【オフィシャルライブレポート】リーガルリリー、満員の日比谷野音ワンマンライブ大団円。自分の信じた音を鳴らし続けて、その音でノックをして開けた日比谷野音への扉。(写真21枚)

 リーガルリリーが7月2日(日)に日比谷野外大音楽堂にて、ワンマンライブ『リーガルリリー YAON 2023』を開催した。

 雨が続いていた東京で、この日だけ雲ひとつない快晴。日比谷公園には百合の花が満開に咲く中、学生時代のたかはしほのかにバンドを始めるきっかけを与えたこの場所に、2000人を超える満員の観客が集まった。

 リーガルリリーの3人が静かにステージに降り立つと、《ばかばっかのせんじょうに ギターをひとつ持って》と、たかはしほのか(vo&g)の歌い出しから始まる「ジョニー」を演奏。ライブでの声出しが解禁になったこともあり、観客の熱量もより一層高く、そのままなだれ込むように「たたかわないらいおん」へ。次に演奏された新曲「ハイキ」では、海(b)が銅鑼を叩くと同時に、軽やかなバンドのグルーヴが構築されていく。

 息を挟む間もないほど続けざまに数曲をプレイすると、エレキギターからアコースティックギターに持ち替えて「overture」が演奏された。その後8曲目「教室のドアの向こう」の終わりまでMCを挟まずに、ただ純粋に3人で音楽をかき鳴らす姿がとにかく印象的な前半パートが過ぎていく。

 “リーガルリリーです。”とこの日初のMCを終えると、5月にリリースしたMini Album『where?』から、ライブ初披露となる新曲「管制塔の退屈」が始まり、間奏のシンガロングパートでは野音全体が「ららら」という観客の歌声に包まれる。そのあと、ゆきやま(d)のドラムソロから「ライナー」が幕開け、「アルケミラ」まで勢いをなくすことなく続いていき、しばらくすると、歯車のような機械音がスピーカーから聴こえてきた。その直後、一瞬の静寂とギターのハウリングを挟んで演奏されたのは、同じく『where?』からの新曲「若者たち」。UKロックをバックボーンに持つリーガルリリーらしい独特のコードワークと重厚なサウンドを響かせながら、メッセージ性の強い歌詞を感傷的に放つたかはしほのかを見ていると、いかにリーガルリリーがライブバンドであるかということと、このどこまでも無垢な声がどれだけ多くのリスナーの心を救ってきたのかを改めて実感する。

 そして太陽が徐々に沈みはじめ、「GOLD TRAIN」が夜の部へと観客を運ぶ。海(b)のスラップソロから、たかはしほのか(vo&g)がメンバー紹介をすると、照明の明滅にあわせて静と動が入り混じるロックチューン「東京」へ。満月の一夜、少女と狼男の恋愛を歌った「ぶらんこ」など、野音はさらに夜の底へと向かっていく中、スピーカーからは川のせせらぎと虫の声が聴こえてきた。その音に乗せるようにたかはしほのかの朗読が始まり、月の照明とともに演奏されたのは、映画『惡の華』の主題歌に起用された「ハナヒカリ」。日比谷公園の虫の声と相まって会場の空気は一気に幻想的な世界へ転じていた。

 そして本編はいよいよ終盤へ。たかはしほのかが“1997年12月10日。私はこの世界の空白をひとつ奪いました。そしていつかまたこの空白を返すまでのお話です”という死生観に満ちたMCを放つと同時に、代表曲「1997」の歪んだベースイントロが鳴りだす。曲間では「2023年7月2日 日比谷野音 私は泣くことしかできなかった」と、今この瞬間の感情をそのまま音楽へと流し込むような即興のポエトリーリーディングが鮮烈だ。そのまま最後を締めくくるように、「リッケンバッカー」、「はしるこども」と、感情を燃やし尽くすような圧巻のライブパフォーマンスを魅せつけ、夏の夜の匂いに満ちた空気の中、3人は潔くステージを去った。

 その後、鳴りやまない拍手の中で再び登場した3人。MCでたかはしほのかは“このステージに立つために、毎日音楽をやってきました。ありがとうございます。まさか家の扉とここが繋がっているなんて。扉をノックする音を自分の好きな音で鳴らせば、その扉を開くことができると思います。みなさんもそれぞれの音で扉をノックして開けてくれてありがとう。”と本公演に込めた特別な想いを語った。そして自身の誕生日である12月10日(日)に、毎年恒例の対バン企画である『cell,core』を今年はZepp Shinjuku(TOKYO)で開催することも発表。

 アンコールでは、切り裂くようなハイトーンと痛みを伴った歌詞が印象的な「魔女」を演奏したのち、夏の夜にふさわしい重厚なバラード「蛍狩り」を最後に披露。美しくも儚い轟音のアウトロが夜の野音にどこまでも響きわたったあと、メンバーがいなくなったステージ上には幻想的な灯りが灯され、たかはしほのかのポエトリーが印象的なエンディングトラックが流れた。静まり返った夜空に放たれるように、リーガルリリーの野音ライブは幻想と現実の狭間に観客を残したまま幕を閉じた。


公演概要

『リーガルリリー YAON 2023』
2023年7月2日(日)東京・日比谷野外大音楽堂
開場 16:30/開演 17:30

<セットリスト>
01. ジョニー
02. たたかわないらいおん
03. ハイキ
04. トランジスタラジオ
05. 僕のリリー
06. 地球でつかまえて
07. overture
08. 教室のドアの向こう
09. 管制塔の退屈
10. ライナー
11. アルケミラ
12. 若者たち
13. GOLD TRAIN
14. 東京
15. the tokyo tower
16. ぶらんこ
17. ハナヒカリ
18. ノーワー
19. 1997
20. リッケンバッカー
21. はしるこども
Encore1. 魔女
Encore2. 蛍狩り


ライブ情報

リーガルリリー『cell,core 2023』
2023年12月10日(日)東京・Zepp Shinjuku(TOKYO)
開場 16:00/開演 17:00
チケット:前売り5,500円(税込/D別)

<チケット先行発売開始> 野音特別抽選先行
https://w.pia.jp/t/cellcore2023/
受付期間:7/2(日)20:00〜7/17(月・祝)23:59


リーガルリリー TOUR 2023 『where?』
<ツアー日程>
《仙台編》 9月30日(土)宮城・仙台CLUB JUNKBOX 
《新潟編》 10月1日(日)新潟・新潟GOLDEN PIGS RED STAGE
《札幌編》 10月22日(日)北海道・札幌SPiCE
《広島編》 11月4日(土)広島・広島Live space Reed 
《福岡編》 11月5日(日)福岡・福岡DRUM Be-1 
《大阪編》 11月29日(水)大阪・大阪BIGCAT
《名古屋編》 11月30日(木)愛知・名古屋BOTTOM LINE
チケット:前売り5,000円(税込/D別)

<チケット先行発売開始>野音特別抽選先行(チケットぴあ)
https://w.pia.jp/t/regallily2023/

受付期間:7/2(日)20:00〜7/17(月・祝)23:59


リリース情報

Mini Album『where?』
2023年5月24日発売

STREAMING/DL:https://kmu.lnk.to/where
CD:https://kmu.lnk.to/xnS98Z


プロフィール

リーガルリリー
東京都出身。たかはしほのか(vo&g)、ゆきやま(d)、海(b)からなるバンド。高校在学時より注目を集め、国内大型フェスへの出演のみならず、カナダ、アメリカ、香港、中国といった海外進出も果たす。これまでに映画主題歌や、アニメタイアップも手掛けながら、2022年には2nd Album『Cとし生けるもの』をリリースし、全国13ヵ所を巡るワンマンツアーを行脚。そして2023年、ドラマParavi『隣の男はよく食べる』主題歌「ハイキ」を含む、Mini Album『where?』を5月24日にリリース。7月2日には日比谷野外音楽堂でのワンマンライブを成功させ、秋には全国7ヵ所を巡るツアー『where?』を開催する。たかはしほのかの無垢な歌声と、独創的な歌詞とバンドアレンジ。そして衝動的なライブパフォーマンスを武器に、同世代のロックシーンの中でひときわ異彩を放つ。


関連リンク

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