取材・文:田代智衣里(Vocal Magazine Web)
“まだ光ってるな”って思ってもらえる自分でいたい
──先行配信されている「青藍遊泳」は4月のライブでも披露されていましたが、リリースするタイミングは考えていましたか?
にしな 本当に自然な流れで今だったというのが素直な答えですね。“今出すぞ”というよりも、タイミングでした。
──制作したのはいつ頃ですか?
にしな 2年前ぐらいだと思います。
──この曲が生まれるきっかけはありましたか?
にしな 曲を作るきっかけになったライブがあったんですけど、そのときスタッフさんが最後の会場BGMにユニコーンの「すばらしい日々」を流してくださったんです。
歌詞を読んだら、最後に《君は僕を忘れるから/そうすればもう すぐに君に会いに行ける》と書いてあったんです。それを贈ってもらった身として、すごく名残惜しい寂しさがあるけど、みんなのことを忘れちゃうぐらいに目の前にあることだったり、今に夢中になっていける自分でいたいなって、そうであるべきだと思って曲を書きました。
──「青藍遊泳」には《さらば友よ 忘れてしまえよ》という歌詞がありますが、今のにしなさんにとって友とはどんな存在ですか?
にしな きっと私が2年間の中で進んだ分、友達はそれぞれが思う方向に進んでいると思うんです。音楽を始めたときからそうなんですけど、一番の原動力はみんなが頑張っている姿で。すごく歌がうまい人や偉い人に頑張れって言われるよりも、私はみんなが頑張っている姿にエネルギーをもらうので、みんながこっちを振り向いてくれたときにちゃんと、“あいつ頑張ってるな”、“まだ光ってるな”って思ってもらえる自分でいたいなと、いつになっても思います。
──楽曲制作のアレンジ面でも、にしなさんは一緒に作ることを大事にしている印象があるのですが、「青藍遊泳」の制作にあたって伝えたことはありましたか?
にしな 言葉があって、シンプルでもちゃんと届いていく曲だと思っているので、まずそれを伝えました。あとはこの曲を歌うときのイメージが、水滴がポチャンって水辺に落ちて、波紋がふわーっと広がってくイメージがあって。そういうなんとなくの感覚や質感を伝えたと思います。
他の曲はアレンジの1回目を出していただいてから、やっぱり違うなと思ったりすることもあるんですけど、「青藍遊泳」はもう一発でほぼハマって、詰めていった記憶があります。
──「青藍遊泳」のレコーディングでは、最初から最後まで通して録っていきましたか?
にしな 基本的にまるまる何回か録っていくことが多いですね。それからテイクを選んだり、ベースを決めて組み込んでいったりすることが多いと思います。
──テイクはご自身でも選びますか?
にしな 選びますね。最近はけっこう全部自分でやらせてもらうこともあります。
──レコーディングの環境でこだわっていることはありますか?
にしな 照明は圧倒的に暗いほうがやりやすいです。明るくて人に見られていると邪念が入る感じがするので。あと、私はヘッドフォンやイヤモニがまだあんまり得意じゃないので、どれだけナチュラルに発した音と同じ音を聴けるかを模索しているところですね。