【インタビュー】Rin音が語る、13曲すべてが新曲となったニューアルバムでの挑戦と、二面性へのこだわり

2022.04.20

取材・文:鈴木瑞穂(Vocal Magazine Web)

Rin音が4月20日、2ndアルバム『cloud achoo』を発売する。
今作は、ストリーミング総再生回数が2億5千万回を突破している大ヒット曲「snow jam」リリースから、約2年ぶりのフルアルバム。なんと13曲全部が新曲という、挑戦が詰まった1枚となっている。
バトルをルーツに持ちながら、作品では優しい歌声、変化に富んだサウンドなど、多彩な表現を見せ続けるRin音。楽曲における歌唱表現や、自身のギミックを詰め込んだリリックについてなど、作品づくりにおける彼のこだわりをじっくり聞いた。

自分の中で、自分が聴ける声を探したらこれだった

──Rin音さんの家庭はもともと音楽に馴染みのある環境でしたか?

Rin音 全然。親の車でRIP SLYMEさんとかを聴いてはいましたが、音楽にはあっさり過ぎるぐらい。

──ラップ始めたきっかけは何だったんですか?

Rin音 中学3年生の頃にMCバトル(の動画)を観て“なんだコレ、カッコいいな”と思ったのがきっかけです。ずっと聴いてて気づいたら歌詞を覚えてて、マネできるようになってたのが高校1年生ぐらいかな。それをちょっと変えたら自分のラップになるじゃんって気づいて、高校3年生で友達と一緒にラップ活動というか、遊び程度にサイファーを始めました。人生で初めてMCバトルに出たのが大学1年生のときだったので、それまでは特に何もしてないです。

──初めてMCバトルを観たときは、何が面白かったんですか?

Rin音 小さいときからしょうもない替え歌が好きだったんですけど、中学の頃にボカロや“歌ってみた”が流行っていて、“ニコラップ”っていうネットラップ(のひとつ)を少し観てたんですよ。そしたら「R-指定 vs 晋平太」っていう有名なMCバトルにぶち当たって、“このオジサンたち、なんかスゲーことしてる?!”って、すごいカッコよかったんですよね。 “即興なんだ!”って……そういうショックを受けて、観始めました。

──ラップの練習はどんなふうにスタートしたんですか?

Rin音 最初は本当に聴くだけです。聴いて覚えるだけ。『高校生ラップ選手権』っていう番組があるんですけど、第4回とか第5回あたりはもう、大会まるごと歌えるぐらい聴いていて。そこから、少し言葉を変えたら自分のラップっぽくなると気づいて、だんだんとフリースタイルができるようになっていきました。

──初めてバトルに出たときってどんな準備をしましたか?

Rin音 最初は準備もなにもわかんなくて……ネタとかヴァースを考えて挑んだら、緊張で全部ふっ飛んで、人生初バトルはボロ負けして……ショックでした(笑)。でも負けたのが悔しくて、次に『2017 天神U20MC battle Round1』っていう20歳以下のMCバトルに出場したらベスト8まで行けて。僕、即興でやったほうがよくて、即興だと意外とサイファーでやってた感じのフリースタイルができたんです。それで、次の『2018 天神 U20MC battle Round1』では優勝できました。

──じゃあ日々やることでいうと、韻や言い回しを調べたり覚えるというより、とにかくサイファーに行って場慣れしていく?

Rin音 そうですね。あと、ひとりでもずっとフリースタイルしてました。僕、フロウ(=ラップの歌い回し)が好きなんですよ。“どんなノリがいいかな”とか、“俺どこまで速くできるんだろう”とかをずっとやってました。韻はどれだけ準備しても覚えられて2個ぐらいなので……。あらかじめ考えておくと、例えば言い間違えで、頭の文字が入れ替わることがあるじゃないですか。「朝ごはん食べる」が「たさごはんあべる」になるみたいな、あれに絶対なっちゃうんですよ。フィルターが甘くて(笑)。

──そうなんですね(笑)。バトルで影響を受けたラッパーはいますか?

Rin音 最初はR-指定さんから入って、そして鎮座DOPENESSさん、あと、K-razyくんっていう大阪のラッパーが大好きで。でもバトルフェチでめちゃくちゃ観てたので、影響だったらもうほとんどのラッパーから受けてると思います。

──例えばK-razyさんのどんな部分をリスペクトしてますか?

Rin音 韻を踏むときの落とし方がカッコよくて。『UMB大阪予選』のバトルがすごかったんです。めちゃくちゃ誇張じゃないですけど、カッコよくド派手に見せてくるんですよ。ヴァースがすごくカッコいいし、ワードセンスがズバ抜けていて、男心というか中二心をくすぐられる。“なんだその踏み方?!”みたいな。

──なるほど。バトルではアグレッシブな声の印象がありますが、Rin音さんの作品の中の歌声は息を含んだ優しい感じで、表現の幅を感じます。作品における声の表現で意識していることはありますか?

Rin音 やっぱり感情を乗せることは絶対に大事だと思っています。歌詞のストーリーももちろんあるし、そこに登場人物の感情や僕自身の感情がある。ただうまく歌うだけじゃ伝わらないと思うし、そこに僕ならではの感情や想いを表現できたらなと。

──バトルと作品とで、声の表現を変えようと思ったきっかけはありますか?

Rin音 バトルの声で歌ってもカッコよくなかったんですよね(笑)。バトルはしゃべるときの頭のまま出てるので、わりとしゃべり声に近くて。でも歌って、そんなにガツガツ歌われても聴きづらくない?って思っちゃうんですよ。自分が聴くときにそう歌われても嫌だし、自分の中で、自分が聴ける声を探したらこれだったっていう感じですね。

──ヒップホップのカルチャーでは、ポップス的なアプローチをすると「ポップスかぶれ」と揶揄されたりもすると聞いたことがあるんです。逆にヒップホップのスタイルに寄せようと模索したことはありましたか?

Rin音 最初はやっぱりブーンバップ(=ヒップホップのサブジャンルのひとつ)やりたいって思ったんですけど、俺がやってもカッコよくないなって。ラッパーだからって全員がヒップホップをやるなんて、そんなわけねーって思うんです。だってその人のカラーがあって、その人がやりたい音楽は成り立つものだから。みんながみんな同じにやるのってなんか、小学校みたいな“みんなで一緒にやりましょう”っていう……それにしたいのかな?って逆に思っちゃうんですよね。それに同じのが並んだら今度は「似たり寄ったりじゃん」って言われますし。正解ないなって思いますね。

──おお、カッコいい。ちなみに作品作りで影響を受けたアーティストはいますか?

Rin音 もともと好きだったのは米津玄師さん。あとはヒップホップでいうと、電波少女さん、唾奇さん、Jinmenusagiさんとか。けっこういろいろと影響を受けてるんですけど。

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