柴田聡子が試す1万4千円のイヤモニ＝MAPro1000 〜全部の音が前に出てきてタイトにリズムが取れる

2024.08.19

「自分がどう歌いたいか」よりも「どういう声の状態で歌いたいか」

−普段から歌のためのケアで気にされてることはありますか？

柴田　物理的なケアは、なるべく唾液を多めに出すっていうか。専門医ではないんですけど、内科の先生に、喉が乾燥しているから「ガムを噛め」「常に水を飲め」と言われて、この2つをやり始めてから声が出ないことはあまりなくなりました。あとはウォーミングアップをそれに加えてやっています。

−ウォーミングアップはどのようなものを？

柴田　コロナ禍で時間のあったときから、声の使い方を自分なりに訓練し始めたんです。YouTubeでいろいろボイトレ動画を見まくった結果、ボイトレって本当にその人その人で合うやり方とか合う先生が違うんだなっていうのが分かって。そうやって自分に合うものを探してウォーミングアップをするようになって、本当に声を無理に出さなくなったり、楽に出すことを心がけられるようになったりしました。2、3日続けて歌うときに、以前は3日目ぐらいになるとどうしても疲労があって感じがあったんですけど、そういうときでもアベレージを上げたいなと。

−そこは柴田さんなりのプロ意識ですね。

柴田　私は歌を歌うよりも曲を作りたい方が先だったので、歌は好きでしたけど、歌姫のような存在では全然ない。だから、やっぱり歌は後天的に頑張るしかないなっていうのもあって。

−柴田さんの作品は、年代によって歌い方が変わっていっているように思います。もちろん楽曲をどう表現するかがありきですが、ご自身では意識されていらっしゃいますか？

柴田　私は、自分の曲を発表する手段として、何も考えてないところからアルバムを録り始めてしまったんです。1st『しばたさとこ島』から2nd『いじわる全集』は弾き語りからオーバーダビングするかたちで、3rd『柴田聡子』くらいでバンドとの録音が始まりました。その間にも、弾き語りの人はよくあると思うんですけど、マイクがないところとか、音響的に難しいところでライブをしなきゃいけないことがあったんです。

−“ギター1本だけ持って”というのが本当にそれだけだと誤解されてしまったんですね。

柴田　そうなんです。それは身一つのいいところでもあり、難しいところでもある。そういう形態で活動をしていると、自分をそこにアジャストしにいくことがあって。私はもともとそんなに声が大きい方ではないのですが、声を張り上げないとライブとして成立しない場所が多かったりとか。あとはバンド編成でも、モニターとしてどうバランスを作ればいいのかが分からなったり。だから、少し前までは声を大きくしなきゃいけないという意識がありました。

−環境やバンドの音に負けないように、という意識が強かったと。

柴田　で、それがこの2、3年で限界を迎えたというか、歌の響きがなくて、他の楽器に比べて自分だけ浮いている感じがしていて。もっと声として響くような方法を採りたいと思うようになったのが直近の『ぼちぼち銀河』『Your Favorite Things』の2作です。最新作『Your Favorite Things』では歌について割と時間を割いて考えることができたので、いろいろ試してみたりできました。だから、自分で表現の幅を階段を登るように広げていったというより、自分を取り巻く状況だったりとか、バンドの音の質感に合わせていこうということも大きくて。「自分がどう歌いたいか」に加えて、「どういう声の状態で歌いたいか」を考えるようになってきました。それが、「表現の幅」に繋がってきたようなところがありますね。

Maestraudio MAPro1000

MAPro1000。左からBoost Red、Shower Blue、Garal Blue（各14,300円）

　Maestraudioは、群馬県高崎市に本拠を構えるメーカー、オーツェイドのイヤモニ（IEM）ブランド。圧電セラミックスを使用した技術に長けており、それをIEMに応用することで広いサウンドステージ表現を得意とする。

　MAPro1000は、Maestraudio製IEMならではの広いサウンドステージ表現を維持したまま、より快適に耳にフィットする筐体設計を目指して開発した、新IEMシリーズ「MAPro」の第１弾製品。イヤーピースだけで本体を支えず筐体形状で耳に対し固定することで、耳道の負担を軽減し、より快適なフィッティングと遮音性向上を同時に実現し、動いてもズレにくい上、長時間の使用でも耳道への負担が少なく疲れにくい設計となっている。

　MAPro1000のドライバーは、深く沈み込む低域再生を実現する10mm径グラフェンコートダイナミックドライバーに加え、独自技術のパッシブ型セラミックコートツィーターとして新開発の5.8mm径RST（Reactive Sympathetic Tweeter）を初搭載。ハイブリッドドライバー構成を採用し、小型軽量な筐体ながらも広いサウンドステージと音に包まれるようなイマーシブサウンドを実現する。

MAPro1000 製品ページ：https://www.aiuto-jp.co.jp/products/product_5002.php
オンラインショップ（Amazon.co.jp）：https://amzn.asia/d/01MSNsIj

柴田聡子

シンガー・ソングライター／詩人。北海道札幌市出身。武蔵野美術大学卒業、東京藝術大学大学院修了。2010年、大学時代の恩師の一言をきっかけに活動を始める。2012年、多重録音による1stアルバム『しばたさとこ島』でアルバムデビュー。自身の作品発表以外にも、楽曲提供、映画やドラマへの出演、ミュージックビデオの撮影・編集を含めた完全単独制作など、その表現は形態を選ばない。2024年2月、最新アルバム『Your Favorite Things』をリリース。10月23日には同作の新バージョン「My Favorite Things」のリリースを予定している。

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