【インタビュー】実力派オネエユニット“エンガブ”が明かす音楽の原体験と“航海”を掲げた最新アルバム制作秘話
2024.05.29
取材・文:榊郁乃 Photo:Jumpei Yamada
作詞作曲も担当するボーカルのTakassy、ボーカルのHIDEKiSM、ダンサーのKamusからなる3人組“オネエユニット”ENVii GABRIELLA(通称エンガブ)。「動画で楽しむ新宿二丁目」をコンセプトに繰り広げるYouTubeチャンネル『スナックENVii GABRIELLA』は2024年5月現在でチャンネル登録者数20.6万人を超えるほど人気の3人だが、メインとする音楽活動でも着々とファンを増やしている。そんなエンガブが5月29日にリリースするミニアルバム『DVORAKKIA』(ドヴォルザキア)は“航海”をテーマに掲げたコンセプチュアルな作品で、ポップスやR&Bを軸に据えながら、レゲエやカントリーなどさまざまなジャンルを取り入れたバラエティ豊かな1枚だ。Vocal Magazine Webで初となるインタビューでは、同作についてはもちろん、3人が音楽を始めたきっかけ、ツアー中の喉や身体のケア、エンガブ楽曲の歌唱のコツに至るまでをたっぷりと語ってもらった。
個性豊かな3人が音楽を始めたきっかけ
──TakassyさんとHIDEKiSMさんが歌を好きになったきっかけ、歌い始めたきっかけを教えてください。
Takassy 私の場合は明確なきっかけがわからないのですが、親に聞いた話だと物心ついたときにはずっと家で歌ってたみたいです。歌の教室にも通わせてもらったんですが、レッスン3回目くらいからなぜかピアノ教室に変わっちゃって、それから歌じゃなくてピアノのレッスンを受けさせられました(笑)。その後、中学生くらいで歌手になりたいという明確な思いが芽生え、そのための進路をどうするかをずっと考えてました。でもすごく小心者なので、オーディションとかは1回も受けたことがないんです。それで高校を卒業してから音楽の専門学校に通って、学校以外の時間はずっとクラブで歌うような生活をしてました。
HIDEKiSM 私も幼少期からずっと歌うことが大好きでした。今でも印象に残ってるのは、小学校の頃に保護者同伴でみんなでカラオケに行く機会があったんです。初めてでカラオケの嗜み方も知らないから、みんなの順番も守らず、前に前に、歌わせて歌わせて!ってどんどん歌いたい曲を入れてたこと(笑)。今思い出すと、SPEEDさんやモーニング娘。さん、MAXさんが活躍していたテレビ番組『THE夜もヒッパレ』や『ASAYAN』が人気で、「いいな、私もいつか歌手になりたいわ」ってずっと憧れてました。私はTakassyとは逆で、オーディション雑誌の『月刊デビュー』や『月刊Audition』を買って、ガンガン応募してましたね。
Takassy 私は(オーディション雑誌を)買うだけだったね。買って見て終わる。
HIDEKiSM 姉に応募させられて、さまざまなオーディションに参加しましたね。結構いろんな事務所の最終選考まで残ったことがあるんですけど、全部最終で落ちました(笑)。
Takassy いつも微妙みたいな!(笑)。さまざまなオーディション荒らしをされてたのね。
──Kamusさんはダンス担当ですが、ダンスを好きになったきっかけは?
Kamus 最初は「やってみたいな」って真似事から始めました。高校生の頃、たまたま夜更かしした日に『スーパーチャンプル』っていうダンス番組を観たらすごく引き込まれて、それから毎週欠かさず観るようになりました。なかでも “ばい菌持ってる鳩”という女性ふたり組ユニットに心を奪われまして。ダンスのスキルは抜群なんですがちょっと異質な雰囲気があって、ひとりが変わったメイクや仮装をしてて、ナンバーごとに独特な世界観を作り上げるんです。ワンナンバーごとに惹かれる魅力があって、彼女たちの振り付けを真似するところからダンスを始めました。当時出始めのYouTubeをがんばってガラケーで観て振り付けを練習し、高校の文化祭で女の子の友達と一緒に披露しましたね。
──“文化祭”というキーワードが出ましたが、 TakassyさんとHIDEKiSMさんも学生の頃から歌を披露する機会はありましたか?
Takassy 私は、通ってた中学校の歴史のなかで唯一3年連続で文化祭のステージに上がった人間なんです。中学1年生の頃から、毎年ひとりでステージで歌って踊ってました。
──どんな曲を?
Takassy 1年生の頃は 石川ひとみさんの『まちぶせ』。黒縁メガネをかけた子どもがひとりで「好きだったのよあなた」って、その頃からオカマ全開みたいな(笑)。2年生と3年生の頃はTRFを全パートひとりで歌い踊り狂いました。クラスの女の子に服を借りてメイクもしてもらって、女装で出るみたいな。卒業アルバムに写真が残ってて、もう見たくないって感じなんですけど(笑)。その頃から人前でパフォーマンスをするのがたまらなく好きだったんでしょうね。
HIDEKiSM 私は小学校の頃、学校行事のキャンプファイヤーでみんなで組体操するときに、組体操の横でひとりだけ歌って踊ってました(笑)。
Kamus どういう状況なの!? それ!(笑)
Takassy カオス(笑)
HIDEKiSM 人前に出るからには歌いたい!みたいな気持ちがあったんでしょうね。中学校では吹奏楽部の部長で、音楽の成績はずっと5でした。合唱コンクールでも「絶対優勝するよ!」って超張り切るタイプで、最後に学年全体で『大地讃頌』を歌うときに指揮をやるくらい、熱心に音楽が好きでした。高校は吹奏楽が強い学校に行こうと思ったんですけど落ちちゃって、転落人生でギャルサーに入って(笑)。そこからはパラパラ踊ったり、クラブイベント主催したり。
Takassy 歌、関係ないんだけど!(笑)
HIDEKiSM 大学から歌を再開して、自分のオリジナル曲を歌ってました。振り返ると小学生の頃から歌うことと踊ることがセットで好きだったから、今の活動にも繋がってるのかなって思いますよ!