取材・文:後藤寛子
練習をどれだけ重ねても、1回の本番には絶対かなわないし、本番を重ねていくことが、一番成果がある練習だなと思っています。
──最新曲としては、DISC-1の「Open door」になるわけですが、本当に現在地と、これまでの歩みと、これから歌い続けるっていう意思が伝わってくる楽曲ですよね。トラック自体はシンプルなんですけど、その分、歌がすごくドラマチックに響いてくる楽曲で。この楽曲はどういうふうに作っていったんですか?
Ms.OOJA この曲は、すごく本能的に作った曲なんですよ。私が曲を作るときって、コンセプチュアルにこういう曲を作りたいと思って作る楽曲と、スタジオまで何も考えずに行って、その場で生まれたもので作るときがあるんですけど。この「Open door」に関しては、本当に直感的に作った楽曲なんです。あと、歌詞を書くときも、私の場合はとにかく“今書きたいこと”を先にパソコンにバーっと書いておくんですよ。そうやって無意識にバーッと書き出した詞を今回コライトした酒井さん(Ryosuke “Dr.R” Sakai)と麦野優衣ちゃんと作ったトラックとメロディを聴いた瞬間に、“これ、いい!”って。普段は自分のメロディ案も出すんですけど、そのときは麦ちゃんの作ったメロディがその歌詞にピタっと合って。そこに居るみんなの想いや考えがぴったり合って、運命的な感じでした。詞には、本当にそのときの自分が表現したかったことを本能的に書き出しただけだったので、今のMs.OOJAはこうなんだなあ、私の思いは今こうなんだなあって自分でも思いました。
──歌入れのときも、自然体な感じで?
Ms.OOJA そうですね。レコーディングもすごく早かったです。素直に歌えたというか、去年あったこととか、10年間のこと、いろんな出会いや別れ……そういったことを思いながら。その感謝の気持ちと、これから先に向かっていく思いみたいなものが自然に歌に出たんじゃないかなと思います。
──最初におっしゃっていた、力を抜く場所と入れる場所がわかってきたという言葉をまさに感じて。サビで広がっていくところと、最後ファルセットで抜けていくところがすごく気持ちいいですよね。
Ms.OOJA まさにですね。本当にトラックに身を任せて歌った感じです。
──普段もレコーディングは早いほうなんですか?
Ms.OOJA たぶん早いほうだと思います。どんな歌にしたいかが見えていると早いですね。見えていない曲だと時間がかかっちゃうんですけど。歌い方もそうだし、レコーディングをしている時点で曲自体にまだ迷ってることもあるし。でも、そういう曲も、時間が経ってみなさんにお届けするときには大好きな曲になってたりするので、曲の捉え方って不思議なんですよね。
──去年2月の「はじまりの時」から13ヵ月連続リリースが続いたわけですけど、毎月新曲をレコーディングするっていうのはなかなかハードだったんじゃないですか?
Ms.OOJA そうですね。動画(MusicVideo)も撮ってたりするので、毎月追われてるみたいな感じでした(笑)。でも、全然大変ではなかったです。歌いたい曲はたくさんあるし、伝えたいメッセージもたくさんあったし、逆にすごく楽しくて。やればやるほど楽しかったので、2月で終わっちゃうのが逆にちょっとさびしいですね。まだまだやりたいくらい。なかなかライブができなくて、時間もあったから毎月リリースしたんですけど。会えなくても、毎月ファンの皆さんとコミュニケーションが取れたことで、普段ライブができているときよりも、もしかしたら絆が深まったんじゃないかなと思います。このコロナ禍じゃなければできなかった企画だと思うので、いい経験をさせていただきました。
──OOJAさんの喉に関しては、ハードなスケジュールでも全然大丈夫って感じなんですか?
Ms.OOJA 喉はけっこう強いほうだと思います。今まで壊したこともないし。たぶん、昔はクラブとか、めちゃめちゃ環境が悪いところで歌っていたので(笑)。その当時に、喉を壊さない歌い方を自然に会得したんだと思います。もともとはそんなに強くなかったんですけど、お酒を飲んでたり、たばこがモクモクしてる空間だったり、夜遅かったり、音の環境が悪くて全然自分の声が聴こえなかったり……(笑)。そんな中で、現場叩き上げというか。やっぱり、練習をどれだけ重ねても、1回の本番には絶対かなわないし、本番を重ねていくことが、一番成果がある練習だなと思っています。
──そこで培ったものが、今も活きているんですね。
Ms.OOJA でも、やっぱり年齢的にだんだん今まで通りにはいかないだろうなっていうのも感じているので。ちゃんとケアしつつ、メンテナンスは大切にしていかなきゃいけないなと思います。