プロ直伝! 自宅でできるボイストレーニング10選
2022.11.16
伊藤俊輔(ボイストレーニング教室LogiVo)/『歌スク』講師
11月特集『おうちで歌を練習しよう』の第一弾は、「プロ直伝! 自宅でできるボイストレーニング10選」。
『歌スク』講師のひとりでもあり、
実際のオンライン・レッスンでも指導している「
「歌がうまくなりたいからボイトレをしてみたい!」
「でも自宅の壁が薄いからボイトレができない!」
こんなふうに悩んでいませんか?
そんなあなたに朗報です!
大きな声を出すだけがボイトレではありません!
それどころか、ボイトレ初心者には大きな声を出さないボイトレのほうが、効果的とさえ言えるのです。
もし、大きな声を出さずにできて、とても効果的なボイトレがあるなら、やってみたいと思いませんか?
そこでこの記事では、自宅でもできて、しかも効果がバッチリ出るトレーニングを、プロのボイストレーナーが厳選してご紹介します。
1. なぜ大きな声を出さないボイストレーニングのほうが効果的なのか?
ボイストレーニングの目的は、ひとことで言えば、不要な筋肉の緊張を緩め、必要な筋肉を活性化させること。これに尽きます。
しかし、ボイトレ初心者がいきなり大きな声を出すトレーニングに取り組むと、逆にムダな緊張が生まれ、不必要な筋肉まで働いてしまうケースが多々あります。
そのままトレーニングを継続していると、脳や身体がその緊張状態を覚えてしまい、結果、変な癖がつく原因になります。
そして、一度変な癖がついてしまうと、その癖を取るのにかなりの時間を要してしまいます。
反対に、大きな声を出さないトレーニングなら、筋肉の過緊張が起こりづらく、変な癖がつきにくくなり、ムダなくトレーニングすることができるのです。
したがって、ボイトレ初心者は、まず大きな声を出さないトレーニングでムダな緊張を取り除き、適切に筋肉を働かせていくことが大切です。
2. 自宅でできるオススメのボイストレーニング10選
それでは早速、自宅でできるボイトレをご紹介しましょう!
2-1.歌える身体を作るボイストレーニング3選
まずは、歌える身体を作るボイストレーニングを3つご紹介します。
①ラジオ体操第1
お薦めのトレーニングのひとつ目は、「ラジオ体操第1」です。
「え? ラジオ体操って、あのラジオ体操?」と驚かれた方もたくさんいるのではないでしょうか?
実はあのラジオ体操、歌える身体を作る動きがふんだんに含まれているんです。
特に上半身の動きは、姿勢や呼吸にダイレクトに影響を与えます。
ボイストレーナーである私も、歌える身体を維持するために、毎日実践しています。
②キャット&ドッグ
2つ目のお薦めトレーニングは「キャット&ドッグ」です。
このトレーニングは背骨の可動域を広げ、正しい姿勢を作ってくれます。
姿勢とボイトレ、一見関係がないように思えますが、例えば、息が浅い原因が反り腰にあったり、喉が絞まる原因が猫背にあったりと、姿勢と歌にはかなり関係があります。
「姿勢を治すだけで、最高音が伸びた」というケースも少なくありません。
そういえば、「姿勢が悪いよ」ってよく言われるなぁ、という方はぜひ取り組んでみてください。
ステップ1
まずは、両手が肩の真下に、両膝が腰の真下にくるようにして、四つん這いになる。
ステップ2/キャット
おへそをのぞき込むように背中を丸める。
ステップ3/ドッグ
目線を上げ、おしりを突き出し、背中を反らせて、お腹を伸ばす。
ステップ4
ステップ2、3を10回繰り返す。
動画に合わせてやってみましょう!
③風船ブレス
お薦めのトレーニング3つ目は「風船ブレス」。これは力強い声を作るためのトレーニングです。
やり方は簡単。たくさん息を吸って風船を膨らませる。ただ、それだけ。
風船を膨らませようとすると、大きな声を出すときに必要な腹筋の力が勝手に入るため、このトレーニングを繰り返すことで、腹筋の使い方を身体で覚えられます。
そこまで強い力は必要ないので、膨らませやすい風船を選ぶようにしてください。
また、風船を膨らませるときに、お腹を凹ませようとせず、膨らんだ状態をキープするようにしてください。
2-2.ムダな力みを取るボイストレーニング4選
次に、ムダな力みを取るボイストレーニングを4つご紹介します。
①あくびキープ
ひとつ目のお薦めトレーニングは「あくびキープ」です。
あくびをすると、喉締めの原因となる複数の筋肉に対し、一気にストレッチをかけることができるため、とてもコスパの良いトレーニングと言えます。
普段しているあくびを30秒キープ。それを4セット行ないます。
ただ、大きな口を開けるのではなく、しっかりとあくびの感覚を持ちながらやることがポイントです。
②舌出し発声
2つ目のお薦めトレーニングは、「舌出し発声」です。
舌を思いっきり出した状態で、自分の一番低くて深い声を出します。そうすると、舌の根元にある筋肉がストレッチされます。
舌の根元にある筋肉も喉締めの原因のひとつであるため、喉締め改善の効果が期待できます。
③舌もみ
3つ目のお薦めトレーニングは、「舌もみ」です。
このトレーニングは、私の所属するオンライン・ヴォーカルスクール、『歌スク』で私が解説しているトレーニングです。以下の動画から、やり方をチェックしてください。
④オトガイ舌骨筋の指圧
4つ目のお薦めトレーニングは、「オトガイ舌骨筋の指圧」です。
こちらも「歌スク」で詳しく解説しているため、以下の動画からやり方をチェックしてください。
2-3.小声でできるボイストレーニング3選
最後に、小声でできるボイストレーニングを3つご紹介します。
①モスキートハミング
ひとつ目のお薦めトレーニングは、「モスキートハミング」です。
これは地声と裏声を繋げる感覚を身につけるトレーニングです。
蚊の鳴くような、とても小さなハミングで地声と裏声を繋げます。大きな声では地声と裏声が繋がらなくても、小さな声であればうまく繋がるという方もたくさんいます。
そして、小さな声で繋げる感覚がつかめると、次第に大きな声でも繋げやすくなっていきます。以下の動画のように練習してみてください。
②ストロー発声
2つ目のお薦めトレーニングは、「ストロー発声」です。
ストローをくわえながら声を出すと、声帯が振動しやすくなり、息漏れ声の改善が期待できます。
やり方は簡単。ストローを口にくわえ、「ウ~」と声を出します。
発声練習として使ってもいいですし、そのまま歌を歌うのも効果的です。
鼻や唇の脇から息が漏れないように注意してください。
③キャット&ドッグ(鳴き声バージョン)
3つ目のお薦めトレーニングは、「キャット&ドッグ」(鳴き声バージョン)です。
猫の鳴きマネをすると、のど仏が上がります。
反対に、犬の鳴きマネをすれば、のど仏が下がります。
猫の鳴きマネと犬の鳴きマネを交互に繰り返すことで、のど仏の周りの筋肉の柔軟性を高めることができます。
のど仏の周りの筋肉の柔軟性は、大きな声を出したり、高い声を出す上で、非常に重要です。
また、この練習を繰り返すことで、いろいろな声色が出せるようになることも大きなメリットです。
3. 滑舌、リズム、音感トレーニングもご紹介
番外編として、大きな声を出さずにできる、「滑舌」、「リズム」、「音感」トレーニングをご紹介します。これらは『歌スク』の他の講師陣の動画を引用しています。
3-1.滑舌トレーニング
宮島知穂:滑舌トレーニング(か行編)
3-2.リズムトレーニング
竹井侑冶:正しいリズムのとり方
3-3.音感トレーニング
tOmozo:音感トレーニング
4. まとめ
私が所属するオンライン・ヴォーカル・スクール『歌スク』では、この記事でご紹介したもの以外にも、たくさん自宅でできるボイストレーニングの動画を掲載しています。
ぜひ、『歌スク』の公式ホームページもチェックしてみてください。
伊藤俊輔(いとうしゅんすけ)
京都府出身。高校2年の秋から校内のグリークラブに参加する。京都大学法学部に進学後はアカペラサークルに所属。アカペラ一色の学生生活を送るが、自己流で無理な声の出し方をしていたこともあって喉を壊してしまう。京大病院で治療を受けたことを機に発声の猛勉強を開始。卒業後はサラリーマンをしながら関西を中心に全国のアカペラサークルへ赴いて発声の指導を行なう。2016年に京都府職員を辞して、「発声改善専門のボイストレーニング教室LogiVo」を開業。解剖学などの科学的根拠に基づいた論理的な指導が支持され、これまで30を超える企業・団体に対し、ヴォイストレーニング講座を実施。受講者は2,000人を超える。
伊藤先生が主宰!
ボイストレーニング教室LogiVo
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