取材・文:田代智衣里(Vocal Magazine Web)
ちゃんと歌を届けて、そこに踊りや歌のアドリブがあったりすると、“今日のあそこ良かったな”と
──楽曲のキーはいつもどんなふうに決めているんですか?
ISSA 大体一音とか半音を上げ下げしてみて、その曲の雰囲気が一番心地よく聴こえるところを探すようにしてます。
──「Our Milestone」ではサビのコーラスも高音域ですが、これはメインの歌唱に合わせてキーを決めたんでしょうか。
ISSA もともとこの曲をもらったときに、あの雰囲気だとキーはそのままでいいと思っていたんです。あとは歌詞の内容もあります。僕は前向きなサビの詞が特に印象的だと思うんですけど、こんなときだからこそみんな一緒にひとつのチームになって進んでいこうというテーマの曲なので、そういう意味でもこの曲に関してはあれが一番心地のいいキーだなって感じたんです。
メインの歌唱はなるべくファルセットを使わず、ちょっと頑張って地声に合わせたキーを考えることが多いんです。でも、コーラスだとファルセットや自分の使えるものを使って作成していくので、そんなに厳しく感じません。コーラスはなるべく自分の声で固めたり、作品によっては自分じゃなくて他の人の声が良かったりすることもあるので、そこは見極めながらですね。
──「DA FUNK」のミュージックビデオが3月2日に公開されましたが、キャッチーな振り付けが印象的で、“踊りながら歌う楽しさ”が伝わってきます。ISSAさんが踊りながら歌ううえで大事にしていることはありますか?
ISSA “どの状態でも歌えなきゃいけない”ということです。やっぱり、踊りながら歌うとなるといろんな体勢や角度になるんです。いろんな踊りがあるので、どんな状態でも歌えるようにするってことですね。歌って踊ることをずっとやっていたら、自ずとできるようになるのかなって思います。
──繰り返し身体を動かしていれば、身体が感覚を身につけてくるというか、掴んでくるというか?
ISSA そうですね。歌いながら、踊りながら、歌っていれば……ということだと思うんです。
──踊りながら歌うときに、空気の取り込み方のイメージを考えたことはありますか?
ISSA もう、苦しいから息をします。人間が生きるのと一緒ですね。ずっと息を止めているわけにもいかないですし。歌いながら踊ることって、一瞬の隙に息を吸うという意味ではたぶん走りながら歌うのと一緒なので、その方法を見つけていきます。
──例えば、走りながら歌うこともやってみるというより、とにかく踊りながら歌うことを実践してきたんでしょうか。
ISSA 走りながら歌うのもいいと思います。僕もそんな時期もありましたし。
──実際にISSAさんも走りながら歌っていた時期があったんですか?
ISSA ありましたね。あと、逆立ちしながら歌ったりとか。とりあえず“それをやっている”って感覚ではなくて、“何かをやっているときに自然に歌ってる”って言ったほうが、僕の場合はもしかしたら近いのかもしれないですね。「気がついたら何か歌を歌ってますね」、「鼻歌がうまいですね」ってよく言われるんですよ。僕は“すみません、意識してませんでした”って感じなので、何かしら自分の中でずっと音が鳴っているんでしょうね。
──ライブについて聞きたいのですが、ステージドリンクは何を飲んでいますか?
ISSA ビールから始まってですね……ってのは冗談で(笑)。ステージドリンクは基本的にはお水とスポーツドリンク的なもの。ポカリスエットをお水で割ったりとか、まだいろいろ試しながらやってる感じです。
──ステージの上で、ISSAさんが口に水分を含んで上を向いているシーンがあったんです。何をしているのか気になっていたのですが。
ISSA なんでしょうね? ステージ上でうがいはしないので。上を向いて飲んだほうが喉を滑りやすいと思ったのかもしれません。
──水とスポーツドリンクはどのように飲み分けていますか?
ISSA とにかく一瞬で水を飲んだり、一瞬で空気を吸う感覚なので、(ドリンクを)意識して分けることはあんまりないですね。
──ISSAさんは基本的にはイヤモニをしないということも有名です。
ISSA 僕は昭和の芸能界が大好きで、個人的に昭和イズムを残したいという気持ちがあるんです。でも、ライブでも実際に(イヤモニを)使わなきゃいけない状況はあるので、そういうときは一瞬付けたりします。例えば、センターステージが上がってくる状況だとやっぱり聴こえない部分があるので、片耳だけ付けたり。それ以外にイヤモニをする理由があんまりないのかなと。
──イヤモニありとなしではどんな違いを感じますか?
ISSA イヤモニを付けると臨場感が消えてしまうので、完全に覆われた世界になるんです。「エアー」と言って外の空気の音も流せるんですけど、それでもやっぱり僕は圧迫感というか、縛られ感があまり好きじゃないんですよ。
あとは、今までそれでやってきたから、やり続ければ耳も退化しないだろうし。単純に、何か人と違うことがやりたいのかもしれませんね。
──生で歌声を届けることや、ライブ会場の規模の大きさによる違いについては、どんなふうに考えていますか?
ISSA グループが成長していって、大きな会場でやれるようになっていくことはいいことだと思います。でもその反面、リアルタイムで届かなかったりする部分もあると思うんです。ステージ上の豆粒の僕らを遠くから観て、音もずれてるし、モニターがあったとしてもやっぱり違和感があると思うので、僕はできるだけそういうことがないライブを目指しています。
僕らで言うと、ホールツアーで1500人〜2000人ぐらいのところでやるのは、投げたらすぐ届く、あまり時差なく届くというところで一体感が生まれます。アリーナはアリーナで、それだけ多くの人が集まってくれることが自分たちの励みにもなります。
だから一番遠い人のところにも、なるべく近くまで行けるようにしたり、そういうことは心掛けています。だって、同じお金を払って観に来るわけですから。分け隔てはなくしていきたいなって思いますね。
──音源とライブで歌唱の意識が変わる部分はありますか?
ISSA 基本的には変えないようにと思ってるんですけど、ライブはそのときに生まれるものもありますよね。その日にしかない生のものだと思うので、“こう歌わなきゃ”ってことでもないですし。基本的にはちゃんと歌を届けて、そこに踊りや歌のアドリブがあったりすると、“今日のあそこ良かったな”と思ったりします。
アンケートを読んでいても、“今日しか感じられないライブでした”って書いてあると嬉しいので、その“生感”を大事に。あとは、“絶対にオンマイクでやり続ける”ってことですね。