【インタビュー】Daoko、自身初のバンド、QUBITの1st AL『9BIT』を語る。“機械と人間の狭間”で挑んだ楽器的解釈のヴォーカルスタイルとは?

取材・文:藤井 徹(Vocal Magazine Web)

「機械と人間の狭間」の設定で歌録りをしていましたね。

──それではアルバムデビューとなるQUBITの話になります。Daokoさんのツアーのサポートメンバーがバンドとして発展した形だそうですが、そもそも、このサポートメンバーを集めるに至ったポイントは?

Daoko きっかけを辿るとちょっと長くなっちゃうんですけど。2019年に“Yellow Magic Children(以下YMC)”っていう、YMOの遺伝子を語り継ぐアーティストたちが出るトリビュートのライブイベントがあって、それに私はゲストで参加させていただいたんです。ホールで生バンドに入って歌ったんですけど、同期とかもありつつ生のグルーヴの中に飛び込んで自分が歌うっていう経験を初めてそこでして、“バンドの中に入って歌うのって、こんなに楽しいんだ!”っていうのと、自分自身の歌声がそのときすごく活き活きしていたし、自分自身なんかすごい楽しかったなと思って。

そこから自分も“サポートでバンドを入れてライブやりたいな”という気持ちになったんです。私がメジャー時代に何枚かプロデュースですごくお世話になっていて、このYMCでもゲストとして一緒に歌っていた片寄明人さん(GREAT3)に「バンドメンバーを入れたいんですけど、どういう方がいいですかね?」みたいな感じで相談して。そのYMCのバンドにサポートで鍵盤を弾かれていたのが、網守さんだったんです。

そんな出会いもあり、そこからバンドメンバーはそのおふたりの選出で決まっていった感じです。ギターだけツインになったり一瞬代わったりしていたんですけど、現メンバーに固まったのが約3年前かな。「もうこのメンバーだ!」っていう感じでした。

──Daokoさんの4thアルバム『anima』(2020年)の収録楽曲には、すでに全メンバーの名前が作曲・編曲などでもクレジットされていましたね。

Daoko その頃にはもう“(バンドの)みんな”っていう意識があったんだと思います。「anima」というタイトル曲があるんですけど、それがたぶんバンド的には、“QUBITの基”となる曲です。網守さん自身も、“このバンドメンバーでライブでやったときにカッコいい曲”って意識もあって作られた曲だと思うので。

──“バンドにしよう!”って言ったのはDaokoさんなんですか?

Daoko 私はずっと「バンドやりたいなあ〜」と思ってたんですけど、なかなかみんなお忙しい方たちというか、それぞれバンドも個々でやられたりとかするので……。ギターの永井さんが発起人と言いますか、ツアーを回っているときに各メンバーを口説いて「バンドにしようぜ!」みたいな感じで言ってくださって。私は「いや、それずっと思ってました……」みたいな(笑)。ウェルカムというか「やった〜」って感じでした(笑)。

──正式にバンドとなることで、これまでと違った部分はありますか?

Daoko Daokoソロとはまた違う、“QUBITのヴォーカリストDaoko”みたいなところは、みんなの共通意識としてあるのかなっていう感じですかね。

──2023年6月に「G.A.D.」がリリースされてお披露目という形になりました。これは「新たにバンドでやりましょう」と言って、最初に作った曲でしょうか?

Daoko 「QUBITの名刺となるような楽曲を作ろう」みたいな感じで、網守さんが作ってきてくれましたね。「QUBITの第1弾」っていう意識はかなりあってできた曲だと思います。

──ほかの候補曲もいくつかあったんですか?

Daoko QUBITはみんなが楽曲を作れる方々なので、みんなで出し合うというか、できた順からデモが上がって「いいじゃん、いいじゃん!」みたいな感じで作っていった感じですかね。今回のアルバムは網守さんと永井さんがお作りになられた曲が多いですが。

──バンドのデビューシングルということで、これまでのソロと違うアプローチはあったんですか?

Daoko 「G.A.D.」に関してはSFっていう内々のテーマがありました。楽曲としてもけっこうスペーシーなところもあったりとか、ビデオの背景の映像も宇宙的だったりしているんです。楽曲や歌詞もスペーシー寄りなんで、歌はけっこうクールなところでバランスを取った気がします。

「G.A.D.」QUBIT

──2ndシングル「Fast Life」は、軽快でカラフルな面を見せています。

Daoko ちょっとポップで「G.A.D.」とはまた違った楽曲ですよね。そこでQUBITっていう存在が、“バラエティに富んだいろんな音楽性を持っているよ”っていう第二弾の切り口という感じですね。

「Fast Life」QUBIT

──そして、アルバムリリース直前にはリードトラック「Mr. Sonic」が先行配信されました。作詞・作曲の網守さんから「こう歌ってほしい」と言われた部分などはありましたか? 逆にDaokoさんが「こう歌いたい」みたいな擦り合わせは?

Daoko 「Mr. Sonic」に関しては網守さんがデモトラックを作ってきてくれたとき、すでにボーカロイド的な音声で歌が乗っていて、その時点で私的にはめちゃくちゃ良かったんです(笑)。すごく想像しやすかったというか「自分の声に置き換えたらこうなるのかな?」っていう想像がしやすくて。それはすごい助かりましたね。

曲によるんですけど、QUBITの楽曲ってすごくプログレッシブであったりして、技術的なところは歌うのがかなり難しくて。ちゃんと縦のラインを合わせないといけないとか、とにかく難易度はハードなものがあるんです(笑)。もともと「自分の声が楽器」っていう認識はあるんですけど、よりなんか機械的に……「機械と人間の狭間」って最近呼んでるんですけど、そういう設定で歌録りをしていましたね。

「Mr. Sonic」QUBIT

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