2021年12月5日 @ 東京国際フォーラム ホールA
取材・文:後藤寛子
撮影:Miki Anzai
再び車掌と少女のストーリーを追うムービーを経て、今度は白い王子様風衣装の天月がステージに登場。人気ボカロ曲「KING」で一気にダークな雰囲気に塗り替えると、超高音と低音を行き来するメロディラインの「Prison Land」、ゴシックな世界観を吐息まじりの艶やかな声で表現した「ルマルソルシェ」など、テクニカルな楽曲を連打。その歌唱力とともに、楽曲が描いているものを天月ならではの解釈で自身に憑依させていく変幻自在のパフォーマンスに目を奪われた。
そこから、“大好きな曲”と紹介されたsupercellの「君の知らない物語」、MONGOL800の「小さな恋のうた」という名曲のカバーで会場はますますヒートアップ。「小さな恋のうた」では、“胸の中で、大きな声で歌ってください!”とステージを動き回って煽り、オーディエンスとの一体感を増していく。爽快なメロディで駆け抜ける「きみだけは。」から「君が僕の心に魔法をかけた」に繋ぎ、《これは僕からの恩返し 今夜世界は変わる》という歌詞のとおり、会場全体にポジティブな魔法をかけて本編のエンディングを迎えた。
12年の歩みを振り返って語った天月
車掌と銀河を旅した少女が新しい一歩を踏み出すことで、ムービーの物語も終幕。同時に、ツアーTシャツ姿の天月がステージに現われ、ダンサーとともに「きっと愛って」でアンコールがスタートした。最後のMCタイムでは、多幸感に満ちた会場を感極まった表情で見渡しながら、「何もなれない、素敵な音楽にいいなって憧れることしかできなかった、一歩足を踏み出すこともできなかった」というところから始まった12年の歩みを振り返って語った天月。
“みんなもこの苦しい時間、たくさんつらいこともあったと思う。でも、大丈夫です。僕はいろんな苦しみを乗り越えてこの12年、続けて来れたから。僕がこの活動を笑顔で、大きな声で続けていくことで、みんなにとっての道しるべになったらいいなと思ってます。それが、みんなに世界を変えてもらった恩返しであり、自分が楽しいと思ってることだから。だから、今日久しぶりに逢えた君も、初めて逢えた君も、ずっと応援してくれた君も……ここで僕は笑顔でずっと歌っていくから、また遊びに来てください!”
イントロで拳を突き出し“今日という日に、君がいて、僕がいる。それだけでとっても素敵なことだと思うよ!”と告げてラストに贈られたのは、「Hello, My story」。《迷いや不安も 君と乗り越えて行くんだ》、《これからも君の手を離さない》と力強いメッセージを切実な声で響かせ、会場にいる一人一人の心にしっかりと寄り添っていく。《WOW WOW》のパートでは音源の音声が流れていたが、天月には会場のオーディエンスの心の大合唱が聴こえていたはずだ。
アットホームな空気でメンバー紹介と写真撮影を終えたあと、マイクを通さない生の声で“本日はどうもありがとうございました!”と叫び、深々と一礼。2階席から1階席へ大きく手を振り、“いい2022年を作っていきましょう。僕はこれからも笑顔で歌っていくから、また遊ぼう! 天月でした。バイバイ!”と名残惜しそうにステージを降りた。
ポップでファンタジーな世界を描きつつ、その芯にある強い意思と伝えたい想いをその歌声で届けてみせた天月。2年半ぶりの開催となった一般向けの有観客全国ツアーを通して再び強まったファンとの絆を力に、さらに大きなフィールドへ羽ばたいていくに違いない。
公演情報
“天月-あまつき-Winter Tour2021-2022『Star trail~夢で見た景色~』”
@東京国際フォーラム ホールA
2021年12月5日(日)
<セットリスト>
01. アストロスト
02. 流れ星
03. ホシアイ
04. かいしんのいちげき!
05. ヴァンパイア
06. 赤い糸
07. Caffe Latte
08. Fairytale,
09. スノーパラダイス
10. 天月Winter song Medley
11. KING
12. Prison Land
13. ルマルソルシエ
14. 君の知らない物語
15. 小さな恋のうた
16. きみだけは。
17. 君が僕の心に魔法をかけた
encore
18. きっと愛って
19. Hello,My story