【インタビュー】ウォルピスカーター、さらなるハイトーンヴォイスの進化を魅せた2nd EP。“無意識の動作の繰り返しが高い声の習得に繋がる”

取材・文:田代智衣里(Vocal Magazine Web)

「アスノヨゾラ哨戒班」辺りから引き算の歌い方を意識し始めた

──遡ると、当時高校3年生の2012年、ニコニコ動画に最初の動画「【ウォルピス社】天ノ弱を歌ってみました【提供】」を投稿しています。この動画は、高音を開発しようと思う前ですか?

ウォルピスカーター まったく思ってないですね。自分のことを歌がうまいと思ってた時期です(笑)。

──そして2年後の2014年に同じ楽曲「【ウォルピス社】天ノ弱を再び歌ってみました【提供】」を投稿します。このときはもう高音の開発に進んでいましたか?

ウォルピスカーター 進んでいたと思います。2年前の投稿では完全に自信が打ち砕かれているので、いろんな人の歌を聴いて、カッコいいと思ったものをマネしていたんじゃないかな。人の歌の癖をマネするのはすごく得意なので、人のいいところをとにかく取り入れたいと思ってました。今聴くと2年後の投稿は詰め込みすぎで、自分的にはグチャグチャなんですけど、まだ善し悪しを判別する前に何でもかんでも試そうという時期だったんだと思います。

──そこから2015年に「【ウォルピス社】アスノヨゾラ哨戒班を歌ってみました【提供】」を投稿。現在ニコニコ動画の再生数歴代1位で、これがものすごい再生回数になっています。

ウォルピスカーター 本当にありがたいです。

──2014年から2015年の1年間では大きな変化がありましたか?

ウォルピスカーター あったと思います。「アスノヨゾラ哨戒班」のとき、当時の僕的には本当に高い声で、理想の声を出してたんです。今聴いたら随分荒くてへなちょこなんですけど(笑)。当時にしては頑張ってたと思います。

──2014年の「天ノ弱」は詰め込みすぎていたのが、2015年の「アスノヨゾラ哨戒班」では調整できてきている?

ウォルピスカーター 調整されてると思います。だいぶスマートな歌い方になったと思うんです。当時“癖が強い”ってコメントとかでいろいろ言われたのかな。“ちょっとやりすぎじゃない?”って。

“何でもかんでもやればいいってわけじゃないよ”ってコメントに対して、“あぁ、確かにそうかもしれない。たくさん調味料入れりゃいいってもんじゃないし”と思うようになって。「アスノヨゾラ哨戒班」は楽曲も音数が少なくてスタイリッシュだったので、その辺から引き算の歌い方を意識し始めたと思います。

──この頃から歌は自宅で録っていたんですね。

ウォルピスカーター そうです。最初は実家で布団をかぶって録ってましたね(笑)。

──録り始めた当時、マイクは何を使っていましたか?

ウォルピスカーター 初めての録音のときは、オーディオテクニカのAT2035を使っていました。当時、初心者の歌い手にお薦めのマイクがAT2020かAT2040で、それを買おうと思って楽器店に行ったらなかったんです。中間のAT2035が売ってたので何も考えずに買ったんですけど、オーディオテクニカのマイクとはすごく相性が良かったですね。

──オーディオインターフェイスは何を使っていましたか?

ウォルピスカーター ローランドのUA-33かな。歌い手の入門モデルとしてはUA-55というQUAD-CAPTUREが定番だったんですけど、それが当時25,000円ぐらいで、高校生の財布にはきつかったので。マイクを買ったときに楽器屋さんにあったんですけど、SONAR(現Cakewalk)のDAWとケーブルがバンドルで付いてて、なんかお得だなぁと思って買った覚えがあります。

──DAWは付属のSONAR(現Cakewalk)を使っていたんですか?

ウォルピスカーター 最初はそうでした。SONAR LEを使ってましたね。

──そこから機材を買い換えたのはいつ頃ですか?

ウォルピスカーター そのあと買い替えたマイクが、6万円ぐらいのノイマンTLMの102か103でした。でも、その後ヴォーカルミックスを担当してくれてた子に“高音に色がつきすぎているからオーディオテクニカに戻したほうがいいんじゃないか”と言われて。僕は当時、善し悪しがわからなかったというか、耳が育っていなかったので、言われるがまま次に買ったのがオーディオテクニカのAT4040かAT4050でした。

──現在のマイクは何を使っていますか?

ウォルピスカーター BLUEのKiwiを使ってます。スタジオのレコーディングエンジニアさんに、20万〜30万くらいのコンデンサーマイクでお薦めを聞いたら、“ウォルピスさんは声が高いから、女性向けのマイクも相性がいいんじゃないか”と。

“BLUEのKiwiってマイクは音域がすごくクリアに抜けて、低域も女性の声の良いところを拾ってくれるから、よかったら試してください”と言われて検索してみたら、見た目がすごく良かったのですぐ買いました。このマイク、かわいいんです。

──現在のオーディオインターフェイスは何を使っていますか?

ウォルピスカーター RMEのBabyface Proです。これはいいですね。コンパクトだし機能も少ないし、ケーブルを挿すところも少ないので、機械音痴でも使いやすい。さらに直感的に使えてマイクプリの音もかなり良いので、これ1台あればもう、ヴォーカルの宅録環境としては十分だと思います。

──防音室で録音しているのですか?

ウォルピスカーター 今は自宅が完全に防音部屋になってますね。防音の物件を探して、防音室が内蔵されている部屋を選びました。楽器演奏者やヴォーカリスト向けの物件に住んでいます。

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