【インタビュー】「伊東歌詞太郎の歌には“SOMETHING”がある」。新作『魔法を聴く人』から紐解く伊東歌詞太郎のヴォーカル・ストーリー

2023.11.8

取材・文:鈴木瑞穂(Vocal Magazine Web)

「身体のどこが鳴ってる」っていう感覚はない

──伊東さんが歌うことに挫折した時期はありましたか? 2018年には声帯結節の手術も行なったと聞きました。

伊東 歌うことに挫折したのはある意味、手術直後ですね。いや、歌自体に挫折はしてないのかな…。今までこんなに大事にしてきた自分の声が、100%もとには戻らないということを受け入れなければならない、でもライブ活動を止めるわけにもいかなくて、そういう意味ではつらかったです。でも自分の声が変わっちゃったとしても、やっぱり歌を歌うことに対しての目線は変わらなかったんですよね。

──再び歌えるようになるまでに、重点的に行なったトレーニングはありますか?

伊東 始めの3ヵ月はお医者さんの言う通りリハビリメニューをやっていたんです。お医者さん的には3ヵ月終わって、検査結果も出て、医学的にあなたの声はもう全然大丈夫です、ということだったんですけど、そこからがつらかったです。医学的に大丈夫と言われようが、自分としては違和感が消えないし、3年ぐらいは納得いくように歌えなかった。当時は沢山やればやるほど良くなるって信じていたから、1日10時間歌うことを連日でやってみたりしたんです(笑)。とにかくありとあらゆることを試しましたね。

──納得いくように歌えないというのは、声の出し方が違うとかそういう感覚ですか?

伊東 僕、究極、「身体のどこが鳴ってる」っていう感覚はないんです。例えば鼻腔とかってよく言われるんですけど、僕はホントにどこにも音が響いてないんです。だから声を出すときにここに音を当ててっていう感覚はなくて、身体の外の空気がどう振動するかという意識でいろいろな歌い方を試していた感じですね。

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