【インタビュー】新世代のカリスマフィメールラッパー、Elle Teresaが歌で表現する“自分らしさ”

2022.07.21

取材・文:鈴木瑞穂(Vocal Magazine Web)

HIPHOPで新たな“カワイイ”を体現するポップアイコン、Elle Teresaが7月15日にメジャー1stアルバム『Sweet My Life』をリリースした。

2016年4月に1stミックステープ『ignorant Tape』をリリース。その後も個性的な声やフロウ、研ぎ澄まされたリリックから生み出される作品が国内外で高い評価を受け、2021年7月7日に「bby girlll」でavex traxよりメジャーデビュー。ファッション誌にも数多く登場し、その日本人離れしたルックスとファッションセンスにも注目が集まっている。

今回のインタビューでは、ラップを始めたばかりの頃に行なった練習法や、すべて海外で制作したというニューアルバムの話、そして今後の野望について語ってもらった。【インタビューの最後にプレゼント情報あり】

ラップの基礎はUSのビートジャックから

──ニューアルバム、カッコ良くて可愛かったです。どんなコンセプトになっているんですか?

Elle 曲自体は3年前くらいに作ったんですけど、そのとき一緒にいた男の子や彼氏のことを綴ったアルバムです。全体的に恋愛色が強めの、いろいろな男の子たちとのストーリーが詰まってますね。

──2016年リリースの1stミックステープ『Ignorant Tape』と比べると、音楽スタイルの変化は感じますか?

Elle 根本は変わらないかな。1st作品もElleっぽいと思うし、途中に出したアルバムは好きな音楽やサウンドが少し変わったけど、基本的には可愛くてポップなサウンドが多いです。

Elleは恋愛が大好きだから、ずっと男の子のことをラップしてて。でも、それを堂々と言えるフィメールラッパーってあんまりいないと思うんですよ。Elleは全然恥ずかしくなく言えちゃうし、そこに共感してくれる女の子が多いのかなって思います。

──少し遡ると、ラップを始める前はダンスをしていたそうですが、そのときはどんなジャンルを聴いていたんですか?

Elle HIPHOPとかR&Bかな。TLC、ブランディ、マイケル・ジャクソンあたりの音楽をよく聴いてました。

──洋楽メインですか?

Elle そうです。日本語だったら椎名林檎さんを一番聴いてたかな。でも中学のときはウエストサイド系のHIPHOPを聴いてました。当時付き合ってた男の子がカラオケで歌っているのをElleも一緒に歌ったりして。ずっとHIPHOPは生活の中にありましたね。

──ラップをスタートしたきっかけは何だったのですか?

Elle 地元で遊んでた先輩に誘ってもらって、軽いノリで始めました。

──最初はどんな練習から始めたんですか?

Elle すごく覚えてるのが、クレイショーンっていうUSフィメールラッパーの「Gucci Gucci」を聴いて“え、ヤバイ!”と思って。最初はその曲のビートジャック、つまり同じフロウを日本語でラップすることに挑戦しました。そのあとUSのビートジャックを10曲ぐらい作ったら“意外とできるじゃん”という感覚があって。でもすぐ自分の作品ができたわけじゃなく、フロウとリリックをイチから作るのが難しくて、最初はできあがっても“なんか誰かっぽいな……”ってなったり、人に手伝ってもらって一緒に作ることが多かったですね。

──USのビートジャックを続けて今のスキルに生きてると感じるところは?

Elle もう全部。クラシックピアノでも基礎が重要なように、Elleにとっての基礎はUSのビートジャックだった。そこができてないとなんか変な日本語ラップになるというか。

──最初からラップの感覚は掴めていましたか?

Elle 練習するたびに掴んでいった感じです。確かに最初から掴んでる感覚はあったんですけど、いま聴いたら掴んでないと思う(笑)。今でも練習するたびに“あっ、いま掴んだな”と感じるので、レベルは違えどその都度モノにできてるのかなって思います。

──“掴んだ”を判断する基準はどんなところに置いてるんでしょうか?

Elle 「USで通用するかしないか」。日本人だからあんまりUS、USって誇張するのもイヤなんですけど(笑)、ある程度そのビートに対して正解のアプローチがあると思うんです。“このビートだったら最低でもこう乗せる”という基準がElleの中にはあって。それを研ぎ澄ますために、車の移動中はずっとトラップミュージックを聴いたり、常に良い音楽を体身体に入れるようにしてます。

──Elleさんが思う良い音楽とはどんなものですか?

Elle 本物のビート。本物のHIPHOP。でもその基準って町ごとにも違うんですよ。USでもニューヨークはエイサップ・モブとか少しカントリー寄りなHIPHOPの印象。でもトラップミュージックの最前線では、ポップ・スモークやファイヴィオ・フォーリンに代表されるブルックリン・ドリル(=サブジャンル)が流行っていて。ニューヨークもイイ感じだけど、Elleはそういったアトランタやシカゴのサウス寄りのサウンドが好きなんです。

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