音域チェックを行なう方法と歌いやすいキーを見つけるコツを解説【ボイストレーナー直伝】

2023.01.30

執筆:MK MUSIC STUDIO代表 作/編曲家 ボイストレーナー 永町 一樹
エディット:Vocal Magazine Web編集部

特集企画『高いkeyの曲を歌いたい!』。第2弾となる今回は、オンライン・ボイトレ「歌スク」講師のひとりでもあり、作/編曲家としても活躍中の永町一樹先生が、音域チェックの方法について解説します!

歌を練習していると、
「好きな歌のキーが合わない。カラオケで原曲キーが歌いにくい」
「自分の音域を知りたいけど、 どうやって測るんだろう」
と感じることはありませんか?
自分の音域や最適なキーを把握することは歌を歌ううえでとても重要です。
この記事では、「音域とは?」という基本的な概要から、音域チェックを自分で行なう方法、さらには自分に合ったキーを見つけて歌いやすくするコツまで詳しく紹介していきます。

執筆:
MK MUSIC STUDIO代表 作/編曲家 ボイストレーナー 永町 一樹
香川県出身。高校時代にキーボードを始め、バンド活動をスタート。大学を中退して上京し、2000年に自身がリーダーを務めるユニットでメジャーデビューを果たす。ユニット解散後は作/編曲家として活動するも、体調面不良で帰省。その後、高松市でMK MUSIC STUDIOを立ち上げ、ボイストレーニング、楽曲制作、レコーディングなど多岐にわたって活躍中で、シンガーやアイドルなど、多くの生徒をメジャーシーンへと送り出している。

音域とは?

音域とは「発声できる声の幅」のことです。
音域には2種類あり、
・「声楽的声域」=歌で使える音域
・「生理学的声域」=その人が声としてギリギリ出すことができる範囲の音域
があります。
音域と声域はここでは同義語と考えてください。

今回は、歌で使える「声楽的声域」について考えていきましょう。
また、子供や大人など年齢によっても音域は異なるため、この記事では成人の方を対象とします。

音の名称を理解しよう

最初に音の名前について説明します。下の図は音の高さを鍵盤で表わしたものです。

「C4」や「A3」というローマ字と数字の組み合わせで示す表記法を国際表記と言い、音楽教育の現場で一般的に使われています。

もうひとつ、よく使われる表記法として下図のものがあります。

こちらは主に日本のネットシーンを中心に広まった書き方です。オクターブごとに「mid2」「hi」というグループに分かれており、それぞれAから始まりG#までとなります。表記は「mid2」や「hi」の部分と「A」や「C」という音名を繋げて、「mid2A」「hiC」のように書きます。
近年良く使われていることもあり、本記事ではこちらの表記を使っていきます。

一般的な成人男女の音域

男女別の平均的な声楽的音域についてみていきましょう。

◆男性の場合

地声(チェストボイス)は、「mid1C」から「mid2G」。裏声(ファルセット)は、「mid2D」から「hiC」あたりが平均です。

◆女性の場合

地声(チェストボイス)は、「mid1G」から「hiC」。裏声(ファルセット)は、「mid2F」から「hiE」あたりが平均です。

※ちなみに「裏声」において、息漏れの柔らかい裏声のことを「ファルセット」、強い裏声のことを「ヘッドボイス(頭声)」と呼びます。

少し余談になりますが、僕のボーカルレッスンでは初回に生徒さんの音域を確認します。そのとき、稀に女性で低音部の「mid1G」が出ない方がいます。
無理をすればノイズが混じった状態の声で出たりするのですが、歌では使えません。これが「生理学的声域」と呼ばれる音域です。

また、僕が作曲の仕事をする際よく依頼されることは、地声において
・女性の場合:「mid2AからhiC」までの間で楽曲を作ってほしい
・男性の場合:「mid1Dからmid2G」までにしてほしい
という内容です(つまり、最低音が平均的な音域より高い)。
しかし、平均と同じく、女性の最低音は「mid1Gから」男性は「mid1Cから」という依頼のときもありますし、最高音が男女共に平均的な音域より少し低いケースもあります。
また、音域が広いアーティストさんもいらっしゃいます。

このことからも、音域は人によってさまざまなため、自分の音域をちゃんと把握することがとても大切なのです。

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音域チェックを自分で行なう方法

準備と注意点。喉を開いた状態で声を出そう

音域チェックを行なう際は、事前に喉を起こしてから始めてください。喉が起きていないと正しい音域が測れません。
喉を起こすにはリップロールやタングトリル、ハミングなどが良いでしょう。裏声の発声もしっかりやっておいてください。

また、音域チェックを行なう際に注意することがあります。
それは「声の出し方」です。
必ずしっかり喉を開いた状態で声を出すこと。これが正確に測るためのポイントです。

「喉を開く」という感覚がわからない方は、あくびを途中で止めてみてください。
1秒くらいゆっくりと息を吸ったときが、喉が開いている状態です。
その状態で、下腹部に意識を置きながら声を出します。
※上半身と首まわりはリラックスしてくださいね!

音域チェックの方法

●使用ツール
最近は無料のピアノアプリなどがあり、そちらを使ってチェックするのが手軽でおすすめです。イチオシは「ピアノ -シンプルなピアノ- 広告無し」というアプリです。(※iOSアプリ)
また、カラオケの機種によっては声域チェック機能があり簡易的に自分の音域をチェックできるため、まずは利用してみるのも良いでしょう。

●チェック方法
自分の歌いやすい音程からスタートします。半音ずつ上げながらどこまで声が出るかを確かめていきます。下も同様に行ないます。

「最低音の調べ方」
自分が出しやすい音から半音ずつ下に降りていき、「息が漏れてほとんど声にならない音」または「ノイズが混じってしまう音」が最低音です。
これは男性によくあるケースですが、低音部を強く出すと音がシャープして外れやすいため、小さく適正な音量で出すように注意してください。せっかく使える音域だったりするのでもったいないです。

「最高音の調べ方」
出しやすい音から半音ずつ上げていきます。自分の中で「これ以上はもう無理!」と感じる高さの限界が最高音です。
このとき、喉を締めて無理に高い声を出すのは喉に良くないので止めましょう。

※うまく歌えない音域というは「生理学的声域」になりますので、それは外して、歌で使える音域=「声楽的声域」のみで考えてください。

ひと言メモ 〜ミックスボイスについて〜

ここで少し余談になりますが、発声法でよく耳にする「ミックスボイス」。
これは「声帯を閉じ気味で出した裏声を、鼻腔共鳴させた声」というイメージです。

一方で、地声の中には「完全な地声」というものがあります。
完全な地声?……それは「怒ったときの低くて少し強い声」だと考えてください。
その「完全な地声」の平均は、男性ならmid2E、女性ならhiAです。

……と言うことは、男性ならmid2F~mid2G、女性ならhiA#~hiCというのは地声と裏声が混ざったところになり、ミックスボイスに分類されるのです。
つまり、実はすでにミックスボイスを少し使えている状態の方も多数いらっしゃるのです!

◆ミックスボイスを含めたハイトーンボイスを鍛える方法は下の動画でも解説していますので、興味がある方はぜひご覧ください↓

曲の音域を調べる方法と、自分の最適なキーを見つけるコツ

自分の音域を把握したあとは、歌いたい曲の音域を調べていきましょう。
実はネット検索が一番簡単で、検索ワードに「○○(曲名) 音域」と調べると大体知ることができます。
また、カラオケの機種によっては曲の音域を教えてくれるものもあるので、そちらでチェックするのも手でしょう。

歌いたい曲の音域と自分の音域がわかったら、自分の音域に最適なキーを探していきます。
このとき注意するのは「最低音部」。「(キーを下げすぎて)高音部は出るのに低音部が出ない音域になってしまう」というパターンに陥ってしまいます。
出ない音域を無理に使うのは良くないので、低音部も自分の音域に収まるようなキーまたは曲を選ぶようにしてください。

原曲キーで歌いたい場合はどうしたらいい?

まずは自分の歌いやすいキーから練習しよう

歌いたい曲を「原曲キーで歌いたい!」という場合もあるでしょう。気持ちはよくわかりますが、まずは自分に合ったキーで歌えるようにならないと、技術も身につきませんし喉への負担がかかってしまいます。最初は自分のキーで繰り返し練習していくことが大切です。

自分に合ったキーでの歌唱が可能になったら、ステップアップとして、ひとつずつ(半音単位)キーを上げていきます。※一気にたくさん上げないよう注意してください!
ひとつずつ上げて歌っていくと、必ずどこかで伸び悩みます。最高音がhiAになるとなかなか出ない、hiBだと出ないなど、場所は人によってさまざまです。
これは当然のことです。しっかりとしたトレーニングと時間をかけてようやく手に入れられるモノですので、地に足をつけて練習していきましょう。

<練習におすすめ>男女別カラオケ人気曲3選の音域を分析

最後に、カラオケ人気曲を男女別に3選ピックアップし、音域視点から歌いやすさについて解説します。ぜひ練習曲を選ぶ際の参考にしてくださいね。

<男性編>カラオケ人気曲3選の音域分析

◆「ドライフラワー」/優里

最低音最高音
mid1GhiA

1オクターブと2音という狭い範囲の音域で作られている曲なのに、ものすごくドラマチックな曲ですね!
最低音がわりと高めで最高音もhiAと、比較的歌いやすい曲だと思います。

「シンデレラボーイ」/Saucy Dog

最低音最高音
mid1EhiC#


歌詞も印象的で良い曲ですよね。
ただ、めちゃくちゃ高いです。かなり上級者向けの楽曲です。

「水平線」/back number

最低音最高音
mid1Dmid2G


切ないメロディと歌詞が耳を引く楽曲です。
この曲は最高音がmid2Gと平均キーですので歌いやすく、ボイトレには持ってこいです。

<女性編>カラオケ人気曲3選の音域分析

「新時代」/Ado

最低音最高音
mid1E hiD


最高音が平均より少し高く中級者向けです。この曲を歌えるとカッコいいですね!

「残酷な天使のテーゼ」/高橋洋子

最低音最高音
mid2A#hiC


昔からずっとランクインしている名曲です。
高音が平均キーのため初心者の方もチャレンジしやすい曲です!

「マリーゴールド」/あいみょん

最低音最高音
mid1F#hiB


最高音がhiBと非常に歌いやすい曲となっていますので、ぜひチャレンジしてみてください。
ただし最低音がmid1F#のため、出ない方もいらっしゃると思いますのでご注意ください。

より本格的に音域を広げたい場合は、ボイトレへ

この記事では、自分の音域を知る方法や、自分に合った曲のキーを見つけて歌いやすくするコツをご紹介しました。
より本格的に音域を広げたいという場合は、やはりボイトレに通うのが一番です。
最初に記述した「生理学的声域」についてもボイトレではしっかり鍛えてくれますので、音域が徐々に広がっていきます。

コツコツと地道な自主練習はもちろん必須ですが、「よりうまく歌いたい!」、「もっと高い声で歌ってみたい!」と感じている方はぜひボイトレも検討してみてください。

◆無料体験レッスン受付中!オンライン・ヴォーカル・レッスンなら「歌スク」

「歌スク」では、ひとりひとりのご希望やニーズに合わせて、最適なカリキュラムで指導を実施いたします。

歌がうまくなりたい、もっと歌を楽しみたいという方は、ぜひ「歌スク」までお気軽にご相談ください。

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本記事を執筆した永町先生の無料体験レッスンも現在オープンしています。

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