運ぶのには大きいしで、その間の700ミリリットルで売ってるのが、クリスタルガイザーだけなんですよ。それをよく買っています。

──レコーディングブースや家での、歌を録る場所の湿度で決めている数値は?

Tani 声というより楽器のことを思って、一時期は湿度60%を維持してたんですけど、空気清浄機のメンテナンスが面倒くさくなっちゃって、最近はサボりがちです(笑)。発声の感じを変えて、コツみたいなものを少し掴んでからは、そういうことが気にならなくなって……。

──それはちょっと聞かせてもらいたいですね。

Tani 言葉で説明するのは難しいんですけど、よく“腹に力入れて声を出すんだ”って言うじゃないですか。あれは間違ってないなと思ってて。“ハッ”って腹筋に力を入れろってことじゃなくって、お腹に一個芯を持った歌い方が安定する。高いところも前より安定して出せるようになったんですよね。首のまわりは脱力して、力が入っているのはお腹だけ、みたいな。

──常にお腹の芯に意識を置いている状態で歌っているんですね。

Tani はい。息が多すぎると声帯が傷むと聞きますし、ちゃんと必要な量で必要な分だけの音を出す手段を僕も学び途中っていうところです。その歌い方をしてから、落ちサビのウィスパーを際立たせたいところで、安定して歌う力が残っている感じ。専門学校時代、ボイトレの授業にも通っていたんですが、当時は“全然意味わかんない”って思ってたんですよ。今こうやってボイトレを1年くらい通ってみて、“あっ、なんかこんな感じなのかな?”っていうのがわかったところです。

──ボイトレを続けることで、変わってきているんですね。

Tani 変わってきてますね。自分の個性を残しつつ、ちゃんとライブで(最後まで)持つ歌い方を今は目指しているのと、やっぱりレコーディングとライブは別ものだなっていう考え方になってますね。

──ワンマンライブともなれば、2時間近く歌わなきゃいけなくなってきますからね。

Tani ですよね。だから絶対それは無理だと思ってたんですよ。前の歌い方では、最後まで持ったとしても、“全然声が出てないじゃん、全然歌えてないね”ってなったと思うんですけど、歌い方を変えてから行なった昨年末のO-EASTのライブでは最後までやり抜けたのかなと思います。

──キャリアを重ねた方でも、ベース配分はなかなか難しいと聞きますからね。

Tani ペース配分は、まだ難しいですね。ライブ自体は最後に盛り上がって終わったんですけど、そこへ辿り着いたときに“跳べ!”って客席に言ってるのに、僕が跳んでないと絶対ダメじゃないですか。今は具体的なペース配分はできないですけど、そこも意識してめちゃくちゃ盛り上がるのを目指して歌おう、という気持ちでやろうと思います。

──代表曲である「Myra」での歌い方のコツや、歌う際に意識しているところを教えてもらえますか?

Tani ええ〜、難しい(笑)。曲を作る身だからなのかもしれないですけど、僕の中の“歌う”って、うまいヘタは置いといて“しゃべる”とか“想いを伝える”とかっていうのと同義なところがあって。だから、すごい歌が上手でも、“うわっ、全然気持ち伝わってないじゃん”みたいなのは、あんま好きじゃないし、“それって歌なのかな?”って思っちゃったりするんです。だから、どれだけ感情移入できるかだと思います。なんか根性論みたいですみません(笑)。

──いえいえ、すごく伝わりましたし、Taniさんは、やはり“シンガーソングライター”なんだなと思いました。もしソングライターの部分を取ってしまったら、自分じゃないと思えるくらいに。

Tani この先どんな未来があるかわからないし、もし僕がプロデューサーになったり、楽器を持たないシンガーになったとしても……というか、“曲を作れないんだったらやらない”となると思います(笑)。僕は曲を作って表現するのが当たり前すぎて、その表現したものを説明するのが苦手かもしれないです。

──曲で全部を出し切ってるんでしょうね。

Tani そうですね。“感じとってください”ぐらい、曲と歌が重なり合ってるところがあって“これが俺だ!”みたいな。もちろん歌うのは好きですし、好きから始まったんですけど、曲と歌を天秤にかけたときに、僕の場合は特に曲の意志が強くて。ライブももちろん楽しいんですけど、一番初めに来るのは作詞作曲をする楽しさなんです。いろんな大人と関わらせてもらうようになってから、言葉にすることの大切さを知ったんですけど、やっぱり根本には“言葉じゃなくて曲ですべて語ってるんだ”というところがあるんですよね。

──本当に生粋のソングライター気質なんですね。

Tani 学生のとき、なにくそって思っていたことを書いたのが「決別の唄」だったし、自分に対しての負の力というか、負荷がかかってないと曲作りも行き詰まったりするんですよ。

──シンガーソングライターという職業は、いろいろ背負ってやるしかないんだろうなと感じる言葉です。

Tani 良くも悪くも自分と向き合う職業だなっていうのを痛感しますね。学生のときにはちょっと快感というか、それで吐き出せるんで心地いいところがあったんですけど。大人になってみて……大人になり切れてるのかわかんないですけど(笑)、学生のときに抱えていた葛藤を書くのと、社会の中で新しく大人と出会ってその中で揉まれたことを書くのとだと、なんか勝手が違うなって感じています。

──今後どういうシンガーソングライターになっていきたいですか?

Tani 今は答えは出てなくて。23歳だし、今は知らないことも自分に降りかかってくると思います。嫌でも向き合わなくちゃいけなくて、そこから生まれる曲もあるでしょうね。だけど、基本は今まで自分が経験してきた部分から生み出されてくるものだと思ってるので、必ずしも曲のテーマとして“今そのときに向き合う、今じゃないとダメなんだ!”みたいなことはないです。でも、自分にとって“今それが必要だな”と思ったら、向き合って書こうと思っています。

──曲はずっと書けるという自信はありますか?

Tani “浮かんできたメロディへ適当に歌詞を入れて形にしました”という曲はいくらでもできるでしょうが、自分自身の心を表現するってなると、話が変わってきます。それこそ“心の底から作りたいな”って思う曲とか、“これは何か形に残さないと自分の心が死んじゃうな”とかっていう曲を、あとどれだけ形にできるんでしょうね。

──今日お話を聞いて、『Memories』へ辿り着いた原動力も、そこだろうなと感じました。

Tani 音楽を始めたきっかけも含めて、僕の原動力は間違いなく“負の感情”なんですよ。専門学校のときもオーディションでたくさん落ちていたり、お金がないから友達と遊ぶにもブラつくしかなかったり、うまくいかないことがたくさんあったんです。曲の原動力になる要素がいろいろあったけど、それは学生だったときのことを曲に落とし込んだですよね。今は集団生活のようなことはしていないし、音楽でご飯も食べることができているので、ストレスみたいなものは少ない。お仕事としてやらせてもらうようになってからは、曲のきっかけになる要素がちょっと減ったなと感じていて。その分ちょっと……いやかなり自分の中に何かを落とし込む、インプットする経験を増やさなきゃいけないと思ってます。


リリース情報

1stアルバム『Memories』Tani Yuuki
2021年12月8日(水)デジタルリリース
2022年4月6日(水)タワーレコード限定フィジカルCDリリース!
3,300円(税込)/VALLEY-009

【収録内容】CDアルバム『Memories』1枚/20ページブックレット予定

タワレコオンラインでの購入はこちらから

<収録曲>
01. 決別の唄
02. W/X/Y
03. おかえり
04. Myra
05. 非lie心
06. Unreachable love song
07. Night Butterfly
08. 油性マジック
09. 百鬼夜行
10. 曖昧ミーマイン
11. 愛言葉
12. 記憶
13. We are free
14. Life is beautiful

『Memories』好評配信中!
サブスク&ダウンロード:https://linkco.re/cXY3hEvp
シングル「W/X/Y」
サブスク&ダウンロード:https://linkco.re/AEacM9n6

インストアイベント

タワーレコードでのCD購入者にスペシャルな企画も! タワレコオンラインまたは全国のタワーレコード店舗にて1stアルバム『Memories』を購入された方の中から抽選で、5月5日(木・祝)にタワーレコード渋谷店 B1F CUTUP STUDIOにて開催のスペシャルなインストアイベントにご招待。当日は、オンライン生配信もあり。抽選で漏れた方も、配信での視聴は、もれなく参加できるとのこと。ここでしか観れないスペシャルな形態でのライブになりそうなので、ぜひこの機会にお買い求めを!

イベントの詳細はこちら:https://tower.jp/article/feature_item/2022/03/18/0704?kid=twEvents


「自分自信」デジタルリリース!
UQ mobile「UQ応援割」WEB限定CMタイアップソング
2022年3月9日(水)リリース

「自分自信」は、ABEMAオリジナル恋愛番組『今日、好きになりました。』メンバー出演のUQ mobile「UQ応援割」WEB限定CMタイアップ曲。本CMキャンペーンのコンセプトである「#どんな青春にも応援が必要だ」にTani Yuukiが賛同して書き下ろされた。

《だれしも始まりの一歩が上手くいくわけがないよな》や、《共に流した涙が力になってくれるから》といった歌詞が並ぶ、まさに青春を応援する1曲。夢に向かっている人、夢を抱くことに自信を持てない人に贈るTani Yuukiなりの応援ソングとなっている。

また、ラジオ番組にて“Tani Yuuki推し”が話題となった、放送作家・鈴木おさむから「自分自信」への熱いコメントが届いているので紹介しよう!

放送作家・鈴木おさむ コメント
大人になることはしんどい。みんなしんどい。みんなどこかでつまずく。
だけど、そんな時に、あの頃の輝きが大きな力になっていく。
自分を信じて、進んで行けば、その時の自分もきっと輝いているはずだから。
この曲は、新たな卒業ソングであり、ずっと昔に卒業した人にも思い出を蘇らせてくれてチャージしてくれる、応援&充電ソングです。
大人こそ聞いてほしい。きっと気持ちいい涙を流して、一歩踏み出せます。

ライブ情報

『Tani Yuuki Presents LIVE “LOTUS”』

第1弾公演:4月23日(土)
18:00開演/17:00開場
会場:渋谷 Spotify O-WEST
出演:映秀。/おいしくるメロンパン
チケット料金:スタンディング 4,500円(税込・入場整理番号付)
チケット抽選受付中→https://eplus.jp/live-lotus/


プロフィール

Tani Yuuki(タニ・ユウキ)
1998年11月9日生まれ、神奈川県・茅ヶ崎出身。
中学生時代に祖父からアコースティックギターをもらったことをきっかけに音楽を始める。
TikTokやYouTubeを中心に2015年8月から活動をスタート。作詞作曲、編曲、サウンドメイクをすべて自身で行ない、ギターのみならずピアノも弾く。
2020年5月、TikTokやYouTubeへ投稿した「Myra」がティーンから多くの支持を集め、自身初となった配信音源はノンタイアップ、ノンプロモーションながらも、ストリーミング再生累計が1億を突破する大ヒットとなった。
2021年5月にリリースした「W/X/Y」はじわりじわりと注目を集め、現在、YouTubeでの再生回数は1,000万を突破。サブスクでのチャートで1位を獲得している。
優しさと切なさを帯びた比類なき歌声で、日常に在る恋愛の思い悩みを独特の語感で紡ぎ出す、デジタルネイティブ世代が注目するシンガーソングライター。

関連リンク

Twitter:@yu___09___11
Instagram:@u_yuuki_u
TikTok:@yu___09___11
オフィシャルYouTube


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