【ヴォイストレーナーインタビュー】永町 一樹(MK MUSIC STUDIO/香川)

2024.03.19

取材・文:藤井 徹 撮影:伊賀上将司(コアラプロダクション)

Vocal Magazine Webでは、全国各地の優秀なヴォイストレーナーさんを講師に迎え、2022年より「歌スク」というオンラインレッスンのサービスを展開してきました。残念ながら「歌スク」のレッスンサービスは2024年3月で終了となりますが、これまで同様にVocal Magazine Web誌上で歌や発声のノウハウを教えていただける先生として、さまざまな形でご協力いただく予定です。

読者の皆さんの中にも「歌を習いたい」、「声を良くしたい」とスクールを探している方は多いと思います。その際に、ぜひ「歌スク」の先生の素晴らしさを知っていただきたいと思い、各先生のインタビューやプロフィールを掲載させていただきます。読むだけでも役に立ちますし、トレーナー選びの参考にもお役立てください。

今回登場いただくのは、メジャーデビュー経験のある作・編曲家で、香川県高松市にてMK MUSIC STUDIOを主宰し、地元のシンガーやアイドルを数多く指導している永町一樹先生です。

講師プロフィール

永町 一樹

MK MUSIC STUDIO

メジャーアーティスト、作/編曲家として活動。楽曲制作やRECなど音楽全般の知識が豊富で、香川・高松から多くの生徒をメジャーシーンに送り出す!

香川県出身。高校時代にキーボードを始め、バンド活動をスタート。大学を中退して上京し、2000年に自身がリーダーを務めるユニットでメジャーデビューを果たす。ユニット解散後は作/編曲家として活動するも、体調面不良で帰省。その後、高松市でMK MUSIC STUDIOを立ち上げ、ヴォイストレーニング、楽曲制作、レコーディングなど多岐にわたって活躍中で、シンガーやアイドルなど、多くの生徒をメジャーシーンへと送り出している。

ジャンルJ-POP、ロック、R&B、アニソン、ボカロ、アイドル
好きなアーティスト米津玄師、BUMP OF CHICKEN、back number、miwa、あいみょん、アデル、Aimer、優里、SEKAI NO OWARI など
趣味旅行、映画鑑賞など

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講師からのメッセージ

 ボイトレに通われる方には「もっと歌がうまくなりたい」と明確な目標を持った方、「どうしたらうまく歌えるんだろう」など日々疑問を抱えている方も多いと思います。
 僕はそういう方々にレッスンを通して「良い気付き」を与えられることを目標としています。あなたの「歌う」と言う素晴らしい行為に対して、明確な上達への指導ができれば幸いです。
 ぜひ一度無料体験レッスンにお越しくださいませ。

MK MUSIC STUDIO

■スクール名   
MK MUSIC STUDIO

■スタジオ
所在地:香川県高松市木太町2839-13
営業時間:11:00~21:00
TEL:087-813-2412
Email:groove_k@919.ne.jp

■講師
 永町一樹

■ホームページ   
https://mkmusicstudio.uh-oh.jp/


\「先生に習いたい!」とご興味を持った方へ/


講師インタビュー

どうしてもロックが合わない声質だったので、バンドからも「お前の声じゃダメだ」と言われまして……。

──歌や音楽を始めたきっかけを教えてください。

永町 私が高校生の16歳の頃、兄が大学で軽音楽部に入っていて楽しそうだったので、それに触発されて音楽を始めました。安いキーボードを親に買ってもらったのがスタートでしたね。好きなアーティストの譜面を買ってきて、地道に音符の読み方とかを調べて弾いていました。

──どんなアーティストの楽曲を弾いてましたか?

永町 当時はTHE ALFEEですね。まずは楽曲の中で弾かれているピアノをコピーして、のちのちコードに移った感じです。最初は一人で楽しんでいたんですが、ギターをやっていた友達に誘われ初めてバンドを組みました。たぶん17歳か18歳だったと思いますが、社会人の方もメンバーにいましたね。

──バンドでは、どんな音楽を?

永町 いろいろやりましたね。昔のハードロックもやりましたし、LINDBERGやB’zなどもやりました。その後、バンドをやりつつ歌も歌い始めたんですが、自分の声がロック向きじゃないので、ちょっとポピュラーというか、もう少し柔らかい音楽に移っていったんですね。そうすると香川県には自分の好きな音楽を一緒にやってくれるバンドがいなくなってしまったので、自分の実力も試したかったので通っていた大学を中退して単身上京しました。

──思い切った決断ですね。

永町 親にも突然「再来週ぐらいに東京行くから」って言って。いきなり東京に行って部屋を探して……もう東京なんか全然わかんないんですけど(笑)。それで東京に住んでバンドをやってましたね。

──バンドメンバーはどうやって探したんですか?

永町 SNSなどはなかったので、楽器屋やライブハウスのメンバー募集の貼り紙を見て電話して……。それで「何かこの人よさそう」みたいな人がいたので、ちょっと一緒にやってみましょうかとバンドがスタートした感じですね。日本語のポップスバンドをやろうと思っていたんですが、そのギターの方はけっこうロック色が強くて……その頃また自分も少しロックに再傾倒しつつやっていたんですけど、どうしてもロックが合わない声質だったので、バンドからも「お前の声じゃダメだ」と言われまして……。それで自分が抜けてバンドを組もうと思って。下積みは覚悟で行ったのでね。そこで、知り合いのバンドに「これちょっと自分は敵わないな」っていうヴォーカリストがいたんです。それで練習を見させてもらった帰り道に二人で帰って、そいつを引き抜いたんですよ。

──永町先生もヴォーカルだったのに、ヴォーカリストを引き抜いたんですか?

永町 「俺が曲を作るから一緒にやろうよ」って。たまたまそのヴォーカルも自分のバンドに不満があると……。私がやってたバンドが当時ちょっとだけ有名になってたんですね。それでたまたまお互い知っていて。それで「じゃあ、ちょっとやろうよ」っていうので、デモを二人で12~13曲ほど作って。それを持ってギターとベースを募集しました。当時は打ち込みが流行っていたのでドラムは打ち込みで作ったんですけど、それを当時のBMGビクターに送ったら返事があって。そうこうしているうちにデビューが決まりました。

──差し支えなければバンド名を教えていただいても?

永町 ドーベルマンっていう、けっこうロック色の強いバンドをやってました。ですが諸事情あって1年くらいでバンドがつぶれちゃったんですね。そのときに知り合いのディレクターさんから曲作りとアレンジを自分がしていたんで、「一樹くん、ちょっと作曲家やんない?」っていう話になりまして。それで裏方をするようになったたんです。ただ、本当に申し訳ないんですけど僕は洋楽が好きだったので、当時の純然たるJ-POPをそこまで聴いていなかったんです。でも、それも聴かなきゃいけないって言うんで、どれくらい聴いたかわからないですけども、山のように聴きまくって。コードを取ってメロディを弾いて、「こういう風に成り立ってるんだ」みたいな感じを身に入れていきました。それが32歳くらいで、そこからバンド活動などはやれないくらい忙しかったです。

腹圧……下腹5センチぐらいのところを使うメソッドがあるんですが、これが僕とすごく相性が良くて。

──ヴォイストレーナーになるきっかけになったのは?

永町 37歳のときに、東京から香川に帰らなきゃいけない理由ができまして。すでに20何年も東京にいたので知り合いもいないし、どうしようかなと。そのときは精神面から身体を壊しちゃっていたので、人と接しなきゃまずいなと思って。幸い自分がヴォイストレーニングの経験を積んでいたので、需要があるかどうかわかんないけど、香川には当時まだなかったので、とりあえずやってみようというのがきっかけです。

──どこから始めていった感じでしたか?

永町 まずMK MUSIC STUDIOという名前を付けて見切り発車で始めました。14年くらい前ですね。当然ですけど、そこからは山のように勉強もして、試行錯誤をいろいろしながらでした。

──スタートの頃は、どんな層の生徒さんが来ましたか?。

永町 やっぱり趣味でカラオケがうまくなりたいという方が多かったですね。これは今も同じなんですが、高域が出ないから歌えないという相談のレッスンがすごく多くて。たぶんこれはレッスン動画でもやりましたが、筋肉の使い方などを経験してないんだなと。自分の受けてきたメソッドとかを活用して生徒に教えて、そこからさらにレッスンを重ねていくうちにもっと効率の良い方法や、「人によってはこっちのほうがいいんだ」っていう発見があったりしました。そうしてレッスンの経験値を徐々に積んでいった感じですね。

──勉強していく中で、自分の教え方にはこれが合ってるんじゃないか、というものはありましたか?

永町 腹圧……下腹5センチぐらいのところを使うメソッドがあるんですが、これが僕とすごく相性が良くて。今でも使ってますし、生徒にも教えてます。最初は自分で見つけたんです。「あれ? こうしたほうが絶対出やすい」って。いろいろ試していったら絶対こっちのほうが声は出やすいし高音が安定するっていうものがわかって。それであとからいろんな本を読んで調べていくうちに、「ここを使う人ってやっぱりいるんだ」と思って。そうしたら「全然間違ってもないし、正しいことなんだな」と再認識した感じですね。

──現在は一軒家を改装されてスタジオとしてお使いですが、設立当時は?

永町 当時はマンションの一室に防音室を入れてやっていました。そこは4~5年くらいで、そのあと引っ越して3年で、今の場所に移ってきました。当時から生徒さんはインターネットで調べてきてくれることが多いですね。生徒さんがあれよあれよと増えていって、今は70数人いらっしゃいます。下は小学4年生で上は70代の女性が2人、10代後半から20代~30代が多いですね。香川県なのでプロ志望の子はグッと減っちゃって、10%いないレベルですかね。

──プロ志望の生徒さんたちには、レベル的に高い要求をされていますか?

永町 そうですね。幸いにも今度メジャーデビューする生徒が2人いるんですけど、聞かれたら音楽業界の内部の話とかもします。

──プロ志望を含めて習いたいという動機で多いものは?

永町 やっぱり「カラオケでいいからうまくなりたい」が一番で、あとは「歌ってみた」などの動画を上げてみたいという方。このふたつが多いですね。

──実際に動画を上げるまでの手伝いなども?

永町 はい。ここでレコーディングができるので、ミックスダウンとかマスタリングなどもやっています。もし動画が必要だったら簡易ではあるんですけどもここで撮って上げてもらってもいいですし、動画を撮る人に任せて撮影したりもしています。

「いい歌」とは、技術が揃ったうえでの「感情が伴った歌」だと僕は思ってます。

──レッスンの基本姿勢や一番大切にしてることは?

永町 やっぱり楽しんでもらいたい。「練習」って思っちゃうと、あんまり良くない……って言ったら失礼なんですけど、自分がそういうタイプだったんですね。歌うにしても曲を作るにしてもとにかく面白くて、「ご飯食べるのどうでもいいや」みたいな感じで、ずっと音楽をやってたんですね。やっぱりそれがあるからプロとして成立したというか……。だから、やっぱり楽しんでもらうのが自分的にも一番かなと。当然自分でもその中で身に付けるべきテクニックがあったり、足りないところを鍛えないといけない苦しみはありました。そういうのを乗り越えたときに、また次のすごい壁が出てきて、「またあるんや……」みたいな感じで、これも乗り越えなきゃいけないと、どんどんやっていって気づいたらプロの世界で活動できるようになっていたパターンだったので。やっぱりまずは楽しんでもらいたいですね。

──こういう悩みを抱えてるんだったら、要望をかなえてあげられやすいということは?

永町 声の繋がり……「繋ぎ」って言うんですけど、地声からミックスヴォイスに行くところで、裏声も当然入っての話なんですけど、きれいに繋がらない……裏声に行くことをよく「フリップする」って言うんですけど、なんせ地声からミックスに繋がらない人たちが多かったりします。あと男の子に多いんですが、「裏声が出ない」っていう。まず、そこの躓きで、個人的には、歌ってもう6割7割が裏声だと思ってますので、裏声が重要なんです。しゃべってるこの声にも裏声が混じってます。歌うのも当然裏声のほうが重要になるわけで、ミックスヴォイスも実際は裏声の音域ですし。特に男の子には裏声が出ない子たちがものすごく多い。ミックスヴォイスを作っていくのに、まあ役立てるかなと思います。あとは動画でやらせていただいた子音の使い方。この子音の使い方でクセを付けてるアーティストさんが、昔に比べてだいぶ増えたのかなと思います。そういった表現のところもお手伝いができる気がします。強弱やアクセントの付け方なども含めて。

──ジャンル的には?

永町 基本はポピュラーですね。J-POPのカテゴリーで、アニソンなども対応できると思います。

──今日は動画にも出演していただいた生徒さんがいるのですが、見事なハイトーン発声を披露してくれた彼女にはどんな指導を?

永町 彼女はバンドでオリジナル曲をやって活動しているので、その曲の歌い方などもアドバイスしています。歌の流れがちょっと弱い場合があるので。歌ってフレーズ単位できれいに繋がるか繋がらないか。その繋がった中でスタッカートが入ったりアクセントが入ったりと、いろいろテクニックがあるんですけど、最初この繋がりが弱いことが多くて、歌が流れないんですね。そうすると音程は合ってるのに、何かいまいち魅力が伝わらないっていうことが多いんです。そういったところをちょっと修正していったりということもありました。

──ありがとうございました。最後に読者の方へメッセージをいただけますでしょうか。

永町 先ほども言いましたが、音楽は「楽しんでナンボ」ですから、ものすごく楽しんだほうがいいですし、この気持ちなくして、なかなか上には行けないかなと思います。

──永町先生にとって「いい歌」とは?

永町 技術が揃ったうえでの「感情が伴った歌」だと僕は思ってます。「想い」だけでは、どうしても「何かよくわからない、届かないもの」になってしまう。技術があれば、それに感情を乗せることができるので、やっぱり「技術」を伴ったうえでの「感情」かなと思います。


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講師動画紹介

ご挨拶
ハイトーン(声帯の圧着)
ハイトーン(ミックスヴォイス〜ヘッドヴォイス)
子音のレッスン

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