【インタビュー】NAO AIHARAが語る、デビューから約1年ぶりの新作に込めた自身の意思と歌への想い
2023.03.9
取材・文:鈴木瑞穂(Vocal Magazine Web)
エイベックスとテレビ東京がタッグを組んで開催したオーディション番組『ヨルヤン』の「女性R&Bシンガー&ダンサー・オーディション」を勝ち抜き、アリアナ・グランデ、クリス・ブラウン、ジェニファー・ロペスなどへの楽曲提供で知られるSOCIAL HOUSEによるトラックプロデュース曲「lighthouse」で鮮烈なデビューを飾ったNAO AIHARA。
そんな彼女が、デビューから約1年ぶりとなる2023年3月1日に2ndシングル「refrain / as is」を発売。内に抱える葛藤や決意をありのままに映し出した歌詞や、バリエーションに富んだ曲調と声色表現が詰まった作品となっている。
今回、「lighthouse」リリースインタビュー以来の登場となる彼女に、新作での作詞作業やレコーディング話に加え、この1年の出来事や歌に対するリアルな心境を聞いた。
“声”ってすごく感情が伝わりやすいと思うんです
──デビュー曲である「lighthouse」は、世界的なプロデューサーであるSOCIAL HOUSEが出掛けた先鋭的なトラックや、NAOさんの圧倒的なダンス&ヴォーカルが印象的で、MVには海外からも多くのコメントが寄せられていました。そんなデビューから約1年が経ちますが、振り返るとどのような思い出が浮かびますか?
NAO 今まで路上ライブをしたり、バラードを歌う機会が多かったんですけど、デビューしてからダンスも含めて今までとちょっと違う楽曲に挑戦するようになりました。でも自分がもともと好きだった音楽ルーツの中のジャンルでもあったので、少し不安もあったんですけど、わりといい反響もいただけて。自信になって嬉しかったです。
──確かにダンスの学校に通っていたというお話やデビュー曲を聴いていたので、ダンス&ヴォーカルの印象も強いです。デビュー前はどんなスタイルで歌っていたんですか?
NAO 今までライブに出たりするときは鍵盤やギターの方にサポートしてもらって、バラードやR&B、ジャジーな感じを歌う機会が多くて。(お客さんに)そういうイメージを持たれていたと思います。でも、もともとダンスを長い年数やっていたのもあってHIPHOPなども大好きだったので、その色も出しつついろんなことに挑戦できるような、そのきっかけになったのがメジャーデビュー曲だったかなと思います。
──ダンスをする自分と歌うときの自分は明確に分けていましたか?
NAO デビューする前はそうでしたね。ダンスと歌を一緒にやるっていう感じの活動の仕方じゃなかったかもしれないです。
──デビュー時のインタビューでは「歌もダンスも頑張りたい」と話していたことが印象的です。現在はふたつのバランスは変化していますか?
NAO デビューして1年経って自分の表現したい楽曲や声、歌に対する気持ちのほうが強くなってきてはいています。もちろん表現の一部として、楽しく見せるためだったり、何かのきっかけのひとつとしてダンスも使えたらいいなと思っていますし、ライブするときは絶対ダンスもやりたいです(笑)。
──歌のほうが自分が表現したいことがダイレクトに伝わるような感覚があるんですか?
NAO そうですね。なんか“声”ってすごく感情が伝わりやすいと思うんです。言葉である上に、歌になるとさらに悲しい系、楽しい系っていう曲調もあって、そこに声色や訴え方でより深みが出る。ただ楽しいっていう以上に自分の気持ちが伝わる気がします。あと歌詞も書いていきたいって思っているので、それも表現しつつの歌を歌っていけたらいいなと。
──この1年で新たに挑戦したり、取り組んでいることはありますか?
NAO ボイトレに通って、自分の気づかなかった癖とか“ココが弱い”というのがわかりました。今まで強みだと思ってた部分も使い方によってはマイナスになったり……ということも学んだので、歌に向き合った1年だったなと思います。
──ボイトレは以前から行っていた?
NAO もともとはずっと通っていたんですけど、あらためてヴォーカルレッスンに通い直したのは、デビューのお話しがあってからです。
──レッスンで印象に残っていたり、目からウロコだったアドバイスはありますか?
NAO えっと……「息が出ない」と言われたことです。
──息が出ない?
NAO はい。低音だと息がすごく出るんですけど、高音だと息が出ていなかったり、中音域からミックスヴォイスの切り替えで声色がすごく変わってしまう部分というか、癖というか、そのポイントを指摘いただいて。そこをどう変えていくかを今もレッスンでやったりしています。
──息の量を調整しながら高音を出すということですね。息の訓練をしているんですか?
NAO そうです。今までやったことのない息のレッスン(笑)。コソコソ話をするんです。でも私、コソコソ話が声になっちゃうんですね。息だけでできない。なので、実音にならないように息だけでドレミファソの音程のアップダウンをできるようにトレーニングしています。それで今、少しずつですが変化していってるんです。