【ライブレポ】asmi＆山田将司を迎えたmeiyo初の自主企画ライブ『meiyo presents “閃一発_2022”』をレポート

2022.12.12

2022年11月17日 @ 東京・代官山UNIT
取材・文：田代智衣里（Vocal Magazine Web）
撮影：タマイシンゴ

meiyoが11月17日（木）、東京・代官山UNITにて『meiyo presents “閃一発_2022”』を開催した。meiyoにとって初の自主企画ライブである本公演は、asmi、山田将司（THE BACK HORN）を迎えた３マンライブとなった。ヴォーカル・マガジン・ウェブでは、主にヴォーカルに注目したレポートをお届けしたい。

asmi

１番手は大阪在住のシンガーソングライター“asmi（アスミ）”。関西最大の十代才能発掘プロジェクト『十代白書2020』でグランプリを獲得し、2021年にはMAISONdes「ヨワネハキ」に参加。meiyoとは「なにやってもうまくいかない feat. asmi」でコラボレーションしたことから交流を深め、今年リリースされた配信シングル「PAKU」もmeiyoが楽曲提供している。そんな「PAKU」で本公演は幕を開け、asmiは弾ける歌声とキュートな振り付けで観客の心を掴んでいく。

右手に持ったマイクと口元は拳半分程度離れていて、左手は歌詞に合わせて自由に動かしている。ステージドリンクはペットボトルに入った水で、曲間に一瞬しゃがんでドリンクを飲むと、すぐに次の楽曲を歌い始める場面も。「memory」ではマイクに乗る深いブレスが会場を包み込み、かすれた声とウイスパーヴォイスが言葉に陰影をつけていく。ラストは「ヨワネハキ」を披露し、まっすぐなヴォーカルでポップな世界に誘った。

山田将司（THE BACK HORN）

続いて登場した山田将司（THE BACK HORN）はひとりアコースティックギターを抱え、「きょう、きみと」をゆっくりと歌い始める。独自のグルーヴで、会場の空気を一変させた。さらにmeiyoが学生時代から好きだというTHE BACK HORNの楽曲と、ソロ曲を披露。MCではmeiyoのことを“優しい目をしたとってもいい青年。これを機に仲良くしていけたら”と語った。

ラストは喜納昌吉＆チャンプルーズの「花〜すべての人の心に花を〜」を歌唱。ブルーの光に照らされる中、足でリズムを鳴らす。マイクに口元をぐっと近づけたり、拳ふたつ分離れたりと、ギターと身ひとつの多彩な表現で圧倒。“声の力”で観客の心をさらっていった。

meiyo

最後に登場したmeiyoは一言挨拶すると、逆光の中「机上の空論」を弾き語る。深く息をため、時おりメガネを直しながら、丁寧に紡ぐような繊細な歌唱で幕を開けた。続く「チャイニーズブルー」でバンドイン。手拍子を誘い、観客と息を合わせると、「クエスチョン」、「レインボー！」を続けて披露。meiyoはマイクを抜き取ると、ハンドマイクでステージ上を駆け回り、キャッチーな仕草で魅了した。

この日使っていたマイクはSENNHEISER（ゼンハイザー）の「E935」で、マイクと口元はかなり近い距離を保っている。サポートメンバーのマツイヒロキ（b）、qurosawa（g）、矢尾拓也（d）、兼松衆（k＆バンドマスター）の紹介を経て、“今日見たことは口外しないでください。途中で何か起こるんですけど、映像に残ったら僕は一生ライブができなくなるかもしれないので心して見てください”と前置きして披露されたのは「彼此のコレカラ」。観客はmeiyoならではの演出を目に焼き付ける。

さらに、歌い始めてから初めて作ったという「ゆったりと」、“まだまだ盛り上がっていきます”の掛け声で「ねぇよな」を披露。曲間でマイクスタンドに設置されたペットボトルの水を一口飲むと、そのまま「なにやってもうまくいかない」へ。

meiyoにとって楽曲提供の機会が多かった2022年だが、今日のために持ってきたという新曲「未完成レゾナンス」も初披露。本編ラストには“大切に歌わせていただきます”と一言添えて、兼松衆のキーボード一本で「あとがき」を語りかけるように歌唱した。

アンコールでは次回の自主企画ライブ『Uphoria』の開催を発表。“大好きだったバンドが解散して、好きなものはいつまであるかわからないと思って2019年に作った”という「いつまであるか」を最後に届けた。“みなさんがこうして来てくれることが、いろんなものを長続きさせると思った数年間。これからも好きなものを好きでい続ける努力をしてくれたら、もっともっと幸せになっていけるんじゃないか”と語ったmeiyoの思いに応えるように、観客はステージに向かって拳をあげる。演奏を終えるとmeiyoは、“これからも好きなものを好きでい続けてね”と言葉を投げかけ、ステージをあとにしたのだった。