【インタビュー】清水美依紗、「Home」リリースまでの制作秘話と最近のボイトレ事情を語る。“音程を歌うために息を吸うんじゃなくて、言葉を言うために息を吸う”

2023.06.7

取材・文：田代智衣里（Vocal Magazine Web）

役がベースで歌っているのと、素の美依紗が歌っているのとで気持ちが違う

──清水さんのお母様がミュージカル『ミス・サイゴン』のキム役を演じることが夢で、“いつか私が叶える”というツイートもありましたが、ミュージカルといえば８月から清水さんが出演する『ビートルジュース』の公演もスタートします。ソロのライブとミュージカルの歌唱で、それぞれ意識されていることはありますか？

清水　ミュージカルで歌唱している自分は、自分じゃない感覚なんです。役をお借りしているので、普段ライブで歌っている自分のクセではなく、役としてどう動くのかをベースに歌っています。“声だけが一緒”みたいな感覚ですね。

昨年の夏に演じた『フィスト・オブ・ノーススター～北斗の拳～』のマミヤ役も、普段の自分とは違う感覚で歌っていました。役がベースで歌っているのと、素の美依紗が歌っているのとで気持ちが違うイメージですね。

──ミュージカルは基本的にイヤモニを使わないですが、ライブでイヤモニをつけて歌う状態との感覚の違いもあるのでしょうか。

清水　どういう状況にも慣れておきたいと思っていたので、イヤモニがなくても心配がないように練習をしていました。ミュージカルって本当にイヤモニがない状態なんですけど、私がライブのときもイヤモニをちょっと浮かせて、周囲のインスピレーションを受けながら歌っているのと一緒なんですよね。

だからこそ自分ではなく相手に集中できたり、他の役やアンサンブルに向き合える状況なんです。イヤモニがないからこそ、ミュージカルのその世界で本当に生きている感覚をすごく楽しめています。私はけっこうイヤモニがないほうが好きですね。

──最近のボイトレ事情はいかがですか？

清水　私はもともと舌が過緊張で、声がすごく揺れやすいんですよ。久しぶりにボイトレに行ったら、また舌が過緊張になって固まっている状態になっていました。舌はある程度動かずリラックスしている状態がいいんですけど、私は舌が緊張してうしろに引いていたり、すごく動いたりして、なかなか発声練習がうまくいかなかったんです。

ヴォイストレーナーに“また舌が固まってるよ”と言われて、すごく悔しかったですね。やっているつもりだけど、その場でヴォイストレーナーにマンツーマンで教えてもらいながら発声するのと、家に持ち帰ってやるのとでは、できていると思ってもやり方がちょっと違ったり……同じことをやり続けるのってすごく難しいんです。だから定期的に通わなきゃいけないなって思いますね。

──ボイトレのあとは舌がほぐれて、声が出しやすくなりますか？

清水　ボイトレを受けた次の日にライブがあったんですけど、もう本当に声がよく出るんですよ（笑）。だからその状態をなるべく長く保つために、感覚を忘れないように、発声練習を毎日やっています。

──前回のインタビューでもワンマンライブへの想いを語っていましたが、現在のイメージはありますか？

清水　初のバラード曲も出ましたし、そろそろ曲数も増えてきて、ワンマンライブの現実味が出てきました。自分のライブはストーリー性を意識するのか、ショーケースで歌うのか、どっちが合うんだろう……？と考えてます。ダンスや身体を動かすことも好きですし、「High Five」はダンスミュージックに近いので、踊ってみたいとも思いますね。