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2021年12月26日 @ Zepp DiverCity(TOKYO)
取材・文：鈴木 瑞穂（Vocal Magazine Web） 撮影：結城さやか
2021年12月26日（日）、声優アーティスト・愛美のワンマンライブ『愛美 ONEMAN LIVE “AI Mean It!!”』がZepp DiverCity(TOKYO)にて開催された。今回のライブは、2021年にソロ活動を再始動した愛美の実に6年10ヵ月ぶりとなるワンマンライブである。待ちに待ったライブだけに、チケットは昼夜ともソールドアウト。最新曲からデビュー当時の曲までバラエティに富んだ楽曲を多彩なヴォーカルアプローチで熱唱し、大盛況のうちに幕を閉じた『愛美 ONEMAN LIVE “AI Mean It!!”』の夜公演の様子をレポートする。
どうして作詞をやりたいのかというと「愛美が歌を歌う理由」が欲しかったから。
開演前の会場は、オーディエンスの期待と興奮ですでに熱気に満ち溢れていた。ゆっくりと客電が暗転すると全員が一斉に立ち上がり、バンドメンバーの登場に大きな拍手が起こる。ペンライトの青や紫の光が会場を優しく包み込む中、白いギブソン・レス・ポール・スペシャルのギターを構えた愛美が登場。“『AI Mean It!!』を楽しんでいきましょう！”と開幕を宣言し、「ReSTARTING!!」がスタート。疾走感のあるサウンドに乗せ、コブシを効かせ力強く歌い上げていく。オーディエンスからも全力で合いの手が届き、会場全体の想いがひとつに繋がっていく。《叫ぼう！ReSTARTING!! Now》の張り上げた歌唱からは、ソロプロジェクト再始動への強い決心が伝わってきた。そのままドラムビートで繋がり、TVアニメ『織田信奈の野望』オープニング曲の「Link」を披露。１曲目のエネルギッシュなヴォーカルとは異なるクールな歌い回しが新鮮で、時折り見せる笑顔でオーディエンスの心をガッチリ掴んだ。
キュートな声でMCがスタートし、前日に誕生日を迎えたと話すと会場から温かい拍手が送られる。イメージカラーの話では“今まで赤を背負うことが多かったのと、最近は青色（の服）を着ることが多いので、いっそのこと足しました。「紫」は情熱の赤の成分もありつつクールな青の成分もありつつ、愛美にとってぴったりなカラーじゃないかなと思って！”と説明すると、会場は紫色のペンライトで包まれた。また、昼と夜とで変えたというステージ衣装もお披露目。紫色に染められたパーカーに、紫の差し色が見え隠れする黒のロングスカートを身に纏う愛美が光に照らされて一層輝きを増す。
そしてギターを下ろし自身が作詞した曲「MAYDAY」、「アナグラハイウェイ」を続けて披露。「MAYDAY」では自身の心の叫びを伝えるようにラストサビの《“オシエテ ナンノタメ ウマレタノ”／死にたくなるんだよ 聴こえますか？／耳をすませば ほら》を歌い上げ、そのまま繋げた「アナグラハイウェイ」は、現実逃避への願望と葛藤が詰まった歌詞を切なげに歌う愛美の表情が印象的だった。
２回目のMCでは、“どうして作詞をやりたいのかというと「愛美が歌を歌う理由」が欲しかったから。やっぱり自分の伝えたいことを自分の言葉で歌にして届けたい。曲を聴いて誰かが救われたり幸せになってくれたらいいなという願いは全曲込めていて、私が書いた歌を聴いて笑顔になってくれたらいいなと思っています”と改めて作詞への熱い想いを告げ、会場からは大きな拍手が届けられた。
そしてアコースティックギターを構え、自身が作詞を手がけた失恋ソング「ラブレター」をスタート。スポットライトが愛美を照らす中、息をたっぷりと使いひとつひとつの歌詞を丁寧に、噛み締めるように歌う姿には心がキュッと締め付けられた。
願わくば……ソロでギターを持って武道館に立ちたいなって思ってます‼︎
ここで空気は一変し、“みんなと一緒に踊りたいと思います！”というと「いやよいやよもすきのうち」のダンスレクチャーを始めた。この曲は愛美が監督を務めたショートフィルム『かんぺきなおんな』の主題歌。“さっきまでと全然違う声で歌うのでびっくりしないでください（笑）。”と冗談を交え、会場全体が悶絶して揺れ動きそうなくらいキュートな声で歌い出した。オーディエンスのダンスもバッチリ揃っていて、体も心も温まった会場には笑顔の花が咲き乱れた。
その熱を加速させるように「Twinkle Starry Night」、2011年に発売したメジャーデビューシングル「天使のCLOVER」を立て続けに披露し、オーディエンスとより近くで心を通わせるように元気な歌声を届けていく。
次は最新曲かつ初お披露目となる『現実主義勇者の王国再建記』第二部 エンディングテーマの「LIGHTS」。アニメ作品のタイアップでは初の作詞で、本当に光栄なことだと笑顔で伝える。
“今までの作詞の中で一番大変だったんですけど、それでも作品のことをこんなに深く考えられたのも嬉しかったし、自分からこんな言葉が出てくるんだという新しい発見も嬉しかったので、そんな言葉にも注目して聴いていただけたら嬉しいです”。
そして美しいピアノの旋律が流れ、スポットライトが愛美に当たる。強い意思を感じさせるコブシの効いた歌唱で歌い上げた《愛されてた 愛されていたんだ／信じること 畏れずに現代を／生きるよ》というフレーズは、最後のロングトーンのファルセットがどこまでも儚く鳴り響いた。
再びエレキギターを構えると、自身の相棒とも言えるギターとの11年間の思い出、ソロ活動におけるギターへの意欲を告白。そして“願わくば……ソロでギターを持って武道館に立ちたいなって思ってます‼︎”と目をキラキラと輝かせながら夢を語り、会場からは溢れんばかりの拍手が届けられた。
その情熱を胸に、今日は特別にギターありで演奏するというテレビアニメ『ベン・トー』のオープニングテーマ曲「LIVE for LIFE 〜狼たちの夜〜」をスタートさせた。重厚なギターサウンドに負けないパワフルな歌唱と元気な掛け声で会場のボルテージが急激に上昇。そのまま「瞬間SummerDay!」と続き《さあさあ 皆手を叩こう！》というフレーズに合わせ、オーディエンスもノリノリでクラップを叩く。途中、バンドメンバーの紹介とともにアドリブソロが繋がっていき、さらなる熱量を蓄えながら会場全体は大きな一体感に包まれた。
最後の「カザニア」では鍵盤のリフレインの上に、静かにも強い決意を感じさせる芯の通った歌声が響く。《吹き抜ける風を今 つかまえて 飛び立つよ》を歌う愛美のとびっきりの笑顔が本編のラストを飾った。
改めて「ReSTARTING!!」、進化を遂げた歌唱力
止まらないアンコールの中、ツアーグッズのTシャツを着た愛美が登場。アンコール１曲目はDECO*27が手がけた新曲「ドレス」。高く拳を上げながら、片足を台にかけ歌う姿はまるでロックスターのよう。感情をダイナミックに表現したステージングも圧巻であった。
ここで誕生日ソングが鳴り響き、佐々木未来と伊藤彩沙がサプライズで登場。愛美、佐々木、伊藤の３人でYouTuberとして活動しているユニット『声優三姉妹【チームY】』がステージ上で集結した。お祝いの言葉を述べようとも揃わない２人に“揃えてきて（笑）！”と愛美がツッコむシーンも。“２人の間に挟まれたら急に素に戻っちゃうから。関西弁出ちゃうから（笑）”と語る愛美の顔には笑顔が溢れ、今までの緊張が完全に解けたようだった。『AI Mean It!!』のビジュアルの色味がチームYだという話で盛りあがったり、３人での揃った挨拶を見せ、会場は大興奮。“ずっと一緒にいてほしい。安心する”という愛美の言葉からも３人の絆が感じられ、 “ラストスパート頑張って！”と力強く背中を押し２人はステージをあとにする。
ついにラスト１曲となり、改めて歌うのは「ReSTARTING!!」。ステージを左右へと駆け巡る愛美。１曲目の「ReSTARTING!!」とは明らかに違う、より芯の通った歌声が真っ直ぐオーディエンスの心に突き刺さっていく。最後に愛美の掛け声に合わせ全員でジャンプすると、ひとつに結束した会場は大きく揺れた。
“「TIME IS MONEY」の言葉の通り、来てくれた方々の時間をいただく代わりにお金に替えられない何かを持ち帰ってほしくて”と語る愛美。最後は深くお辞儀をして元気に手を振りステージをあとにした。ライブ中にもどんどんと進化を遂げていった愛美の恐るべき歌唱力。リスタートを切った愛美の今後のさらなる飛躍に目が離せない。
セットリスト
『愛美 ONEMAN LIVE “AI Mean It!!”』
2021年12月26日（日）Zepp DiverCity Tokyo
01. ReSTARTING!!
02. Link
03. MAYDAY
04. アナグラハイウェイ
05. ラブレター
06. いやよいやよもすきのうち
07. Twinkle Starry Night
08. 天使のCLOVER
09. LIGHTS
10. LIVE for LIFE 〜狼たちの夜〜
11. 瞬間SummerDay!
12. カザニア
＜ENCORE＞
13. ドレス（新曲）
14. ReSTARTING!!
ライブ配信情報
『愛美 ONEMAN LIVE “AI Mean It!!”』
ライブ配信：2022年１月15日（土） 21:00～
アーカイブ配信：ライブ配信終了後〜2022年１月23日（日）23:59
＜チケット＞ 3,300円（税込）
・チケット販売期間 2021年12月26日（日）21:00〜１月23日（日）20:00
・購入URL PIA LIVE STREAM（https://w.pia.jp/t/aimi-aimeanit/）
※購入にはチケットぴあの会員登録（無料）が必要です。
ライブ特設サイト：https://aimi.info/aimeanit
