取材・文:鈴木瑞穂(Vocal Magazine Web)
ライブ配信アプリ『17LIVE(イチナナ)』にて、毎朝7時からドラムを叩く姿が話題の音楽ライバー 鈴木りゅうじ。彼は10歳からドラムを始め、18歳でバンド活動をスタート。『テレ東音楽祭2022冬』ではあのT.M.Revolutionのサポートドラマーとして出演するなど、卓越したドラムスキルを持つ。さらに、ソロプロジェクト『S.Dragon-Er』でのヴォーカル&ラップ担当、楽曲のリリース、活発な路上ライブ活動など近年ヴォーカリストとしての活躍も目覚ましい。
2023年11月、17LIVEで「あの『推しの子』も!超人気アニソンクリエイター!!小野寺祐輔楽曲提供オーディション」が開催された。本企画は、アプリ内イベント「楽曲提供争奪戦」にて上位7名に入賞し、オーディション出演権を獲得したライバーの中から、最終オーディションで選ばれたグランプリ1名に、小野寺祐輔氏による楽曲提供権が贈呈されるというイベントであった。
当イベントで3位の結果を収めた記念として、今回Vocal Magazine Webに鈴木が初登場。ドラムとの触れ合いや歌に対する想い、こだわりの配信環境までさまざまなことを語ってもらった。
自分で言いたいことを書いて、歌えばいいんじゃないかなって
──Vocal Magazine Web初登場ということで、まずは簡単に自己紹介をお願いします!
鈴木りゅうじ 17LIVEで2017年11月から配信してます、音楽ライバーの鈴木りゅうじです。配信内容は、毎日朝7時からドラムとDJを使った配信を行なっております!
──鈴木さんのライブ配信を拝見しましたが、ドラムのパフォーマンスに圧倒されました。『テレ東音楽祭2022冬』でT.M.Revolutionのサポートドラマーとして出演されるなど、ズバ抜けたスキルをお持ちです。ドラムはいつ頃からやっているんですか?
鈴木 10歳のときから叩いてます。父親がドラマーで、家に電子ドラムが置いてあったっていうのが始まりで。
<17LIVEムービー投稿より パフォーマンス映像>
https://17.live/ja/profile/310554/clip/1d26uiUJFyAXHQ9Rq8BKyf5VS55
──影響を受けたドラマーはいますか?
鈴木 最初はディープ・パープルのイアン・ペイスとかはかなり観てましたね。
──叩く体力も相当必要そうですが、学生時代からなにか運動や部活もやっていたんですか?
鈴木 大学時代にダンス部で部長をやってたみたいな背景はあります。ブレイクダンスやってました。クルクル回ったりバク中したりとか。
──ドラマーとしての活動も学生時代から本格的に?
鈴木 そうですね、この業界でやろうって決めたのは大学3年生のときで、周りが就職活動の雰囲気になってるときに、僕は「バンドマンに就職します!」とか言ってたのが始まりでした(笑)。今は活動休止中なんですけど、当時組んでいたHIGH BONE MUSCLEっていうバンドがありまして、そのバンドでいこう!と。
──現在は楽曲をリリースされるなどヴォーカリストとしても活躍されています。歌を始めたのもそのあたりからですか?
鈴木 ヴォーカルを始めたのは2020年なので、3年前くらいですね。配信の世界に入って、バンドで動くよりも「鈴木りゅうじ」として動くことのほうが多くなっていく中で、どうしてもドラムで伝えられることの限界みたいなものを感じて。「もっと伝えたい言葉がいっぱいあるのに……」と思ったときに、自分で言いたいことを書いて歌えばいいんじゃないかなって結論に至ったんです。
<17LIVEムービー投稿より『S.Dragon-Er』映像>
https://17.live/ja/profile/310554/clip/1hEbwduxYlMTemn0XhKXHySohGC
──歌うことはもともと好きで?
鈴木 いや、めちゃめちゃ苦手でした……っていうか歌ったことがなくて。だから歌おう!と思ったときに、人の歌を練習するっていうのがもう考えになくて(笑)。自分で曲を書けば自分ができることだけが入ってるので、その範囲内でやろう!みたいな(笑)。
──それで作曲活動も同時にスタートしたということですね。これまで影響を受けたヴォーカリストはいますか?
鈴木 影響はなんかいろんなところで……僕の配信もジャンルレスな曲を鳴らしていて、EDMからロック、パンク、ジャズとかいろんなところから引っ張ってきてるので、その中で受けた影響もあります。でも一番初めに聴いていた曲で言うと、BUMP OF CHICKENさんはもう何曲も聴いていてドラムも全部叩けるんです。僕が組んでたバンドの方向性も最初バンプに似てて、バンドのヴォーカルが僕のお兄ちゃんなんですけど、兄が作る曲もやっぱり近いものがあったり。そういう中で「歌詞を大事にしたい」みたいなことは、すごく影響を受けたと思います。
──ドラムをやっていたことで、歌やラップもスッと取り入れられましたか? それとも歌に関しては苦難もあったのでしょうか。
鈴木 これはドラマーによるかもしれないですけど、僕の場合はドラムから歌に入ったときに、「歌心」っていうのがちょっと弱かったなと。要は、(タイミングより)絶妙に前にいくとか後ろにいくとかじゃなくて、とにかくオンオンオン!みたいになっていたというか。「歌は遊んでもいい」みたいな感覚は、理解するのにちょっと時間がかかったし、まだできてないと思うんですけど、ちょっとずつわかってきた感じがします。
──ドラマーだからこその感覚でもありますね。ボイトレには通っていますか?
鈴木 えっと、2年前ぐらいから通ってます。
──変化は感じますか?
鈴木 通い始めたときはまったく声が出てなくて、ガラガラだったしダメな状態だったんです(笑)。そこからすると一番変わったのは、声枯れとか普段の声の出し方への意識みたいなところで。例えば配信で、盛り上がればいいや!と思って、必要以上に「ぎゃー!」とか「イェーイ!」みたいな声を出すことに対しての危機感がなかったんですよ。でも、それをするとあとからヤバいことになるっていうイメージがついたのがすごく大きいですね。「この声の出し方をしてしまうと、この先出なくなる」っていうのがわかるようになって。
──喉や声帯の使い方も意識するようになったというか。
鈴木 そう、言語化するとそういうことかもしれないです。
──毎日の歌のルーティンはありますか?
鈴木 配信中に歌ったりもするんですけど、一番はそのあとの「アーミー限定配信」っていう“ファンクラブ限定”のような配信機能がイチナナにはあって、そこはなるべく歌に絞っています。基本的に朝6時から12時までの6時間くらいの中で歌う時間を設けるようにしてます。
──配信だけじゃなく、イベントステージやライブハウス、路上ライブなど、リアルでのヴォーカル活動にも積極的な姿が印象的です。歌を届けるうえで、活動範囲のこだわりはないですか?
鈴木 そうですね。それこそ今、路上ライブに立ち返ってみることで何か変えられないかなという挑戦をしていまして。配信においては、もうこの枠組みの中でやるテンプレートみたいなものもできてきているんですけど、そこに今度は路上ライブを足していくっていうのが僕の中のテーマですかね。
──特に路上ライブに注目したのはどうしてですか?
鈴木 実際に配信者(ライバー)が外のイベントに出ていくというのと、路上に出ていくことを比較したときに、路上のほうがいいっていう結論に僕の中ではなったんですよね。
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